2011年3月に発生した東日本大震災は各地に甚大な被害をもたらしました。たくさんのネコちゃんが被災しましたし、一緒に避難することができず避難指示区域に残されたネコちゃんも相当数いたと推測されます。被災者同士のトラブルを避けるため、ペットの同伴を禁止した避難所や仮設住宅もあったといいます。大勢の人が一緒に暮らすことを考えれば、それもやむを得ない処置かもしれません。だからこそ、普段から災害シミュレーションをしておくことが大切なのです。災害が起きた時、どうやって避難するか? 避難する時に持ち出すものは? どこに避難するか? 大事なネコちゃんを守るために考えておくべきことはたくさんあります。

日頃からすべきこと

情報収集

避難 地図

自宅近くの避難所の場所を確認すると同時に、そこにたどり着くまでのルートも頭に入れておきましょう。ペットの災害対策は自治体により異なりますが、なかには「ペットとの同行避難」を呼びかけているところもあります。また、発生後数日経つと、自治体や地域の獣医師会、愛護団体などが運営する「動物救護センター」が開設されます。ここでは、避難所に同伴できなかったペットの預かりをはじめ、治療やフードなどの提供などが行われます。自分が住んでいる地域の取り組みを確認しておけば安心ですし、いざという時に備えて準備すべきことが明確になるはずです。

キャリーバッグに慣れさせる

猫を乗り物に乗せる前に考えたいこと【獣医師が解説】』でもお伝えしましたが、日ごろからキャリーバッグに慣れていないと、揺れている中で猫ちゃんを捕獲し、キャリーバッグに入れるなんてできません。キャリーバッグは動物病院に行くときや飼い主さんがペットホテルに預ける時等、猫にとってはいい思い出がないものかもしれません。ゆえに、日ごろからキャリーバッグをお部屋におき、その中でご飯を与える等いい思い出を作ってあげるよう心がけましょう。どうしても猫がつかまらない場合は、洗濯用のネットを使うといいでしょう。

ハーネスの訓練

ハーネスをつけた猫

メインクーンやラグドール等の重くて大きい品種や太り気味の猫を抱え、猫と人間用の避難袋を持ち、避難所まで歩いて…なんて考えられませんよね?そんな時は日ごろからハーネスをつけて歩かせる訓練をするといいかもしれません。ただし、猫はとても体が柔らかくハーネスからスルリと抜けてしまうので、猫の体系にあったハーネスを探し、毎日少しずつ嫌がらない程度に慣れさせましょう。

多頭飼いの場合は分担を決める

多頭飼いの場合、ひとりですべての猫をスムーズに避難させるのは不可能です。どの猫を誰が連れて避難するか、家族のなかで役割分担をきちんと決めておきましょう。人手が足りないようなら、手伝ってくれる知人を確保するなど、あらかじめ決めておくことが大切です。

必ず一緒に避難する

ひとまず自分が先に避難し、落ち着いたら迎えに行こうと考える飼い主さんもいるかもしれませんが、災害が発生したら一緒に避難することが原則です。動物愛護管理法を管轄する環境省は『災害時におけるペットの救護対策ガイドラインを発表し 、災害時には飼い主が責任をもって避難先まで連れて行くことを推奨しています。

あとで助けにいこうと思っても火災や倒壊、土砂崩れなどの二次災害で自宅に近づけないことも考えられますし、残された猫がパニックを起こし飛び出してしまうことだってあるでしょう。もし猫がおびえて物陰に隠れてしまっても、なんとか誘い出し一緒に避難してください。そのためにも猫が逃げ込む場所を把握しておくことも必要です。その場所がキャリーバッグになるように普段から慣らしておけば、いざという時に急いで避難できます。

非常用持ち出し用品を用意する

東日本大震災のあと、非常用持ち出し袋を準備された人も多いと思います。非常用持ち出し用品が必要なのは猫も一緒です。ただし、キャリーバッグに猫を入れて運ぶことを考え、猫用の持ち出し用品は必要最低限にとどめ、リュック等両手があくものに入れて準備しておきます。

ご飯等

救援物資としてペットフードが届くようになるまで数日かかると思われますので、フードと水は3〜5日分ぐらいを目安に用意しましょう。タッパ―等の食器も必要です。毎日洗えない可能性も考慮した食器を準備しましょう。

