ひざに猫ちゃんをのせていたら、ずりおちそうになった猫ちゃんが爪を立ててきた…「痛っ!」。小さいけれど鋭い猫の爪は、私たちの皮膚に食い込み、当たる角度によっては、皮膚が切れてしまったり、ミミズ腫れになってしまったりすることもあります。前足の鋭い爪は、猫が狩猟する動物だということを教えてくれるパーツのひとつです。猫ちゃんとの暮らしをお互いに快適にするため、猫ちゃんの爪のお手入れについて考えていきましょう。

猫の爪はどういうふうに生えてるの?

猫の足

猫の爪は、指部分にある、さやのような形の皮膚の中に引っ込んでおり、必要なときにニュッと出てくるようになっています。爪を出す場合は、爪を支えている骨の下側の腱を後ろに引っぱります。関節部分がちょうつがいの役割を果たして、爪が出てくるという仕組みです。通常、猫が力を抜いているときは、爪は引っ込んでおり、そして力を入れると爪が出てくるわけです。
この突然飛び出す構造が、獲物を一撃で捕らえたり、押さえつけて動けなくさせたりするのに役立ちます。 爪をじょうずに出し入れできるのは、狩猟する動物である猫が「音を立てずに獲物に忍び寄る」ため。爪が出しっぱなしだと、忍び寄るときに地面に爪が当たって音が出ますよね。そうすると獲物に気づかれて逃げられてしまうからです。

爪とぎと爪切りの違いは?

猫は普段から自分で爪とぎをして、古くなった爪の層を取り除いています。古い爪をはがすことで常に新しい爪をむき出しにして鋭くとがった状態にしておくのです。爪とぎは、猫本来の習性といっていいでしょう。

ただ、この鋭い状態にしておく必要があるのは、放し飼いや外で暮らす猫の場合。木に登るときや他の猫とのケンカ、獲物をとるときなど、自分の武器である爪はいつも鋭くしておきたいものです。しかし、室内で暮らす猫は、外歩きの機会が少ないので爪が磨耗することもなく、獲物をとる必要もありません。鋭いままの猫の爪は、室内匂いては飼い主さんへの脅威となってしまいます。引っかかれることもそうですし、家具や壁、柱をボロボロにされることも…。カーテンなどに爪を引っ掛けて猫自身がケガをすることもあります。飼い主さんは、事故防止のためにも、猫の爪を定期的にお手入れしてあげる必要があるのです。

また、子猫のうちはじょうずに爪の出し入れができませんし、年をとった猫は爪が出しっぱなしになってきて爪とぎをしなくなり、歩いているときも爪が出てしまうことがあります。こうした場合も爪のお手入れが必須ですね。
室内で飼う猫は、1~2週間に1度の定期的な爪切りを心がけましょう。

次で、爪切りのコツについて見ていきます。

爪切りに慣れさせるコツ

ほとんどの猫が爪切りを嫌がるといっても過言ではありません。狩りのとき、そして身を守るための大事な武器にもなる猫の前足の爪。爪とぎによって鋭く保たれた爪は猫にとっての生命線ともいえるのに、勝手に触られ、切られるなんて、猫の本能としては耐え難いことなのかも。まずは、爪切りという行為に猫を慣らしていくことが大切です。

足を触られることに慣れさせる

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日ごろ、猫とスキンシップするときに、足先や肉球をやさしくなでてあげるようにしましょう。普段からなでられて気持ちよさを感じるようになると、足を触れられることに抵抗感がなくなり、爪切りも多少はスムーズになる可能性があります。

眠そうなときと起きぬけを狙え!

眠気が襲っているときや、寝起きでボーっとしているときは、猫の警戒心が薄いとき。無防備で、飼い主さんに体を預けてしまうことが多いこの瞬間が爪切りにはチャンス!

欲張らず一本ずつからスタート!

猫の爪は前足に10本、後ろ足に8本。これを一気に切ろうとすると、よっぽど慣れていない限り、途中で嫌がられて暴れられてしまいます。猫が協力的な気持ちになっているときに、手早く1本ずつ切り、嫌がるそぶりを見せたらさっとやめること。一度に全部切ろうとせずに、何日もかけて続きを切るようにすればいいと思うと気分的にも楽です。

自信を持って集中する!

猫の爪の構造を頭に入れると、猫の爪の出し方もスムーズに。あわてずに、指を押さえて爪を出しながら爪切りに入りましょう。威嚇されることを恐れておっかなびっくりになってしまうのは禁物。切る人がもたもたしていると、猫の気が変わってしまい、爪を引っ込めてさっさとどこかへ行ってしまいますよ。

猫に嫌な記憶を残さない

2人がかりで押さえて爪を切る方法や、洗濯ネットに入れて切るという方法が紹介されることもありますが、これはおすすめできません。猫は拘束されることを嫌がる動物なので、爪切りが「嫌な記憶」として残ってしまうと、次はさらに嫌悪感が増し、威嚇してくるようになります。
穏やかな雰囲気のうちにさっと終えるのが理想です。

上記をふまえて、少しずつ爪切りに慣れさせてあげてください。

とはいえ、性格は猫それぞれ。どうしても嫌がる猫もいるでしょう。飼い主さんによっても、爪切りが苦手という方もいると思います。そんなときには、無理をせず動物病院やペットサロンなど、プロに任せることもひとつの手かもしれません。

では、いよいよ爪の切り方です。

爪の切り方

指を押して爪を出す

猫の爪

安定したところで猫を寝かせ、足をつかみます。指先のところに爪の付け根部分がありますから、そこをやさしく上下から押すと、隠れている爪が出てきます。強く押しすぎないように注意。

 

 

血管を切らないように注意して切る

爪をよく見ると、根本から半分くらいまではピンク色の部分があります。ここが血管と神経が通っているところ。このピンク色の部分は絶対に切らないようにしましょう。そこから先にある白っぽく半透明な部分が切っていいところです。猫用の爪切りを使用し、爪の先端からピンク色の部分までの中間を目安にしてカットしましょう。刃は上下から当てるよりも左右から当てる方が割れにくく、カットしやすくなります。

万が一、血管を切ってしまった場合は、あわてずにガーゼなどでしっかり押さえてください。とくに病気がない猫であれば、2分ほど押さえておけば、血は止まります。ずっと血が止まらない場合は、病院に連絡を!

 

お世話に関するにゃんペディア獣医師監修記事も合わせてご覧ください。

ブラッシング☞「猫ちゃんのブラッシング方法

シャンプー☞「今すぐ実践!専門家に聞く上手なシャンプー方法

マッサージ☞「猫ちゃんとの距離が縮まるマッサージの方法

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 

 

 
☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

多頭飼育で注意

人にうつる

子猫に多い

ワクチンがある

初期は無症状が多い

再発しやすい

かかりやすい病気

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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