妊娠中の猫ちゃんは食欲が増し、落ち着きがなくなるなど、いつもと様子が違ってきます。これまで以上に健康管理には気を配らなければいけません。必要な栄養素を摂らせてあげることをはじめ、ゆっくりくつろげる環境づくり、さらに出産箱の準備など、やるべきことはたくさん。いざ出産が始まってしまえば飼い主さんにできることはあまりありません。元気な赤ちゃん猫が産まれることを祈るだけですが、無事に出産が終わるまで気は抜けません。難産になっても慌てず対処できるよう、心の準備をしておくことも大切です。

妊娠中の体の変化

猫の妊娠期間は64〜67日で、交尾後3週間ぐらいで妊娠の兆候が見られるようになります。乳首がふくらみピンク色に変わり、お腹のふくらみも感じられるようになります。このタイミングで一度、動物病院で検診を受けるようにしましょう。

妊娠後、30日ぐらい過ぎると徐々にお腹がかなりふくらみ、おしっこの回数が増えてきます。これは胎子が大きくなったため、膀胱が圧迫されるからです。45日後ぐらいになれば超音波検査やレントゲン検査で胎子の数がわかるので、この時期、再度検診を受けましょう。2カ月目になるとお腹が目立つぐらい大きくなります。生殖器をさかんに舐めるようになり、そわそわしはじめます。出産直前はまれに乳首から母乳が出ることもあります。

妊娠中の食事

妊娠すると食欲が旺盛になります。1カ月後にはますます食欲が増し、いつもの倍くらい食べます。妊娠中は胎子の分も栄養を摂らなければいけないので、必要なカロリー量は通常の約2倍になります。良質なたんぱく質を多く摂らなければいけないなど、必要な栄養素も変わってきます。

市販されている子猫用フードの中には妊娠母猫用を兼ねるものも販売されていますので、そうしたフードを食べさせてあげるのもおすすめです。ただし、出産直前は食欲が減退します。

出産準備をしましょう

出産が間近になると、猫は安心して出産できる場所を探します。それまでに出産箱を用意しておきましょう。母猫が横になれるぐらいの大きさの段ボール箱を用意し、猫が簡単にまたいで出入りできるよう、前面の一部を切り取っておきます。まず底にペットシーツを敷き、その上に汚れても大丈夫なバスタオルを敷きます。さらにちぎった新聞紙を重ねていきます。

 

いよいよ出産!

そわそわして出産箱の中をかきまわし始めたら、それが出産の合図です。出産が始まったら飼い主さんにできることはありません。手出しは厳禁ですが、難産になる場合に備えて、母猫の様子が分かる場所で見守るようにしてください。陣痛が始まると体を伸ばし、いきみ出します。通常は陣痛が始まって第一子が誕生するまでは約30分ですが、もし陣痛が1時間以上続いているようなら要注意です。産道に赤ちゃん猫がつかえている恐れがありますので、獣医師に連絡し指示を仰いでください。

赤ちゃん猫が誕生!

 

陣痛が始まって約30分後、第一子が誕生します。子猫を覆っている透明な膜を母猫が破り、子猫の体を舐めるとその刺激で子猫が産声をあげます。分娩が順調に進めば、約15分おきに子猫が生まれます。もし仮死状態で生まれたら、顔の羊水を拭き、両手で子猫の全身を包み軽くふります。その後、乾いたタオルで体を拭きながらこすってあげて下さい。そこで産声を上げたら問題ありませんが、蘇生しないようなら動物病院に連絡をするなど、慌てずに対処してください。

母猫が分娩後に出て来る胎盤を食べて、子猫のへその緒を噛み切った後、子猫の体を舐めてきれいにします。一方の子猫は母猫の乳首を探して授乳を開始します。こうして無事に出産が終了したら、母猫にご飯をあげましょう。

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東京猫医療センター 院長

服部 幸

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