もし普段療養食を食べているのであれば、最低1週間分は必要です。

常用薬

もし服用中の薬があるなら、優先して持ち出しましょう。災害後、動物病院が復旧するまで時間がかかることも考えられますので、心臓病など長期間服用しなければならない薬は1週間分ぐらい余分にもらっておくといいでしょう。

猫の写真と健康状態がわかるもの

避難途中、もし猫とはぐれてしまった場合のことを考え、写真(全身と顔のアップ)を数枚用意しておきましょう。探す際に役立ちます。また、動物救護センターなどに猫を預けなければいけなくなった時、健康状態を記入したものがあると説明しやすくなります。

トイレ関連グッズ

ポータブルトイレ、猫砂、ペットシーツ、新聞紙等。トイレだけではなく、何かと役に立ちますので、もし荷物に余裕があれば数枚用意しましょう。

その他

風邪をひいた猫

猫だってストレスがたまります。できればキャリーバッグではなく、簡易ケージに入れてあげて、緊張しているようであればバスタオルをケージにかけてあげましょう。また、ストレス緩和の為に定期的にブラッシングしてスキンシップをはかり、またたびやフェリウェイ等を利用してストレスを緩和してあげるのも一つの方法です。

避難所で気をつけること

避難所では見知らぬ人同士が大勢暮らすことになります。中には猫アレルギーの人や動物が苦手な人がいるかもしれません。集団生活のルールを守って生活しましょう。

猫 街

周囲への気配りを忘れずに

避難所に入ったら、まず猫がいることをきちんと周囲に伝えます。その上で、猫アレルギーや猫が苦手な人とはできる限り距離を取るようにします。抜け毛対策や排泄物の処理は何より大切。また食事中は猫と一緒に外に出るなど、動物と一緒に避難している人たちと連携し、避難所での飼育ルールを作っていきましょう。詳しくは、『飼う前に知っておきたい猫アレルギー【獣医師が解説】』を参照してください。

猫の健康に気をつけて

避難所での生活は人間はもちろん、猫にとっても大きなストレスになります。体調を崩すこともありますし、普段は大人しい猫が突然噛みつくなど異常行動を起こすことも考えられます。いつもと違う様子が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。

避難生活を長引かせない

避難生活が長引けば、それだけストレスが蓄積されていきます。もし避難所での生活が長引くようなら、親戚や知人に預かってもらうのもひとつの方法です。日頃から猫をいろいろな環境や人に慣らしておく、一時的に預かりを頼める人を探しておくのも大切な災害対策です。

迷子になった時のために

マイクロチップ

ふだんは飼い主さんのそばを離れない猫でも、災害時はパニックになってしまうことは十分に考えられます。ふと目を離した隙に逃げ出したり、避難の途中、はぐれてしまったりすることもあるかもしれません。そうした事態に備えて、猫には迷子札をつけておくといいでしょう。飼い主さんの名前、住所、連絡先、猫の名前などを書いた迷子札を首輪につけておきます。

また最近ではマイクロチップを装着させる飼い主さんも増えています。マイクロチップとは、いわゆる電子版迷子札で、猫それぞれの個体識別番号が記録されています。専用の読み取りリーダーを使い番号を読み取ることで、そこに登録されている飼い主さんの情報がわかるという仕組みになっています。装着には、動物病院で皮下注射を行い、費用は登録料込みで4,000〜8,000円です。

 

(参考)ペットの防災コンテンツ 青森県の避難所情報を共有
みんなで作る!人とペットの避難所MAP FOR AOMORI

アイペット損保では、2019年10月に青森県と動物愛護に関する連携協定を締結し、同県との取組みの中で、県内在住のペット飼育者が、災害時にペットと一緒に安全に避難するための避難所情報を共有するための「避難所マップ」をウェブ上で公開しています。マップ上では、ペットと一緒に過ごすことができる「同伴避難OK」の避難所など、県内すべての避難所を確認でき、県民自らがペットの受入れ態勢の情報を確認して登録する「参加型の仕組み」となっています。2019年の開始当初約40カ所だった青森県内の同伴避難ができる避難所は、現在では94カ所(2021年3月現在)にまで増加しています。

 

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