とにかく寝るのが好きな猫。その寝姿から、気持ちが読み取れることはご存知でしょうか?

気温で変わる、猫の寝姿

寒いと丸くなり、暑いと体を伸ばして眠る。それは、猫の飼い主さんならよく知っていることでしょう。

これをちゃんと学問的に調べた人がいます。ドイツの動物学者で、猫400匹(!)を観察し、気温と寝姿の関係を調べたそう。それによると、13℃以下だと丸くなって眠り、温度が上がるにつれて徐々に体がほどけ、21℃以上になると体を伸ばして眠るそう。ということは、寝ている猫を見れば、ある程度の気温の推測ができるというわけです。これぞ猫温度計?

 

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気分でも変わる、猫の寝姿

では、気温で寝姿は完全に決まるのか? いえいえ、コトはそれほど単純ではありません。そのときの“気分”や、その猫が本来持つ“性格”も関係してきます。

弱点であるおなかを丸出しにして眠るのは、そのときの状況が「安心できるもの」であったり、もともとの性格が「無防備で、警戒心が少ない」猫です。弱点であるおなかをかばい、丸くなって眠るのは、そのとき「警戒が必要」な状況だったり、もともとの性格が「臆病、警戒心が強い」猫です。

例えば、あなたが寝袋などナシに野宿しなければならないときを想像してみてください。いくら気候がよくても、大の字で寝る人は少ないと思います。普通は、身を丸めて眠るのではないでしょうか。こういう状況でも大の字で寝られる人は、根っからの「お気楽人」。猫でも、同じことが言えるのです。

 

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つまり、暖かい場所でも、安心できない状況だったり、もとから警戒心の強い猫だったりすると、体を伸ばして眠ることはないのです。
「でも、暖かい場所で体を丸めて眠ったら暑いのでは?」そういう疑問がわくかもしれません。ではどうするか? より高い場所に移動します。標高が高い山の上は地上より涼しいですよね。その原理で、警戒心の強い猫はなるべく高くて涼しい場所に移動して、そこでなるべくおなかをかばって眠るのです。木に登って木の枝に体をくっつけるようにして眠れば、木が体温を奪ってくれるという利点もあります。

 

気の上で休む猫

 

暑くても、体を伸ばして眠るのは不安……。そんなときは、より高いところ、より涼しいところを探して、なるべく体を伸ばさなくてもよいようにして眠ります。木の上は絶好の隠れ場所でもあります。

足裏と頭の置き場所も、警戒心のバロメーター

上で述べたように、弱点であるおなかをさらけ出しているかどうかは、警戒心のバロメーター。さらに、ほかにも見分け方となるポイントがあります。それは「足裏」と「頭」。
動物は、警戒しているときには足裏を下につけたままの状態で眠ります。それは、危険なときにすぐ動けるように。人間でも、正座していたら、とっさの場合にすぐ動けませんよね。猫も同じで、仰向けの状態や足を横に投げ出した状態だと、何か起きたとき、一瞬出遅れてしまいます。そういったことがないように、警戒している猫は、眠るときも足裏を下につけたままの姿勢でいるのです。

*上の写真でも、単に寒くて丸くなっているときは、顔を前足で覆ったりして、足裏が下についていない状態になっていますが、警戒して丸くなっているときは、足裏を下につけた状態になっています。

いわゆる「香箱座り」と呼ばれる、足を体の下に折り畳んだ座り方(写真右下)は、前足の足裏が上を向いている状態。この姿勢ではとっさに機敏に動くことができないため、あまり警戒していない姿勢といえます。「スフィンクス座り」と呼ばれる、前足を前方に伸ばした座り方(写真左下)のほうが、前足の足裏が下についているので、警戒心は強めです。

 

寝姿4

 

香箱座り(右)は、人間の「正座」のようなもの。あまり危険のない、落ち着いて座っていられる状況で見られる姿勢です。

また、頭は高い位置にあったほうが、すぐに周りを見渡せて有利です。そのため、何か警戒しながら眠るときは、頭を高い位置にキープしておきます。例えば、下の写真でいえば、頭を腕に乗せて高くしている左の猫のほうが、右の、頭を下につけている猫よりも、警戒心がやや強いといえます。

 

寝姿5

 

 

「気温×気持ち(性格)=寝姿」の関係、まとめてみると…

 

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いかがでしたか? 猫の寝姿には、無意識に気持ちや気温が表れています。いつもは体を伸ばしてノビノビと眠る猫が暗い場所で体を丸めて寝ていたら、具合が悪い場合も。寝姿からも敏感に気持ちを察知してあげましょう。

 

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日本動物科学研究所

富田 園子

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