「柔らかい体」「高いジャンプ力」「器用」「気まぐれ」といった、人を惹きつけてやまない猫らしい特徴は、実は進化の長い歴史の中で獲得されてきたものです。今回は猫が猫となっていく過程について詳しくお話します。

 

 

共通の祖先から進化した猫と犬

 

4800万~4000万年前、地球は温暖で北米やヨーロッパには深い森が広がっていました。そのような森に、猫のようなイタチのような姿をした「ミアキス」という動物がいました。樹上生活者で小動物を捕らえて食べる肉食動物です。ミアキスにはさまざまな種類がいましたが(ミアキスは多系統であることがわかっています)、その中に犬と猫の祖先がいて、およそ4000万年前までに、その祖先から猫の系統(ネコ亜目)のと犬の系統(イヌ亜目)2大グループが分かれたとされます。しかしこの頃は、まだ両者の姿にそれほど違いはありませんでした。

 

 

猫と犬を分けた狩りの方法

 

猫と犬は似ているようで実はまったく違う動物です。それは「待ち伏せ型ハンター」か「追跡型ハンター」であるか、ということです。猫の祖先は、ミアキスの時代から森林で生活し、長い間そこから出ることはありませんでした。森林では身を隠すことが簡単にできます。そこで、木陰に隠れながら獲物を待ち伏せして、獲物が通りかかったとたん、優れた瞬発力で獲物を仕留める、という方法の狩りが有効です。猫は「待ち伏せ型ハンター」として進化していきました。

 

一方、犬の系統は2300万年頃から徐々に始まった地球環境の寒冷化と乾燥化によって、森林が減少し、平原で生活するようになります。平原だと隠れる場所がないため、見つけた獲物をとことん追いかけて疲れさせてから集団で襲う、という狩りの方法をとるようになりました。これが、犬と猫との違いを生みました。

 

森林の中で、待ち伏せして獲物を捕らえる方法に適応した猫の体は、次のような特徴を持つようになります。

 

  • 優れた瞬発力(ジャンプ力)

獲物に飛び掛かって瞬時に仕留めるために、柔らかく強靭な後ろ足の筋肉が発達。反対に犬のような持久力はあまりありません。

  • 器用な前足

元気のよい獲物をしっかりとホールドするため、また、森林生活で木に登るために、犬と違って手首を回転させ器用な動きができます。

  • 出し入れできる爪

獲物をしっかりつかむために、爪は常に鋭くなければなりません。摩耗を防ぐため、不要な時は爪をしまえるようになりました。

  • 気まぐれで表情が分かりにくい

猫はずっと単独生活を続けていたため、人や犬のような社会性は基本的に身につけていません。表情筋も発達せず、顔に表情が出にくい原因と考えられます。

 

 

人間とネコはどのように出会ったの?

 

ネコのなかまは地球上で一番成功した肉食動物とされています。現在では地球上のあらゆる環境に適応した、小型から大型までさまざまな野生ネコが存在し、ライオンのように森を離れ、草原で群れをつくって暮らすものまでいます。世界中に広がったネコのなかまに、砂漠で暮らすようになったリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコ)というヤマネコがいます。これがイエネコの原種といわれています。

 

イエネコへの道

リビアヤマネコがイエネコとなった過程については諸説あり、いまだに決まった説はありません。なぜなら猫は家畜化されても野生ネコとほとんど形態的にも遺伝的にもあまり変化がなく、遺跡から出土する骨が野生ネコなのかイエネコなのか判別が難しいからです。

最近では、イエネコには紀元前4400年頃に西南アジアかヨーロッパへ拡散した系統と、アフリカ(古代エジプト)から紀元前1500年頃に世界へと拡散した系統の2つの系統があるという説がありますが、家畜化が「どの地域で?」「いつだったのか?」についてはまだよく分かっていません。おそらく、紀元前1万年前には農村周辺で生活するようになり、ネズミに困っていた村人たちとの共生関係を築いていたとされます。最古のイエネコとされる、9500年前のキプロス島の遺跡で見つかった骨格は、本当に家畜化したイエネコだったかは議論の余地があるようです。

 

人間との暮らしとイエネコ

犬と違って完全肉食動物である猫は狩猟民族とは競合関係にあるため、ネコが人間の暮らしの中に入ったのは、農耕の始まりがきっかけだったとされています。しかし社会性もなく、人間の命令にも従わないネコは、使役動物というより互いに利益のある同居人という関係だったのでしょう。そのため現在でさえ、猫は原種のヤマネコから遺伝的にもほとんど変化はなく、変わったことといえば「ぶち柄」の毛皮ができたことぐらいです。犬に比べ、ずっと野生に近い動物なのです。

ただ、長い人間との生活の中で元々単独生活者であったネコがコミュニケーション、社会的認知能力を発達させ、野良猫では群れのようなものをつくるようになりました。猫の犬化は人間とうまく暮らしていくための手段なのかもしれません。

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にゃんペディア編集部

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