猫同士ケンカをしたわけでもないのに、猫の耳にかさぶたができている…。不思議に思ってよく観察すると、自分でひどく掻きむしっているよう。一体なぜ?ここでは猫の耳にできるかさぶたや、かさぶたのように見える他の症状について解説します。
かさぶたの役割と原因について、正しい知識を身につけておこう
かさぶたは医学用語では痂皮(かひ)と言い、血液や浸出液、膿などが乾燥してできるものです。傷が治りかけると、傷を乾燥から守るために皮膚の表面を覆います。見た目はきれいなものではありませんが、傷が早く治るために大切な役割を果たしているものです。
かさぶたができる原因
ひどい痒みによる自傷
アトピーなど、痒みがひどいタイプのアレルギー性疾患にかかると、痒みを我慢できず掻きすぎてしまうことがあります。掻きすぎが原因で外傷になり、それが乾燥すると、かさぶたになるというわけです。アトピー以外に痒みの原因となるのは、真菌やカビなど。なかでも、カビは全身に移りやすいので注意が必要です。たとえば耳が痒いからと耳を掻き、耳を掻いた前足でアゴを掻く、そんなふうにして全身に転移していきます。治療には抗真菌薬と、ひどい場合はシャンプーも並行して行います。個体差や度合い、獣医師の診断にもよりますが、1〜2週に1回くらい、約4〜6週間の通院が必要となります。
外傷
猫によくあるのは、猫同士のケンカです。野良猫や外飼いの猫は、ケンカで引っかき傷を作ることも珍しくありません。また、ふだん室内飼いの猫がケンカに発展してしまうと、加減が分からなかったり、あるいは一方的にやられたりする可能性もあります。猫同士のケンカは傷を作るだけでなく、そこから感染症に発展することもあります。なるべく外に出さないようにするか、外に出しても他の猫と接触させないようにしましょう。感染が疑われる場合は、抗生物質などの投与が必要になることもあります。
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かさぶたではない場合は、一体何が考えられるの?
考えられる理由
フケ
猫の耳にかさぶたのようなものができた、と思って病院に行ったら、「それはフケ、医学用語では鱗屑(りんせつ)です」という診断が下されることも。かさぶたとフケ。人間にとってはかなり違うものに思えるかもしれませんが、猫の場合、似たように見えることあるようです。フケは真菌が原因で出てくるものがほとんどで、上記のように激しい痒みを伴うので、猫が掻きむしり、かさぶたのように見えるのです。
日光性皮膚炎
特殊な病気ではありますが、白猫がなりやすい病気のひとつに、日光皮膚炎というものがあります。強い紫外線を慢性的に浴び続けることで、皮膚がかさぶたのような状態になるものです。万が一、日光皮膚炎の心配があるという場合は、早めに動物病院で診断を仰ぎましょう。
人間ならかさぶたができると傷が治りかけているのだと安心しますが、猫の場合は少々勝手が違うようです。治癒のためのものなら良いのですが、重大な病気が潜んでいる可能性もゼロでありません。猫が掻きむしっているかいないか、また、掻きむしっているなら他に変わったところはないか。よく観察してみましょう。
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