愛猫と一緒に暮らすなら、双方にとって安心・安全な環境を整えたいですよね。そのために知っておきたい猫の知識や、住まいで気を付けるべきポイントとは? 愛犬・愛猫向け住宅の専門雑誌『アミリエマガジン』編集部が、猫のエキスパートである清水満さんに伺いました。

 

【お話を伺った専門家:清水満さんのプロフィール】

株式会社ネコアイ」代表取締役。一級建築士、愛玩動物飼養管理士、「ねこ検定」(主催:ねこ検定実行委員会)総合監修、「愛猫家住宅コーディネーター資格」監修。猫マーケット向けコンサルティング、猫と幸せに暮らす住宅の企画・設計、製品企画・製造を行う。

 

そもそも猫ってどういう性質?

実はアフリカが起源だった

現在私たちと暮らしている猫は「イエネコ」に分類されますが、その祖先は「リビアヤマネコ」です。誕生は約13万年前、現在も中東やアフリカに生息しています。やがて、リビアヤマネコの中から残飯やネズミを狙ってヒトの生活圏内で暮らす個体が現れました。彼らはヒトの大切な食料をネズミから守るので、互いの利害関係が一致し共生するように。中でも比較的ヒトに慣れやすい個体が家畜化されていき、繁殖を重ねるうちにいっそう飼育しやすい「イエネコ」へ進化しました。

 

ひとりを愛する猫の性格

ネコ科の動物は、先祖が群れで生活していたイヌ科の動物とは異なり、基本的には群れではなく単独で行動して狩りを行います。自分の身は自分で守らなくてはいけないので、警戒心や臆病さが強い傾向があります。飼いはじめの猫が人慣れに時間がかかるのは警戒心が強いから。犬に比べてあまり鳴かないのは仲間とコミュニケーションを取る必要がないからです。とは言え、ちゃんと社会性は持ち合わせているので安心してください。飼い猫が家で鳴くときは、「ご飯ちょうだい」と要望を伝えたり、子猫がえりして甘えたりしているとき。飼い主への信頼と安心の表れでもあります。臆病でも好奇心は旺盛なので、定期的に一緒に遊んで好奇心を満たしてあげましょう。

 

公認品種は50種類

現在団体に公認されている品種は50程度、飼い猫の8割は雑種です。猫は「友人宅で生まれた」「拾ってしまった」と偶発的に飼われることが多く、自然に推移してきた動物。形・種類の変化や人間による品種改良もわずかでしたが、近年は愛玩動物としての人気急増に伴い、意図的に掛け合わせた新種が増えています。

 

猫との遊びは野生を意識

現内で生活する飼い猫にとって、飼い主との遊びは貴重な運動の時間。運動不足は肥満やストレスにつながるので、意識的に遊んであげましょう。遊びは「狩りごっこ」がオススメ。おもちゃを獲物に見立てて動かし、狩りの一連の動き(待ち伏せ・狙い・追いかけ・仕留め)をさせましょう。

 

猫も人も快適 な住まい はどうつくる? 住まいの整え方

 

脱走防止策はしっかりと

交通事故や感染症など、屋外には猫にとって危険がいっぱい。猫は好奇心旺盛で外に行きたがる動物なので、窓・ドア・玄関の脱走対策を入念にしておきましょう。「うちの子はあまり外に行きたがらないから」と思っていても、ビックリした拍子に急に出て行ってしまうこともあります。引き戸の窓は、猫が自分で開けられないように、量販店やWebで購入できる「網戸ロック」などでロックを取り付けましょう。レバーハンドルの開き戸は、ハンドルを横向きではなく縦向きに取り付けましょう。横向きだと、猫が飼い主の仕草から開け方を学習してしまい、自分で開けてしまうことがあります。 玄関には鍵を掛けておくことはもちろん、手前に格子戸やガードを取り付けて、そもそも猫が玄関まで辿り着けないように工夫しましょう。ペットガードは高さが低くて飛び越えてしまうので、天井に近い高さの柵が安心です。

 

立体的なものをおく

猫は「大好きな飼い主さんを安心できる場所から見ていたい」と思っているもの。リビングやダイニングに猫の居場所をつくれば、猫が安心するだけでなく、社会性を保つことにもつながります。猫は平面だけでなく立体にも動く動物なので、上下運動ができるように「キャットタワー」を設置してあげると良いでしょう。階段型の家具、高さの異なる家具を組み合わせたものでも十分です。ステップの幅は、猫が手を伸ばして楽に届く範囲内に。無理しないと届かない高さだと、億劫で使わなくなってしまいます。そして、設置場所は窓の近くに。窓の外の景色、木々の揺れ、空を飛ぶ鳥、歩いている人などが見えると猫の好奇心が満たされます。これから家づくりやDIYができるなら、「キャットウォーク」の設置がオススメです。その場合、行き止まりがない回遊できる設計に。猫は回遊する動物なので、後ろに戻る動きはストレスになってしまいます。途中にクッションや箱などの休憩場所を設けるのも良いでしょう。2頭以上飼っている場合は、すれ違えるように25㎝以上の幅で、複数の経路がある設計にしましょう。行き止まりをつくってしまうと喧嘩して逃げるときに飛び降りるしか手段がなく、ケガにつながってしまうからです。キャットタワーもキャットウォークも、掃除や猫の確保が簡単にできるように、飼い主が踏み台を使えば届く高さにしましょう。

 

水飲み場を複数カ所設置する

猫は本来、テリトリーを巡回する途中にある小川や水たまりの水を飲んで水分補給をします。飼い猫も同じように、家の中のテリトリーをまわる途中で水を飲めるのが理想です。そのため、水飲み場は猫の生活動線上に数カ所配置しましょう。

