猫は今から1万年ほど前に人間の近くで暮らし始めたと考えられています。その後人間と生活するようになった猫は、気まぐれで表情がよく読めないといった性質から、人々に神として崇められたり、反対に悪魔の使いや縁起の悪いものとして恐れられたり、時代や地域によってさまざまな扱いをされてきました。今回は猫と人間との歴史について紹介します。

 

 

大切に飼われていた古代

 

 

崇拝された古代エジプトの猫

古代エジプトでは紀元前1400年頃のテーベの墓から出土した壁画に、狩猟する男性の傍らにたたずむ猫の姿が描かれていたり、紀元前1275年のデル・エル・メディナの墓の壁画には、人の膝の上で遊ぶ猫の姿が描かれていたりするなど、古代エジプト人が猫を飼育していた明らかな証拠があります。穀物をネズミの被害から守るため、あるいは猛毒の蛇コブラ除けのために飼われていたようです。

一方でバステト女神という、音楽や踊りを好む受胎と豊穣の神様としても猫は崇拝されていました。バステト女神が信仰されていた地域では、飼い猫が死ぬと眉を剃って喪に服し、猫はミイラにして大切に埋葬されており、猫専用の墓地まで発見されています。

 

古代ローマ帝国拡大とともに広がる猫たち

古代エジプトでは猫の持ち出しは王命によって禁止されていましたが、ローマとの戦争に負け、支配下に置かれると猫も国外へ持ち出されるようになりました(それまでもフェニキア商人による持ち出しはあったとされています)。特にローマ軍が世界へと進軍するに伴い、兵隊の食料を守るために連れていかれた猫の中に逃げ出したものがいて、各地に猫が広がったとされています。イギリスからは、子供が猫を抱く姿が彫られた紀元1~2世紀の墓石が見つかっています。この時代フェレットがペットとして、またネズミを駆除するために裕福層の間で飼育されていましたが、猫がその役割を引き継ぎ、大切にされるようになりました。

 

 

波乱の時代だった中世

 

 

大航海時代の船乗り猫

15世紀~17世紀半ばは、世界中の海の探索や交易が盛んになり、大航海時代となります。元々猫は古代から船の積み荷や食料、船そのものの躯体をネズミの害から守るため、またネズミによる病気の蔓延を防ぐために船に同乗していました。大航海時代にはたくさんの船とともに海を渡り、猫たちは世界の隅々まで拡大していきました。同乗した猫は「船乗り猫(Ship’s cat)」と呼ばれ、船の安全の守り神として、そして乗組員たちの良き相棒として活躍しました。

 

苦難の中世ヨーロッパ

キリスト教がヨーロッパに広がると、他宗教への弾圧が始まります。弾圧された宗教の中には猫を重要視しているものもありました。さらに夜行性であったり、人の命令に従わなかったりといった、猫特有の性質が悪魔的だと見なされてしまい、魔女の手先として大変な迫害を受けるようになります。12世紀にローマ教皇が主導して異端審問が始まり、16世紀になると魔女狩りが本格的になって多くの猫、特に黒猫が火あぶりの刑や塔の上から落とされるといった刑に処されました。未だにヨーロッパにおいて黒猫が嫌われるのはこの出来事がルーツと考えられています。

 

 

名誉回復を果たした近代

 

 

猫の地位が回復した要因にはいくつかありますが、主な要因の1つは科学の力でしょう。科学の発展により、魔女というものが確かな存在ではないと人々に認識され始めたのです。さらに、猫が激減していたヨーロッパにドブネズミが大量発生して、ペストなどの感染症が蔓延するようになったからです。現在は、ペスト流行の原因はネズミではないとの研究もありますが、当時の人々はネズミが原因と考え(ネズミが貴重な食料や資材に害を与えることは事実だったため)、ペスト流行がきっかけとなって猫の名誉が回復した可能性は高いでしょう。また、17世紀末から18世紀にかけて猫が活躍する民話や文学作品が登場し、猫のイメージもずっと良くなりました。

 

今や猫は身近な、愛すべき存在となりましたが、多くの社会的問題を抱えているのも事実です。良い関係を築くためにも、一人ひとりが猫とのつき合い方について考えていくことが大切です。

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にゃんペディア編集部

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