猫ちゃんは、比較的脱水に強く、少ない水分でも体が機能するようにできているといわれます。それゆえ、猫ちゃんの飲水量が少なくなりがちで、飼い主さんとしてもたくさん水を飲んでもらうように配慮していることと思います。猫ちゃんの体の60~80%を占める水を飲むことは、猫ちゃんの健康のためにはとても大切。膀胱炎膀胱結石の予防のためにも水分摂取は欠かせません。ただし、いつもより飲水量が増えたら要注意。体に異変が起きている恐れがあります。

 

*「にゃんペディア」獣医師監修の関連記事はこちらをご覧ください。

 

 

腎臓病の危険あり!

猫 水飲み

猫が水を飲み過ぎるようになった場合、まず疑われるのは腎臓病です。特に高齢の猫の場合はその確率は高くなります。腎臓病の初期から中期によく見られる症状に尿の量が増えることがあります。排尿の量が増えれば、それだけ体の水分が奪われますので、喉が乾き、水をたくさん飲むようになるのです。

腎臓病」とは病名ではなく、腎臓の機能が低下する病気の総称です。猫の腎臓機能は、12〜13歳頃から低下し、15歳を超えると、約3割が何らかの腎臓病を患うといわれています。中には命にかかわるものもありますので、様子がおかしいと感じたら、すぐに検査をしてもらいましょう。

また、ホルモン系の病気が原因で飲水量が増えることがありますし、子宮蓄膿症などのサインともいわれています。いつもと様子が違うと感じたら、早めに病院で診察を受けましょう。

飲水量の目安を把握する

猫が水を飲みすぎているかどうか気づくためには、健康時の飲水量を把握しておかなければいけません。そこで普段から1回あたりの水の量をきちんと記録しておきましょう。できれば子猫の頃から記録しておくとさらに役立ちます。

体重1kgあたり50cc以上の水を飲むようであれば、何らかの病気を患っている恐れがあります。ただし、それ以下であっても若く健康なときの飲水量と比べ、2倍以上に増えているようなら注意が必要といわれます。その目安を知るためにも、子猫時代から記録をつけておくことが大切なのです。

また、普段のフードによっても飲水量は変わってきます。ウエットタイプのフードより、ドライタイプのフードを食べている猫のほうが多く水を飲む傾向がありますので、そうした状況も合わせて判断しなければなりません。

むやみに飲水量を減らさない

飲み過ぎを防ぐために、あげる量を減らすようにしている——、こんな飼い主さんはいませんか? 排尿した分は当然補わなければいけません。そのバランスを考えず、水の量をむやみに減らしてしまっては、猫は脱水状態になりかねません。

飲水量が減れば膀胱炎膀胱結石を発症する危険性も高くなってしまうので。何より大切なのは、動物病院を受診し、きちんと原因を探り適切な処置をしてもらうこと。そのためにも、飲水量に加え、食欲の有無、体重の減少、排尿の量などを普段から把握しておくことが大切なのです。

 

 

  ★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、猫種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

☞『うちの子おうちの医療事典』で本記事に関連する病気を調べる

子宮蓄膿症

膀胱炎

尿石症

 

東京猫医療センター 院長

服部 幸

詳細はこちら

関連記事

related article