毎日の生活の中で、愛猫のちょっとした変化に気づいてあげられるのは飼い主さんしかいません。「ちょっと変かも」「いつもと違うな」という飼い主さんの目線は大切で、なかでも生命の維持に必要な「食事」「飲水」「排泄」「呼吸」という基本的な活動に気を配ることは重要です。これら4つの活動に対し、チェックすべき変化とその原因について解説します。

適正な食事量ってどれくらい?

 

キャットフード総合食のパッケージに表示されている1日の分量が適正量です。ただし、この量は運動をよく行っている猫を基準としているため、完全室内飼いの場合は9割程度にひかえるか、カロリーの低い室内飼い猫用のフードを与えましょう。

食事量・食欲の異常

症状1

食欲が減ってきた、まったく食べない、食べたそうなのに食べない

 

<原因>
内臓の障害、腫瘍、感染症、ケガによる痛みがある、精神的なストレスがある、などのことが考えられ、発熱や嘔吐下痢、咳などを伴うことも。食べたそうにしているのに食べられないときは、のどの痛みや口内炎や歯肉炎など、口腔の問題や鼻や脳に障害がある可能性もあります。

 

【観察ポイント】
口臭はきつくないか
□ 食べるときに痛がっていないか
よだれが出ていないか
□ 臭いだけは嗅ぐのか/まったく興味を示さないのか
□ どんなタイミングで食欲がなくなったか

症状2

食欲がとても旺盛(ご飯の要求が激しい、食べる量が増える)

 

<原因>
食欲が旺盛である場合は、単に成長期であったり、妊娠や環境の変化、食事の嗜好性の問題だったりするかもしれません。ですが、ご飯をしょっちゅう要求したり、よく食べているのに痩せてきたりしているときは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や、糖尿病、腸の消化吸収障害、消化管内寄生虫症などが考えられます。

 

【観察ポイント】
□ 食べているのに体重が減ってはいないか
□ 飲水量やおしっこの量が増えていないか

適正な飲水量ってどれくらい?

飲水量を計測するのは、食事からの水分もあるためなかなか難しいのですが、およそ1日に体重1㎏あたり50ml以下が適正とされています。これを超えると多飲といわれますが、個体差もありますので、愛猫が1日にどのくらい水を飲んでいるのか測定し、その量を基準として多い、少ないといった変化を見たほうがよいでしょう。

飲水量の異常

症状1

いつもより飲水量が減った、まったく飲まない

 

<原因>
猫はふだんからあまり水を飲みたがらないため、体調不良や、精神的ストレスで飲水量が減りがちです。口内炎など口に炎症があるときも水を欲しがりません。水をまったく飲まない場合は、病気が重症化しているかもしれませんので、すぐに獣医師に相談してください。

 

【観察ポイント】
よだれが出ていないか
□ 食欲はあるか

症状2

いつもより飲水量が増えた

 

<原因>
糖尿病甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などでも飲水量が増えますが、猫の場合、老化に伴って腎臓機能が低下するため、腎臓の病気を特に気をつけなければなりません。腎臓や腎臓の働きを補助するホルモンに何らかの異常があると、体内の水分が不足がちになり、のどが渇いて飲水量が増えます。飲水量が明らかに増えたと感じたときは、獣医師に相談しましょう。

 

【観察ポイント】
□ 尿量に変化はないか
□ 食欲はどうか
□ 体重減少がないか

成猫の健康なウンチの特徴とは?

ウンチは、色、状態(硬さ)、量、臭い、回数などを毎日確認するとよいでしょう。

 

【正常時のウンチの特徴】
色:茶色~黒に近い茶色で艶がある
硬さ:やや硬めで、猫砂があまりつかない程度
量:人間の人差し指1本分程度
臭い:ウンチそのものの臭いのみ
回数:1~2回/1日
その他:ウンチ以外には何もない(少し猫の毛が混じることもある)

 

健康なウンチ


ウンチの異常

<原因>
下痢の場合、非常に多くの病気が考えられるので、特に子猫や老猫 はすぐに獣医師に診てもらいましょう。便秘は、大腸や肛門周辺の器官に閉塞や、ヘルニアなどによる神経障害、巨大結腸症などによっても起こります。

 

【観察ポイント】
□ 色:ウンチの表面に血などが混じってないか
□ 硬さ:小さくコロコロしているのか/持てないほど柔らかいのか
□ 量:どれくらいの量か
□ 回数:数日出ないのか/1日に何度もするのか
□ その他:ウンチ以外に寄生虫や寄生虫の卵が見える/いきむとき苦しく鳴いたり/嘔吐をしたりする/床にお尻をこすりつけて歩く

成猫の健康なおしっこの特徴とは?

おしっこの場合は、量、色、臭い、回数を観察します。

 

【正常時のおしっこの特徴】
量:体重4㎏の猫であれば、1日に約100ml(1日4回おしっこする猫であれば、1回25ml程度)
色:透き通った薄めの黄色
回数:2~3回/1日

おしっこの異常

<原因>
高齢化とともに猫は腎臓機能が低下するため、おしっこの観察は特に大切です。そのバロメーターが「量」。頻尿や尿量の増加は下部尿路疾患、多尿は腎臓病糖尿病が疑われ、尿が出ないときは、尿路結石が疑われます。

 

【観察ポイント】
□ 1日に何度もトイレに行っていないか
□ トイレにいる時間が長くないか
□ 量が異常に多くないか
□ 色に異常がないか(血が混じる/オレンジ色をしている/キラキラしている/白っぽく濁る)
□ 排尿時に痛くて鳴いたりしないか

正常な呼吸とは?

1分あたり20~35回の呼吸数が正常ですが、同時に、呼吸方法や音の有無を確認しましょう。呼吸数は、猫が安静にしているとき(寝ているとき)に、お腹の上下の動きを1回として、15秒間数えます。その数を4倍すれば、1分間の呼吸数が分かります。

呼吸の異常

<原因>
空気の通り道となる、鼻、咽頭、気道に異常があったり、心臓や肺などに異常が生じたりすると呼吸が苦しくなります。また、発熱や熱中症など高くなった体温を調節しようとして呼吸が荒くなることもあります。

 

【観察ポイント】
□ 呼吸数が速くないか/遅くないか
□ ヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸音をしていないか
□ 鼻がヒクヒクしていないか
□ 口で呼吸していないか
□ 胸が大きく動いていないか
□ 呼吸が浅くないか
□ 震え、よだれ嘔吐などはないか

 

猫の体調不良に気づくには、ふだんから愛猫がどのような状態なのかを知っておくことが大切です。そうすれば、ちょっとした違いにいち早く気づき、病気の予防・早期発見が可能になります。猫の健康を維持するためにも、日々の様子を観察することを習慣づけるようにしましょう。

 

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竹原獣医科医院 院長

竹原秀行

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