猫にとって、しっかり水分補給をすることはとても重要です。本来あまり水分をとらなくても生きていける性質ですが、水分補給が足りないと尿が濃くなりやすく排尿回数も減るため、泌尿器系の病気になりやすいのです。水飲み場は食事場所とは離れた位置に置き、常に清潔な水が飲めるように、少なくとも頭数+1は器を用意しておきましょう。水は食事とセットで置きがちですが、実は猫はご飯と水を同時にはとりません。「獲物を狩って食べること」と「水場に行って水を飲むこと」は、猫にとって必ずしも同じ場所ではないからです。また、猫は食事で飲み水が汚れることを嫌がるので、食事と水は離した方が好ましいとされています。容器にヒゲが当たることを嫌う猫もいるので、器は大きいサイズがオススメ。ステンレスやガラスなどの光を反射する素材も苦手なので、陶器製の器を使うとストレスなく飲めるでしょう。

 

爪とぎの置き場を種類を工夫する

猫が爪とぎをする目的は、爪のメンテナンス、テリトリーのマーキング、リフレッシュです。爪とぎの設置場所のオススメは、猫の目につきやすいところ。扉や窓の近く、柱や部屋の出で隅すみなどの出っ張った部分です。猫がリフレッシュしたくなるのは、寝起きや食後などの行動が切り替わる場面なので、食事場所、水飲み場、寝床、トイレの近くの動線上に用意してあげると良いでしょう。マーキングの観点で見ると、部屋と部屋の境界付近も適しています。猫が爪とぎを使ってくれないときは、違う場所に置いたり、素材を変えたりしてみてください。「床では研がなかったのに、壁にしたら研いだ」ということはよくあります。素材は、縄、カーペット材、ダンボールなどいろいろあるので、爪の引っ掛かりが良いものを選んであげましょう。

 

 

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本記事は、ペットライフスタイル株式会社が発行している、ペットとの暮らしを もっと豊かに楽しくするための雑誌AMILIE MAGAZINE編集部のご協力により提供しています。雑誌を購入してみたい方は、こちらをご覧ください。なおAMILIEウェブサイトでは、ペット愛好家のための住宅づくりを専門としている愛犬家住宅コーディネーターや、ペットと快適に暮らすための住まいづくりを専門にしている不動産会社・建築会社を探すことや、無料相談も可能です。ペットと暮らす住まい事例も盛りだくさんですので、ぜひご覧ください。

 

 

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猫のお世話に関するにゃんペディア記事

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□ ブラッシング:「猫ちゃんのブラッシング方法

□ シャンプー:「今すぐ実践!専門家に聞く上手なシャンプー方法

□ マッサージ:「猫ちゃんとの距離が縮まるマッサージの方法

□ 爪とぎ:「愛猫ちゃんを爪とぎ上手にする方法

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□ けりぐるみ☞「猫が大好きなおもちゃ「けりぐるみ」って何?

 

猫の歴史に関するにゃんペディア記事

猫と人間との関係の歴史に関する記事もあわせてご覧ください。

□イエネコ:「猫はどこから来たの?イエネコの歴史とルーツ

□ 世界史:「神か悪魔か。人間に翻弄された猫の歴史とは? <世界編>

□ 日本史:「猫と日本人。いつから猫は日本にいたの? <日本編>

□ 源氏物語:「猫が引き起こした大事件 ――『源氏物語』と源氏絵

□ 古典:「古典『猫の草子』に登場する猫ちゃん

□ 文学:「【文学】鼠草子絵巻に登場する猫ちゃん 

□ 物語:「忠義な猫の物語

□ 進化:「猫が猫になったとき。猫の進化の歴史とは?

□ 分類:「猫を科学的に「分類」するとどんな位置づけなの?どんな仲間がいるの?

 

猫の気持ちに関する記事

猫の気持ちに関する記事をご一読いただき、うちの子との絆を、より一層深められてください。

●にゃんペディアの専門家監修記事

■ 猫の夢:猫も夢を見るの?

■しっぽ:しっぽを振るときの猫の感情とは?

■鳴き声:鳴き声から読み取れる、猫のきもち

■サイン:猫が甘えたいときのサインを見逃さない!

■寝姿:寝相・寝姿からわかる猫の気持ち

■ゴロゴロ音:ゴロゴロという音に隠された猫のきもち

■しぐさ:可愛い仕草からひも解く、猫ちゃんの気分とは

■天気:お天気で変わる猫ちゃんの気分

■見つめる:猫がじっと見つめてくるとき、一体なにを考えているの?

■怒り:猫ちゃんの怒りのサインを見逃さないで! (本稿)

■寝場所:猫の寝る場所からわかる、猫のあなたへの好感度

 

●ペットと私の暮らしメモの獣医師監修記事

□ 猫が「ふみふみ」する理由は?仕草で読み解く猫の気持ち

□ しっぽの動きに込められた猫の気持ち!動きのパターンを解説

□ 猫の「ゴロゴロ」音の意味は?鳴き声が表す気持ち

□ 鳴き声から感じる猫の気持ちとコミュニケーション方法

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

 

 ☞例えば、下記のような「猫の行動」から、考えられる病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

□ 足をあげる

□ 歩かない

□ ふらつく

□ 性格が変わる

□ グルーミングが減った

□ グルーミングが増えた

 

他にも下記のような「気になること」から、病気やケガを調べておきましょう。

 

【治療】

■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状】

■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】

■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】

春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】

■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】

■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】

■ 命にかかわるリスクが高い

【費用】

■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】

■ 予防できる ■ワクチンがある

 

AMILIE編集部

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