自分が弱っているところを見せまいと具合の悪さを隠す、それが猫という生き物です。そして不調があったとしても、ことばで訴えることができません。だからこそ、体や行動の異変から、その不調のサインを早めに飼い主さんが気づいてあげるほか方法がないのです。トイレ掃除やブラッシングなどの定期的なお手入れなど、飼い主さんとのスキンシップや日々のお世話の中でチェックできることは多いもの。猫ちゃんが出すSOSのシグナルを見逃さないよう、健康チェックを習慣にしたいですね。

健康チェックのポイントは?

よだれがよく出る、ウンチがゆるいなど、猫の不調は日常生活のさまざまなところにちょっとだけ顔を出します。気になるサインが見られたら動物病院に相談してみましょう。猫の健康状態を知るために、またいつもと違う様子がないかを確認するために、日々チェックしておきたいポイントは以下の通りです。

おしっこ・ウンチに異常はないですか?

□ 色、臭い、量、回数が変わった。

□ 下痢、便秘をする。

猫は泌尿器系の病気にかかりやすい動物なので、普段からおしっこやウンチの状態を細かくチェックしておくことをおすすめします。毎日のトイレ掃除のときには、排せつ物チェックを忘れずにしてくださいね。おしっこが1日以上、ウンチは3日以上出ていないときは、すぐに病院へいきましょう。

体に触れてみて異常はないですか?

□ 触ると嫌がる、あるいは怒ったようなしぐさをする。

□ 体のどこかが腫れていたりしこりができている。

□ 一部分が脱毛している。

□ お腹がふくれている。

ブラッシングのときや、スキンシップするときなどに、ゆっくりていねいにさわってチェックしましょう。妊娠の兆候がないのに、お腹が大きくふくれているときは、重度の便秘など、何かの病気の可能性も。 また、毛が異常に抜けたり、体の臭いが異常に強いときは皮膚に異常が起きている可能性があります。

いつもと違うしぐさや行動をしていないですか?

□ 異常に興奮していたり、落ち着きがなかったりする。

□ 足をかばって歩いている、また立ち上がるときに痛そうである。

□ よろけたり、震えたりしている。

□ 歩き方がスムーズでない(うまく歩けていない)。

□ 発作やけいれんがある。

□ 動作が鈍い。

□ 遊びたがらない、運動をしたがらないなどの様子がみられる。

 

環境や生活がとくに変わっていないのに、いつもと異なるしぐさをしたり、様子がいつもと違ったりする場合は要注意。歩き方がおかしいときは、ケガ、骨や筋肉の異常、あるいは足裏に何かが刺さっていることが原因の場合も。

食欲はありますか?水は飲んでいますか?

□ 全くご飯を食べない。

□ 水を飲もうとしない。

猫は食欲にムラがある動物ですが、極端に食べない、逆に過食しているときは注意。また、普段の2倍以上も水を飲んでいることが続くなど、飲水量の変化も病気の兆候の場合があるので注意してください。

体の部位別・チェックリスト

猫の不調のサインは、体のいろいろなところにもあらわれます。パーツごとのチェックポイントをみていきます。こうしたサインが現れたら動物病院で見せたほうがよいでしょう。

□ 耳の中が黒または茶色の耳垢で汚れている。

□ 嫌なニオイがする。

□ 耳を振る、しきりにかく。

□ 耳のまわりの毛が薄くなった。

正常な耳の中はピンク色。耳の中に異常があると、頭を左右に振ったり、耳をかいたりします。また耳垢が出ているときは外耳炎の疑いが。また黒っぽい粒状の耳垢が出るときは耳ダニがいるおそれもあります。

□ 起きているときに鼻の先が乾いている。

□ 鼻水がたくさん出る。

□ 鼻が詰まっている。

□ くしゃみをする。

□ 鼻血が出る。

猫の鼻は睡眠中にはすこし乾いていますが、起きているときは適度に湿っています。また、激しいくしゃみやドロッとした鼻水が出ているときは、細菌性の鼻炎にかかっている場合もあります。
ただし、鼻づまりがひどくなってくる、もしくは鼻血が出る、鼻が変形してきたなどの症状が見られる場合はがん(悪性腫瘍)の可能性もあります。鼻はガンができやすい部分でもあります。このようなときは、すぐに動物病院で受診するようにしてください。

□ 涙や目ヤニが大量に出る。

□ 目をこする、かゆがるしぐさをする。

□ 目が充血している。

□ 目が白く濁っている。

□ 瞬膜(目頭部分にある白い膜)がいつもより出ている。

目の輝きや動き、目のまわりなどをしっかりチェックします。健康な目は澄んでいて、目ヤニがたくさんつくことはありません。瞬膜(目頭に近い側の白い膜)がいつもより出ているときは、明らかに体調が悪い証拠です。目に異常が現れるのは、目の病気だけでなく、全身的な病気が原因のこともあります。

□ よだれが出る。

□ 口臭が強い。

□ 歯がぐらぐらしている、歯から出血している。

健康な猫の歯肉や舌はピンク色ですが、白っぽければ貧血、赤く腫れていれば口内炎や歯肉炎の可能性があります。歯の健康は日ごろの歯磨きが大切です。

皮膚

□ 傷や湿疹がある。

□ 脱毛している、抜け毛が異常に多い。

□ フケが多い、毛につやがない。

□ 体をしきりにかく、なめる。

□ できものがある。

健康な猫の毛にはつやがあり、どこか一部分の毛だけごっそり抜けるということはありません。過度なストレスを感じている猫は、毛がぬけてしまうほどなめることもあり、またその毛玉が体の中でかたまりになることも。できものは、がん(悪性腫瘍)の危険もありますから、要注意です。

 

もしかしたら、これくらいで病院に行っていいの?と悩む飼い主さんもいるかもしれません。けれど、ちょっとした症状や、様子の変化が重大な病気の兆候ということは少なくありません。日ごろから観察しつつ、病院に行くべきかどうか迷ったら、まず獣医師さんに電話して症状を話し、相談してみるとよいでしょう。

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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