猫好きが猫に遭遇するとついつい触ってしまうのが「耳」。触られるのが好きな猫なら、耳をそっとさするとすごく気持ちよさそうな顔をしますよね。そんな猫の耳は、人間のものとは少し違います。見た目はもちろん、構造や聴覚、なりやすい病気にも差があるのです。猫を飼っている人やこれから飼いたいと思っている人にぜひ知っておいてほしい、猫の耳の基本的な知識をご紹介します。

猫の耳は垂れ耳と立ち耳の2種類に分かれる

それぞれの耳の特徴と猫種

垂れ耳とは、耳の一部が折れ曲がった状態の耳を指します。もっともよく知られているのはスコティッシュフォールドではないでしょうか。スコティッシュフォールドの耳が前方に折れ曲がっているのに対し、後方にくるんと耳がカールしているタイプの垂れ耳を持つのがアメリカンカールです。日本ではなかなかお目にかからない猫種だと、ハイランダーやキンカロー(アメリカンカールとマンチカンの交配種)などもこのタイプに属します。一方、立ち耳とは、その名の通りピンと立っている状態の耳。上記の猫を除き、一般的な猫のほとんどが立ち耳に属します。

耳の形は病気に影響するの?

猫と同じように、犬にも立ち耳・垂れ耳がいます。犬の場合、垂れ耳は自分の耳で耳の蓋をすることから内部に湿気がたまりやすく、耳の病気になりやすいと言われています。一方、猫はというと、垂れ耳も立ち耳も耳のトラブルに関する大差はありません。ただし、アメリカンカールは要注意。耳の構造上、軟骨が厚く外耳道が狭いため、他の猫種と比べ明らかに外耳炎を発症しやすいと言えます。

猫は人間より耳が良い?悪い?

人間と比べて猫は波長領域が広いことが分かっています。人間の20〜2万ヘルツに対し、猫は20〜10万ヘルツの範囲の音が聞こえていると言われています。これは、人間よりかなり高い音が拾えているということ。また、耳を立体的に動かすことができるので、遠くの音も聞こえやすいと考えられるでしょう。メートルやデシベルという単位での研究結果は出ていませんが、人間よりも遠くの音を拾えていると考えて違いありません。

猫の耳を観察すると、何を考えているのかよく分かる!?

猫の耳には大小さまざまな筋肉がついていて、あらゆる方向に複雑に動かすことができます。例えば、「耳を前方に引く」「耳を前腹側に引く」と微妙な違いであってもそれぞれ違った筋肉を動かしています。また、複数の筋肉を同時に動かし、細かな動きを実現させることも可能です。

 

人間が顔の表情で感情を表現するように、猫は耳を使って気持ちを表します。その一つがイカ耳。耳の内側を外にピンと張っている状態です。これは猫が何かを怖がっている、気を張っているときによくする動き。大きな音や聞きなれない音がすると、より多くの情報を得ようと注意しているときにも見られます。

 

耳がそり立っているときは怒っている、耳の内側が前に向いているときは好奇心が旺盛な状態。何かを狙っているときは遊びたいときによく見られるなど感情に合わせてさまざまな動きをするので、注意して見るとおもしろいでしょう。

猫の耳に起きやすい一般的なトラブルを知っておこう

耳が痒くなったり赤く腫れたりしていると外耳炎 や中耳炎 の恐れがあります。外耳炎に気づかず放置しておくと、中耳炎や内耳炎に発展してしまうことも。内耳炎になると、まっすぐに歩くことができず頭を左右どちらかに傾けた状態になります。耳介(じかい)が異常に腫れ上がっている場合は、耳血腫 (じけっしゅ)を疑いましょう。また子猫や免疫が低い猫、外で飼っている猫は耳ダニに感染することも少なくありません。異臭がしたり、色がおかしかったり、と耳の様子がいつもと違うと思ったらすぐに動物病院で診察を受けましょう。

 

猫はクールだと思われがちですが、実は感情表現が豊かな動物。猫の耳をじっくり観察してみてください。だんだん何を考えているのか、猫の気持ちが伝わってくるはずです。上記に挙げた病気は頻繁に起きるというわけではありませんが、決して特殊なものでもありません。知っておくといざというときのために役立つので、知識として備えておきましょう。

 

Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

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