猫ちゃんをおうちに迎えたら、基本的には完全室内飼いをオススメします。外の世界はたくさんの危険があるので、猫ちゃんに長く生きしてほしいと願うなら、室内で飼うほうがいいでしょう。ただし、室内飼育の猫ちゃんにとっては、家の中が世界のすべて。さらに飼い主さんが一人暮らしの場合、猫ちゃんは一日のほとんどの時間をひとりで過ごさなければなりません。そんな猫ちゃんがリラックスできるよう、室内環境は整えてあげましょう。

 

猫が好きなのはこんな場所

猫ちゃんの祖先は、乾いた土地で狩りをして暮らしていました。本能的に外敵から身を守る術も身につけていて、その習性は現代に生きる猫ちゃんたちにも受け継がれています。それらの習性を理解した上で、猫ちゃんがリラックスできるお部屋を作りましょう。

高いところに登りたい!

野生の猫は獲物を狙い、外敵から身を守るため木の上に登っていました。室内で飼っている猫がタンスや本棚の上など高いところを好むのはその習性が残っているため。この習性をいかして高いところに居場所を作ってあげると、猫は安心してくつろぐことができるのです。

また、猫の運動不足を防ぐためにも、部屋の中に高低差を設けることはおすすめです。できれば部屋の中にキャットタワーやキャットウォークを設置してあげたいところですが、スペース的に難しい場合は、家具を階段状に配置するなどして、猫が上下運動できるような場所を作ってあげましょう。

高い居場所を作るときの注意点

気をつけなければいけないのは、猫が登る可能性のある場所には物を置かないということ。せっかく高いところに登っても、そこに物があふれていては猫が落ち着けません。また、そこにあるものを猫が落としてしまうこともあるので危険です。猫がのびのびとくつろげる安全な空間を確保してあげましょう。

狭いところ大好き!

高いところ同様、猫は狭いところも大好き。これは猫の祖先が外敵から身を守るため、狭く暗いところを寝床にしていたことに由来するといわれています。段ボール箱やスーパーの紙袋などに入るのが好きなのはそのためですね。体が何かに包まれていると落ち着くようです。

体がすっぽり収まるような猫用ベッドなど、猫が隠れられる場所にお気に入りの毛布などを置いてあげると猫ちゃんは安心してくれます。猫用ベッドはひとつではなく複数おいてあげるのがオススメ。日当りがよい場所やちょっと高いところなど複数の場所に置いてあげましょう。

 

猫が快適に過ごすために

猫は好きなところで寝て、好きなところで爪を研ぎます。そのため、猫ちゃんが気に入った場所にベッドを置いてあげたり、爪とぎを置いてあげるといいでしょう。猫ちゃんお気に入りの場所を見つけてあげるのも、猫を飼う楽しみのひとつです。

 

トイレの置き場所

トイレの置き場所は大切です。トイレを気に入ってくれないと、トイレ以外の場所でおしっこをしたり、最悪、トイレを我慢して泌尿器系の病気になってしまいます。特に廊下など、冬になると冷える場所にトイレを置くのは避けましょう。寒がりな猫ちゃんがトイレを我慢してしまう可能性があります。

トイレの置き場所は断然リビングがオススメ。猫ちゃんのトイレ事情から健康チェックもできるので、飼い主さんの目が届くところに置いておくのがいいでしょう。

 

食事の場所

食事をする場所はトイレから離れたところに設置しましょう。野生時代の猫は、排泄場所と食事をする場所を分けて生活していました。そのため、食事場所とトイレを隣り合わせで置いてしまうと、そこで食べなくなったり、トイレを使わなくなったりする可能性があります。

 

水飲み場と爪とぎはいくつか設置

猫はあまりお水を飲まない生き物です。体内の水分量が足りていなくても、お水を飲まないことだってあります。猫ちゃんがその気になったとき、すぐにお水が飲めるよう、色々な場所に水飲み場は設置しておいたほうがいいでしょう。

また、爪とぎは猫の本能なのでやめさせることはできません。家具や壁をバリバリされないよう、お気に入りの爪とぎをあちこちに置いておくことをオススメします。

 

安全面も整えてあげましょう

脱走対策はしっかりと!

Beautiful small striped kittens on window sill. Scottish Fold breed.

