映画やドラマで、捨てられていた子猫を保護してきて、牛乳をあげているシーンを目にしたことありませんか。そもそも、猫に牛乳は飲ませて良いのでしょうか?そんな疑問を持つ飼い主さんのために、猫に牛乳をあげる場合の注意点をご紹介しましょう。
猫は牛乳を飲んでも良いの?
人間の赤ちゃんには、母乳もしくは赤ちゃん用のミルクをあげて育てますよね。考え方は、猫の場合も同じで、猫の赤ちゃんに必要なのは、母猫の母乳もしくは、母乳に近い成分を含むミルクです。
では、牛乳はどうでしょうか?牛乳は牛の母乳です。つまり、母牛が赤ちゃん牛を育てるために出す乳なので、牛の赤ちゃんに有用な成分は含まれていますが、猫にとって十分な栄養とはいえません。猫の母乳には、牛の乳より多くのタンパク質や脂肪分が含まれているのです。そのため、子猫に牛乳だけを与えていたのでは、栄養不足になり、すくすくと育つことができません。
与えるときの注意点とは?
一方、牛乳には猫の母乳より多量の乳糖が含まれていますが、猫の中には「ラクターゼ」という酵素が少ないために、乳糖をうまく分解できず下痢を起こしてしまう猫がいます。人間でも、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするとか、下痢をしてしまう人がいるのと同じことなのです。ですから、猫が牛乳を飲んで下痢をするようなら、猫が欲しがったとしても与えるのはやめましょう。
なお、猫も乳製品でアレルギーを起こす場合もあります。牛乳を飲んでから5〜10分くらいで下痢や嘔吐の症状が現れたら、アレルギーが原因かもしれません。飲んで数時間後に皮膚に湿疹ができたり、体を痒そうにしていたりなどの症状が現れた場合も、乳製品によるアレルギーの可能性が考えられます。初めて牛乳をあげるときは、最初に少し飲ませてから体調に変化はないか、よく観察して、大丈夫そうだったら量を増やすようにしましょう。
ちなみに、猫に牛乳を与える場合は、冷蔵庫から出したばかりの冷えた牛乳ではなく、しばらく常温に置いてから。子猫の場合は、人肌程度に温めてからあげると良いでしょう。
猫用ミルクやペット用牛乳について
猫は生まれてから2ヵ月もすれば、ミルクからご飯へ食事を切り替えることができますが、離乳前の子猫にはミルクを飲ませる必要がありますよね。そんな場合は、猫用ミルクを選ぶと良いでしょう。
猫用ミルクは、乳糖の分解がうまくできない猫のために、あらかじめ乳糖がカットされていて、タウリンなどの猫に必要な栄養素が強化されているものです。猫の食事を販売しているホームセンターなどのほか、インターネットでも手に入れることができます。道ばたで捨てられていた子猫を保護してきたときなど、猫用ミルクがすぐに手に入らない場合は、牛乳を人肌に温めて与え、なるべく早く猫用ミルクに切り替えましょう。
牛乳を飲むことで水分や栄養補給になるの?
水はあまり飲まないけれど、牛乳なら好んで飲むため、栄養補給のために猫に牛乳をあげる飼い主さんもいるようです。けれども、主食として総合栄養食のキャットフードを与えているのであれば、栄養価の高い牛乳をプラスしてあげると、栄養過多になって太る原因にもなりかねません。ただし、食欲がないのに牛乳だけは飲んでくれるような場合には、食べない分のカロリーと栄養補給としてあげるのは良いでしょう。
牛乳は必ずしも猫にとって必要な食品ではありません。それでも、与えるときには猫の体調を見ながら注意してあげることが大切です。離乳前の子猫や牛乳を飲みたがる猫には、下痢を起こす心配の少ない猫用のミルクを与えるようにしましょう。
※この記事は猫に牛乳を積極的に飲ませることを推奨しているものではありません。人間の体に良いからといって猫にとっても良い食べ物とは限りません。逆に悪影響を与えたり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。猫の基本的な食事は、栄養バランスが良く摂れる総合栄養食としてのキャットフードがおすすめです。
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