室内で一緒に暮らす猫ちゃんに、飼い主さんがぜひとも覚えてもらいたいと思うのが、「トイレ」ではないでしょうか。猫ちゃんはもともと決まった場所で排せつすることを好む習性を持っており、清潔好きな動物。トイレの場所を覚えさせるのは意外と簡単です。猫ちゃんのしつけの中でも比較的スムーズなのが、トイレトレーニングなのです。トレーニングを成功させるコツは一にも二にも、快適なトイレ環境!トイレを気に入れば、トイレ以外の場所で粗相をするということもなくなりますよ。

トイレのしつけはわりと簡単です

猫は同じ場所で排せつする習性を持っているといわれます。砂の上で排せつをし、その排泄物に砂をかけて隠すというのは、本能的にすりこまれた行動のようです。ですから猫砂など排せつに適した条件を満たした環境を用意し、最初に2,3回誘導してあげるだけで、自然とトイレの場所を覚えます。まずは、居心地のよいトイレ環境を整えること。そこで排せつすることが快適であれば、猫はその後もトイレで排せつをしてくれるようになります。
逆にいうと、トイレ以外の場所で粗相をしてしまう猫というのは、今のトイレでは落ち着いて用が足せないということ。トイレに足をかけたり、トイレのふちや壁をカリカリかいたりするしぐさは、猫がトイレを気に入っていないというサインです。神経質な猫の場合は、納得できないトイレでの排せつをがまんするあまり、膀胱炎などの病気をまねいてしまうという恐ろしい事態になることもあるのです。
快適なトイレづくりが、飼い主さんと猫の共同生活のためにも、猫の健康のためにも大きな助けになるのですね。

猫も納得のトイレ環境とは?

猫にとって快適なトイレ環境とはどんなものなのでしょう?それはトイレ容器の形状、トイレ砂の種類、設置場所という3つのポイントが快適な状態に満たされていること、そしていつも清潔な状態になっていることです。

一般的には、以下のようなトイレが猫にとっては理想的です。

・大きく深く広々としたトイレ容器

・自然に近い鉱物系の砂

・人通りが少なく静かで、自由に出入り可能

・食事場所と離れている場所

ただ、飼い主さんの住環境、猫の好みなどによって、ベストなトイレは多少変わってくるでしょう。

確実にいえることは、どんなトイレであれ、こまめに掃除されている清潔なトイレが何より大事だということです。汚いトイレで排せつを我慢していると、膀胱炎など泌尿器系の病気の原因になりかねません。私たち人間だって、狭くて汚い公衆トイレよりも、ホテルなどの広くて綺麗なトイレのほうが落ち着いて用が足せますよね。嗅覚が敏感な猫は、人間よりも繊細にその差を感じ取っているはずなのです。

次で、トイレ掃除のやりかたをみていきます。

トイレ掃除が猫を救う!

猫は用を足したあとに、自分で猫砂をかけて始末します。でも猫砂で隠してもトイレにたまった排せつ物の始末まではできませんから、飼い主さんがトイレ掃除をする必要がありますね。

毎日トイレを掃除して排せつ物を除く

排せつ物を含んで固まっている砂の部分をとり除きます。トイレ掃除は朝夕2回、最低でも一日1回は必ず行うようにしてください。

2週間に一度、全部の猫砂を入れ替える

猫砂には少しずつ匂いがしみついていくもの。臭いがきつく感じられたらそのタイミングで猫砂を入れ替えましょう。

月に一度は容器を丸洗いする

容器はスポンジで優しく洗います。洗った容器には除菌スプレーをかけて、臭いのもとを完全に断つように。そしてできることなら、天日干しで乾かして、さらに除菌・殺菌(消臭)効果を高めましょう。

トイレ掃除で猫の健康チェック

飼い主さんは掃除をすることで、猫の尿の回数や量、便の状態を確認することができます。血尿や血便が見られる場合は、早めの診察が必要です。また加齢とともに猫に増える腎臓病は、尿の量や回数が増えたり極端に減ったりすることがサインとなります。

尿・便

色・量・回数・臭い

排尿・排便

しぐさ・場所・痛み・回数

その他

下痢便秘(3日以上)血便・メレナ・寄生虫

猫のトイレトレーニング

トイレの教え方

猫のトイレサインを見つけたら、すかさずトイレへ!

猫がそわそわしたり、匂いをかぐ前足で砂をかくようなしぐさを見せる…これがトイレサイン。
とくに寝起きや食事のあとなどは、トイレサインが見られるようです。このサインを見たら、猫をトイレの中に入れてあげます。

上手にできたらほめる

しばらく静かにようすを見守り、おしっこやウンチができたらほめてあげましょう。これが数回成功したら、もうトイレトレーニングは大丈夫です。

可能であれば、猫をもらいうけるときに、猫のおしっこの臭いがついた砂を少しわけてもらい、新しい猫砂に混ぜると、よりよいでしょう。これはトイレ容器を新しいものに替える時も同様です。

 

 

「トイレ」に関する「にゃんペディア」獣医師監修記事

■ トイレの作り方:「猫ちゃんが喜ぶ!快適なトイレの作り方

■ トイレトレーニング:「猫ちゃんのためのトイレトレーニング」 (本稿)

■ 高齢猫のトイレ:「高齢の猫ちゃんのトイレのためにできることと

■ トイレハイ:「猫あるある!?猫のナゾ行動7つと、その真意とは?

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

 

 

☞例えば、下記のような『症状』から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

<排泄>下痢をしている血便が出ている便の様子がおかしい便が出ない尿が出ない尿の色がおかしい

尿の回数や量が多いトイレを失敗する

<消化器> 吐いている血を吐く

<食事>・元気がない食欲がない食べすぎる水を沢山飲む疲れやすい太る痩せる偏食する

<口>・よだれが多い口を気にしている口の中にできものがあ食べづらそうにする歯石がついている歯肉が赤い歯肉が白い口が臭い口の中から出血している

<呼吸>・くしゃみをする咳をする呼吸が苦しそう口を開けて呼吸をする

 

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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