高温多湿の日本では、年間を通じてダニが生息しています。特に梅雨は、湿気が高く、ダニが大繁殖する時期。家で猫を飼っている場合は、ダニ駆除剤を常備しておく、人間が外出する際はむやみに茂みなどに近づかないなど、ちょっとした気遣いでダニを予防*することが可能です。

*関連記事☞「猫ちゃんのためのダニ予防【獣医師が解説】

 

猫の耳ダニ感染症ってどういう病気?

ダニの種類

日本に生息するダニの種類には、マダニヒゼンダニ、ツメダニなどがあります。肉眼では見えない小さなものから数ミリ程度の大きさのものまで様々です。湿気と温度が高まる季節はダニが繁殖しやすい時期。特に、春〜夏は注意が必要です。

 

ダニは家の中、屋外など、あらゆるところに生息しています。緑の少ない市街地の中でも、草木や茂み、道路の植樹などに潜んで近づいた人間や犬に付着し、家の中に侵入します。そのため、普段一歩も外に出ない猫も、家の中で寄生する可能性があるのです。なかでも、ヒゼンダニは耳に寄生するとひどい痒みが現れ、掻きすぎの原因になるうえ、ダニアレルギーを発症することもあります。ダニは猫にとって天敵のようなものと言えるでしょう。

耳ダニとは

耳ダニの正式名称は耳疥癬(みみかいせん)*。ダニの一種で、耳の表面から鼓膜までの間の外耳道に寄生します。猛烈な痒みをもたらし、足で頭や耳の中、耳の後ろなどを激しく掻きむしります。耳ダニの痒みは、アレルギーなどの皮膚トラブルと比べてもかなり辛いので、たいていの飼い主さんは異変に気がつくまで時間はかかりません。成猫だけでなく、生まれて間もない子猫でも、親猫から感染した耳ダニにかかっていることがあります。治療をすると比較的すぐに症状は治まりますが、放置しておくと痒みから頭を振りすぎ、耳血腫 (じけっしゅ)などのほかの病気に発展することもあります。

*関連する「にゃんペディア」獣医師監修記事はこちら

耳ダニ☞「猫の耳疥癬

耳血腫☞「猫の耳血腫

 

耳ダニの原因

耳ダニはほかのダニと違って、室内で自然発症することはありません。原因は、猫同士の接触がほとんどです。外飼い、あるいは外に自由に出入りができるなど、よその猫と触れることがある猫は、注意が必要です。感染力が非常に強いので、多頭飼いの場合は隔離をおすすめします。また人間にもうつるので注意してください。

耳ダニの治療法と予防法について

耳ダニの治療法

まずは顕微鏡で耳垢を確認し、耳ダニがいるかどうかを確かめます。痒みの原因が耳ダニの場合はすぐにダニ駆除剤により治療をします。基本的にはダニ駆除だけで十分ですが、耳ダニにより外耳炎 を併発している場合は、そちらの治療も行います。強い痒みがある場合はステロイドを併用するという治療法もあります。

*関連記事☞「猫の外耳炎

耳ダニの予防法

ダニの栄養分となるのは、フケ耳垢です。普段から耳の中を掃除して耳垢を拭き取ることが寄生予防につながります。耳垢は自然に生じるものなので、全てを拭き取る必要はありません。綿棒で奥のほうまで無理に掃除しなくても、肉眼で見え、手の届く範囲を湿らせたコットンなどで拭くだけで十分です。ほかの猫と接触する可能性がある猫は、定期的にダニ除去剤を使用してください。ダニ除去剤には、液状、粉末、錠剤、スプレー剤などいろいろなタイプがあります。

 

耳ダニに感染すると、強い痒みに襲われ、毛がはげるまで掻いてしまうこともあるほどです。室内飼いだと基本的にはほぼ感染することはありませんが、庭やベランダなどに出すだけでも、寄生する可能性はぬぐいきれません。心配の場合は、耳ダニ駆除剤など予防をしておくと安心です。

 

  

「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

 

 

★にゃんペディア編集部からのメールマガジン配信中!

「にゃんペディア編集部」では、愛猫との暮らしに役立つお勧め記事や、アイペット損保からの最新情報を、にゃんペディア編集部からのメールマガジン(月1回第3木曜日夕方配信予定)でお知らせしています。ご希望の方はこちらからご登録ください。

Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

詳細はこちら

関連記事

related article