あと数日で殺処分、という状況に置かれていた保護猫たちが生み出したビジネス

みなさん、「保護猫」というとどんなイメージを持たれるでしょうか?

きっと多くの方が飼い主に捨てられた猫、迷子になってしまった猫、野良になってしまった猫などを思い浮かべるでしょう。そして、保護されてから数日待っても引き取り手が現れなかった猫たちは、殺処分されてしまうというシステムについて、考える方も多いでしょう。あまりに過酷な現実に、まっすぐ向き合えない方も多いのではないでしょうか?特に大人になってしまった猫は、子猫に比べて引き取ってもらう可能性が低く、新しい飼い主に出会える確率はたったの10%以下。大きくなってから保護された猫は、その大半がつらすぎる現実に飲み込まれているのです。

しかし今、とある企業ではそんな大人になってしまった保護猫たちが大活躍しているのです。その企業で目にする保護猫の姿は、前述のイメージとは全く別物。約7,000万円の資金調達を成功させ、テレビや雑誌でも取り上げられ、いまやその企業の中では「もう保護猫たちの猫手が足りない!」という、嬉しい悲鳴があがっているほど。今回はそんな保護猫たちの起死回生ストーリーから、今注目されている新しいビジネスモデルをご紹介します。

大人になってしまった保護猫たちだけで運営される新しい猫カフェ

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今、斬新な猫カフェとして注目を集めているネコリパブリック(共和国)、通称『ネコリパ』。この猫カフェにいる猫たちはすべて保護猫なんです。一般的には次の飼い主さんに引き取られにくいとされる、大人になってしまった保護猫たちが働いています。

普通の猫カフェとして楽しむこともできますし、気に入った猫ちゃんに出会えたら引き取ることもできます。ひとり暮らし等で引き取ることが難しい方でも、お店でお茶をしたりグッズを購入したりすることで、ネコリパの運用資金集めに貢献し、「楽しみながら」保護猫たちを救う活動に参加できる仕組みなのです。

ちなみにこの猫の王国、初めて入国するときは入国手続きが必要となり、パスポートが発行されます。パスポートは次回の入国には必須で、通うとビザスタンプがたまっていき、それに伴い爵位が上がる制度になっています。入り口前の階段でステッカーの猫がお出迎えしてくれるなど、高揚感の煽り方がとにかくうまい。

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いざ入国すると、そこにはかわいらしい猫たちのくつろぐ様子が・・・。キャットタワーをガリガリしたり、おもちゃに飛びついたり、ひなたぼっこしてウトウトしたり、まるで本当に猫の王国に迷い込んだような気持ちになります。本当に保護猫だったのか疑うほど猫たちは人なつっこく、気が向くままにじゃれてきたり、ふいっといなくなったり、膝の近くでコロンと寝転んだりと、保健所や譲渡会では気付けない、猫本来の持つ愛らしさに触れることができます。

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今まで、動物の保護活動では「あなたがなんとかしないと、可愛い動物たちは殺されてしまいますよ!!」という辛い現実を伝えることが一般的な手法でした。しかし、残酷すぎる現実に立ち向かえる人は、そう多くありません。日々殺されている猫たちをどうにかしたくて譲渡会や保健所に行ったとしても、死を待つ猫たちの中から引き取る一匹を選ばなければならない。その場に足を運ぶことなんてとても辛すぎてできない。どうすることもできない現実に胸を痛め、目をそらしてしまう人のほうが多いのです。

ネコリパではそういった辛い現実を突き付けるのではなく、楽しい未来をイメージさせることで、ユーザーの心を掴むことに成功しました。目の前でおなかをむけて、ゴロゴロと喉を鳴らす可愛らしい猫と一緒に過ごす未来。ネコリパで味わう幸福感が、もしも日常の物になったとしたら・・・。そんな楽しい将来に思いを馳せながら、多くの猫たちを救うことにも貢献できるため、ネコリパには多くの人から支持されているのです。

殺処分から免れた猫たちが人々を幸せにし、保護猫たちによって幸せな気分になった人たちが、また猫たちを救う。ネコリパの代表、河瀬麻花さんは、このサイクルの事を『ハッピーネコサイクル』と呼んでいます。

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今まで根強い社会問題だった保護猫たちを、うまくビジネスに転換させた河瀬さんですが、このビジネスモデルのヒントは一体どこから得たのでしょうか?後編では、ネコリパがどのように生まれ、どのように大きくなっていったのか、河瀬さんのネコリパにかける想いとともにご紹介させて頂きます。

保護猫だからって安売りはしない

代表の河瀬さんはもともと、実家のベーグル屋さんをお手伝いする中で、通販サイトの運用をしていました。小さいころから猫が好きで、ベーグル屋さんの看板も猫をモチーフにしていたのだとか。通販サイトの運用を通じて、「商品がある幸せな未来を想像させる」ことが、ユーザーの心を動かす鍵となることに気付きます。そうしてベーグル屋さんのサイト運営を軌道に乗せている中、東日本大震災が起こります。

