私たち人間にとっても、もっとも基礎となる生理的欲求である排便と排尿。これらがスムーズであることこそ健康の基本です。ウンチは食べたものが消化管を通って、体外に排せつされるもの。ウンチには猫ちゃんの体内で起こっている異変があらわれますから、ウンチのチェックをしていることで体調の変化や病気のサインをみつけやすいのです。日ごろのトイレ掃除のときには、ウンチの形状など、きちんと観察してあげましょう。

 

毎日チェックしたい! いいウンチ悪いウンチ

便秘下痢、あるいは血便といった場合はすぐわかりますが、それ以外の差は、ふだんから猫のウンチを観察していないと異変に気づきにくいかも。ちょっとした異変は日々のウンチにサインとして現れている場合がありますので、まずはいいウンチと悪いウンチを見極めましょう。

猫の排便はだいたい一日一回。腸内環境や食べているものによって個体差はあるものの、健康な猫のウンチは、共通している特徴があります。

猫 うんち

健康なウンチの特徴

・ミルクチョコレート色~こげ茶色

・硬すぎずやわらかすぎず、細長い形でひとまとまりになっている

・未消化の食べものなど異物が混じっていない

 

色をチェック!

ウンチの色は、消化の際、胆汁に含まれるビリルビンという物質の濃度によって変化します。黄色が濃い、または緑がかった色のウンチは小腸で十分な消化吸収が行われておらず、消化不良を起こしている可能性があります。白っぽい、あるいは灰色っぽい黄色は胆汁が不足しているか、すい臓の機能が低下していることでこうした色になるといわれています。

赤い色、タール状になった黒色になると、消化管のどこかで出血している可能性があるので、はやめに動物病院で受診したほうがよいでしょう。

 

硬さをチェック!

正常なウンチは適度にしっとりしていて、かつやわらかすぎないので、ティッシュでつかんだときのティッシュやトイレ砂に汚れが残りません。

ポロポロとした粒っぽいウンチをしている場合は、便秘気味の証拠。水分量や食物繊維が不足していることが考えられます。

下痢まではいかないけれど、いつもよりウンチがやわらかいなと感じる場合は、腸の中に細菌やウィルスが異常に増えているか、感染症や中毒を起こしている可能性もあります。腐ったものや冷たいものを食べたり、水分のとりすぎ、脂肪分の多いものを食べすぎたりで腸が過敏になっていることがあります

 

臭いをチェック!

いつもと違うフードになったときや、食べすぎたときは、消化不良を起こすことが。未消化の食べ物がウンチに混ざっていると、臭くなることがあります。おなかの中に寄生虫がいるときは、白いツブツブしたものがウンチに混じって出てくることも。猫は基本的には肉食動物ですから、炭水化物の消化が得意でないといわれます。穀物を多く食べたときなどは消化不良でウンチがゆるくなり、臭くなる傾向にあるといわれます。

「悪いウンチ」になってしまう原因はさまざまですが、フード以外のものを口にしていないか、今あげているフードが猫の消化能力に合っているのかを考えてみる必要があるでしょう。便の状態がいつもと違うと思ったら、動物病院に相談のうえ、検査を受けることをおすすめします。

 

◆うちの子の長生きのための「健康チェック」に関する獣医師監修記事をご覧ください。

■不調のサイン:自宅でできる猫の健康チェック

■猫の健康チェック:猫の健康状態を確認する方法とは?日常的、定期的に何をチェックすれば良いの?

■1日の活動量:猫の健康状態をチェック!1日の活動量が重要なカギに?

■シニア猫の健康チェック:シニア猫の健康チェック方法とは?病気を早期発見するためのポイントを紹介

■子猫の健康チェック:子猫の健康チェック方法とは?成猫とは何が違うの?

■ウンチの見極め:猫のうんちでできる健康チェック

 

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

うちの子おうちの医療事典

 ☞例えば、下記のような『症状』から、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

<排泄>・下痢をしている血便が出ている便の様子がおかしい便が出ない尿が出ない尿の色がおかしい

尿の回数や量が多いトイレを失敗する

<消化器> 吐いている血を吐く

<食事>・元気がない食欲がない食べすぎる水を沢山飲む疲れやすい太る痩せる偏食する

<口>・よだれが多い口を気にしている口の中にできものがあ食べづらそうにする歯石がついている歯肉が赤い歯肉が白い口が臭い口の中から出血している

<呼吸>・くしゃみをする咳をする呼吸が苦しそう口を開けて呼吸をする

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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