冒頭でお伝えした通り、猫ちゃんの健康を考えるなら完全室内飼いがオススメです。外の世界は危険がたくさん。交通事故にあうかもしれないし、ノラ猫のケンカに巻き込まれる可能性もあります。寄生虫やウイルスなども恐いですよね。

脱走したあと、無事におうちに戻ってきてくれるとも限りませんので、脱走対策はしっかりしておきましょう。

猫ちゃんのための脱走対策

・猫ちゃんが登れる高さの窓は開けない

・窓を開けるときは猫が通れない隙間で開ける

・外出時は玄関と猫がいる部屋の間のドアを閉める。

 

異物誤飲に要注意!

Ginger cat and christmas gifts

猫の口に入る大きさのものは極力、物を置かないようにしましょう。

特に猫にとって危険なものは、絶対に猫が触れられない場所に置いておきましょう。猫は色々なところによじ登ることが可能です。また、器用な猫ちゃんであれば戸棚を開けることだってできます。戸棚に鍵をかけたり、タッパーに入れたりといった工夫が必要です。

 

猫にとって危険なものの一例

・携帯電話の充電器など、紐やコード類

・ウレタンマットやジョイントマット

・コルク

玉ねぎ

・てんぷら油

・ユリなどの生け花

・人間の薬

食べることで消化管に詰まったり(異物誤飲)、中毒を引き起こして、最悪の場合死に至ることもあります。絶対に猫ちゃんの手が届かない場所に保管しておきましょう。

 

 

「猫との住まい」に関するにゃんペディア記事

こちらの記事もあわせてご一読ください。

□ 部屋づくり:「猫ちゃんのためのお部屋作り

□ 室内環境:「室内飼いの猫、不自由な環境に不満はないの?

□ 住まい:「猫共生住宅のエキスパートに聞く~猫も人も快適な住まいはどうつくる?

□ DIY:「猫のための部屋作り!賃貸でもできる人気ブロガーのDIYアイディアのご紹介

□ 多頭飼育:「どうすれば喧嘩せずに仲良くなれる?猫の多頭飼いにおける初対面の方法と、トイレなどの日常生活の注意点とは?

 

猫のお世話に関するにゃんペディア記事

こちらの関連記事も合わせてご覧ください。

□ ブラッシング:「猫ちゃんのブラッシング方法

□ シャンプー:「今すぐ実践!専門家に聞く上手なシャンプー方法

□ マッサージ:「猫ちゃんとの距離が縮まるマッサージの方法

□ 爪とぎ:「愛猫ちゃんを爪とぎ上手にする方法

□ 爪切り:「自宅で完了!専門家に聞く猫ちゃんの爪切り方法

□ 抜け毛:「猫の抜け毛掃除、みんなはどうしているの?

□ 遊びに誘う:「猫ちゃんも大喜び!猫を遊びに誘うコツ【獣医師解説】

□ 遊ぶコツ:「猫ちゃんと上手に遊ぶコツ【獣医師解説】

□ 遊びの工夫:「おうち遊びの工夫♪

□ 遊びと機嫌:「猫ちゃんの機嫌を損ねない上手な遊び方とは【獣医師解説】

□ けりぐるみ☞「猫が大好きなおもちゃ「けりぐるみ」って何?

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

 例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療】

■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状】

■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】

■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】

春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】

■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】

■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】

■ 命にかかわるリスクが高い

【費用】

■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】

■ 予防できる ■ワクチンがある

 

 

「子猫」に関する「にゃんペディア獣医師監修記事」

□ 出会い方:ぴったりの猫ちゃんの選び方

□ 拾った:子猫を拾ったとき、どうしたらいいの?

□ 健康チェク:子猫の健康チェック方法とは?成猫とは何が違うの?

□ 子猫用ミルク:子猫用ミルクを与えるときに気をつけるポイント

□ 牛乳:猫は牛乳を飲んでも大丈夫?与え方や注意点とは?

□ しつけ:子猫を迎えたときに必要なしつけ

□ トイレトレーニング:猫ちゃんのためのトイレトレーニング

□ 社交的な猫に育てる:社交的な猫に育てるには、社会化期の過ごし方がポイント!

 

 

「子猫のかかりやすい病気」に関する「にゃんペディア獣医師監修記事」

□ 猫風邪:猫風邪の症状って?治療法も解説

□ ヘルペスウイルス:猫ウイルス性鼻気管炎

□ 猫カリシウイルス:猫カリシウイルス感染症

□ クラミジア:猫クラミジア感染症

□ワクチン接種:猫の予防接種(ワクチン)で防げる6つの病気

□ 皮膚糸状菌症:猫の皮膚糸状菌症

□ FIP:子猫の命を奪う恐ろしい病気、FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?

東京猫医療センター 院長

服部 幸

詳細はこちら

関連記事

related article