そこで河瀬さんは、多くのペットたちが取り残されていることを知りました。すぐに東北に行くことはできなくてもなにか自分にできることはないか必死に考えて、動物保護団体に寄付するための特別商品を作ってネットで販売したところ、これが大ヒット。

想像を大きく上回る反響に、河瀬さんは猫を救いたいと思っている人たちが実は世の中にたくさんいることを知ります。そして自分たちの払っているお金がなにに使われているのかが明確になれば、ユーザーはきちんとお金を払ってくれることにも気付きます。

このことがきっかけで、『頂いた金額の使用方法を明記したうえで商品に付加価値を付け、通常よりもやや高い金額で販売する』というビジネスモデルを確立します。

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今もネコリパの商品はネット販売も行っていますが、商品名の欄には、「この商品のご購入で○○円保護猫活動費に支援されます。」という一文を冒頭に記載。商品の購入をすると、そのうちいくらが保護猫活動に使われるのかが明確にわかるため、多くのユーザーから共感してもらえる上、他社との差別化をはかることもできるそうです。

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ちなみに、ネコリパの資金源となっているのは、販売しているグッズ以外にも「新しくやってきた猫に名前を付ける権利」や、「似合う首輪を選ぶ権利」、「気に入った猫ちゃんのあしながおじさんになれる権利(猫を指定して支援金を出すことで、その人だけにしか見れない猫のフェイスブックページを見ることができ、毎日その猫ちゃんの最新画像を受け取ることができる)」などといった、品物以外の商品も多数あります。

保護猫だからって安売りをするのではなく、保護猫本来の魅力をきちんと伝わる仕組み作りを徹底して、適正な金額を頂く。だってネコリパにいる猫たちはペットショップに飾られている猫と同様、本当に可愛いんです!!ただ人々がその可愛さに気付ける機会がなかっただけで、猫たち本来の魅力をきちんと届けることができれば、お客さんは必ず保護猫たちにお金を使ってくれます。(※譲渡の際は一般的な保護猫同様、費用は頂いておりません。)

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そうやって利益になったお金でまた新しい猫カフェを出店し、さらに多くの猫を保護施設から救出し、ゆくゆくは猫を飼いたいと思った人がまずはネコリパに訪れるようになる大きな流れを作りたい。新しい家族を迎える場としてペットショップが人気なのは、保健所や譲渡施設にはない『ワクワク感』を作るのが上手だからなのでしょう。ネコリパではその上をいくワクワク感をお客様に楽しんで頂くことで、いつかはネコリパで家族を迎えることが当然の世の中になって、殺処分がなくなることを目指していると河瀬さんは言います。

その目標への足がかりとして、今は大阪に保護猫複合施設「ネコビル」一棟を建設予定です。ビルは5階建てで「猫カフェバー」「猫作家の作品が買えるネコ市ネコ座」「ネコリパブリック」「猫とお昼寝できる休憩スペース」「シェアオフィス」など、階によってそれぞれ異なる猫とのふれあいを体験できます。今までにないワクワクを体験できるので、猫好きの方はぜひ足を運んでみることをオススメします。

目的を共有することが力に

とはいえ、河瀬さんのやり方に否定的な人もいたといいます。もちろん、なにもかもすべてが順調だったなんてことはないんですよね。そんなとき河瀬さんがどのように壁を乗り越えてきたのか、教えて頂きました。

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「多くの猫たちを救いたい、そんな目的に共感してもらえる人を集めることに私は一番注力しています。人間十人十色で、考え方が違う人がいるのは当然。違う考え方の人に無理に賛同してもらうよりも、考えの異なる人から受ける批判に落ち込むよりも、同じ目的・同じ考えを持った人をもっともっとたくさん集めることに力を使いたいです。」と河瀬さんは言います。だから批判されたとしても、考え方が違う人なんだと割り切っているそう。

そしてそれはお客さんに限らず、一緒に働いてくれる仲間たちについても同じです。ネコリパには社員とアルバイト、ボランティアのメンバーが働いていますが、スタッフ全員が社長と同じ目的を共有しているそうです。「猫を救いたい」という社長の目的に共感して集まってくれたスタッフたちだから、判断基準に明確な軸があり、ブレない強い組織になっているんです。先述した「猫の命名権」や「あしながおじさんになる権利」などの無形商品については、スタッフからあがってきたアイデアを基にしたものも多いとか。

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他にも、河瀬さんの知り合いの有識者たちが、それぞれ自分の知り合いの中で一番の猫好き有識者である人を集めて、「ネコ有識者会議」を開催し、そこからアイデアのヒントをもらうことも多いそうです。河瀬さんと同じ目的を共有する人たちが集まって大きな力を生み出しています。

河瀬さんと同様、猫たちを殺処分から救いたいと思っている方、ぜひ気軽にネコリパブリックを訪れてみてください。悲惨な現実とは無縁の、愛らしい猫たちがお出迎えをしてくれますよ。

 

ネコリパブリック公式サイトは‘こちら’

ネコビル公式サイトは‘こちら’

 

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にゃんペディア編集部

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