発情期になると、外で野良猫がケンカしている声が聞こえたり、多頭飼いしているおうちでは、猫どうしのプロレスごっこが繰り広げられたり。
そんな猫の「ケンカ」には、実はとっても平和的なルールがあるんです。

猫は「なるべくケンカしたくない」と思っている

猫は決して、「ケンカっぱやく」ありません。たとえ自分のほうが明らかに「強くて勝てる」場合でも、なるべくケンカはしたくないと思っています。なぜなら、負傷したくないからです。野生では、負傷は命の危険につながります。たとえケンカに勝ったとしても、負傷してその後自由に動けなくなったり、怪我が元で命を落としてしまっては元も子もありません。ですから、なるべくケンカは避けたいのです。ですから、『無駄な争いはしない!面白い猫社会のルールとはでご紹介した通り、なるべく他の猫に出会わないように注意しますし、もし出会ってしまっても、「気づかないフリ」をします。

それでも、どうしても争わなければいけないときもあります。オスどうしでメスを取り合うときなどがそうです。でも、そんなときも、なるべく戦わず、にらみ合いだけで決着を付けようとします。猫はたいていの場合、お互いを見ただけで「自分のほうが強いか、弱いか」わかるのです。体格や気迫などが手掛かりになります。

例えば、下の写真では、腰を高く上げ、相手にまっすぐ対峙している左の猫のほうが強気です。右の、うずくまっている猫は弱気。うずくまるのは「私は弱いから、攻撃しないでください」というサインです。

猫のけんか

このようなボディランゲージで、猫は勝敗を決めます。このようなとき、勝った猫が負けた猫に攻撃することはありません。無駄な争いは好まないのです。

やむを得ず本当の「ケンカ」に発展するとき

力が互角のときや、にらみ合いでどちらも引き下がらないときは、仕方ありません。体を張ったケンカに発展します。「ギャアア!」という金切り声を上げながら、猫パンチや猫キックの応酬です。

面白いのは、ケンカの途中で毛づくろいをすることがあること。毛づくろいには自分を落ち着かせる効果がありますが、それを行うのです。見ている人間は「もう終わったのかな?」と思ってしまいますが、これはただの一時休戦。しばらくすれば、また戦いが再開します。

ケンカの途中で毛づくろいするのは、自分を落ち着かせるため。

どちらか一方がうずくまったまま、攻撃を受けても反撃しなければ、「負け」。これで勝敗が決まります。勝ったほうはそれ以上攻撃せず、静かに去っていきます。

一度勝敗が決まれば、基本的に2匹の間で再び争いが起こることは基本ありません。負けた猫は、「あなたには逆らいません」という態度で接するからです。

遊びの「ケンカごっこ」もある

猫 けんか

「本物のケンカ」ではなく、仲良しの猫が遊びでする「ケンカごっこ」もあります。子猫は遊びを通して狩りや交尾に必要な様々な動きを習得します。ケンカごっこの際、相手の体に噛みつくこともありますが、強すぎると相手は鳴いて「痛い!」と知らせ、反撃を受けることもあります。そうした経験を通して、猫は「ここまで強い力で噛むと、相手に怒られるんだな」と覚えます。

幼い頃から1匹で育った猫に、噛み癖がある子が多いのは、こうした経験を持てないため。「痛すぎるよ!」と教えてくれる相手がいなかったのです。

*飼い主である人間が猫の代わりに教えるのは難しいとされています。猫のような俊敏さや反射神経がないため、タイミングが遅くなってしまうのです。また、猫より体の大きい人間が反撃した場合、猫が「怖い」と感じ、関係が悪くなる可能性もあります。

まに、「2匹目を飼い始めたら、1匹目の噛み癖が直った」という話も聞きます。これは、上記のような経験を持つことができたため。ですが、噛み癖を直すためだけに多頭飼いを始めるのはおすすめしません。2匹が仲良くなれない可能性もあり、リスクが高すぎるからです。

 

★猫の気持ちに関する専門家監修「にゃんペディア」記事も、ぜひご覧ください。

猫の夢☞「猫も夢を見るの?

しっぽ☞「しっぽを振るときの猫の感情とは?

鳴き声☞「鳴き声から読み取れる、猫のきもち

サイン☞「猫が甘えたいときのサインを見逃さない!

寝姿☞「寝相・寝姿からわかる猫の気持ち

ゴロゴロ音☞「ゴロゴロという音に隠された猫のきもち

しぐさ☞「可愛い仕草からひも解く、猫ちゃんの気分とは

天気☞「お天気で変わる猫ちゃんの気分

見つめる☞「猫がじっと見つめてくるとき、一体なにを考えているの?

怒り☞「猫ちゃんの怒りのサインを見逃さないで!

寝場所☞「猫の寝る場所からわかる、猫のあなたへの好感度

 

★猫の多頭飼育に関する「にゃんペディア」の記事は、こちらをご覧ください。

猫の多頭飼い!メリットやデメリットをご紹介

猫の多頭飼い。年齢や性別から考える相性の組み合わせとは?

猫の多頭飼いを始める前に知っておこう!飼い主の心構えと猫同士の相性や性別について

多頭飼いする前に健康診断!新入り猫の白血病・エイズキャリアの感染は必ずチェック!

どうすれば喧嘩せずに仲良くなれる?猫の多頭飼いにおける初対面の方法と、トイレなどの日常生活の注意点とは?

多頭飼育崩壊はなぜ起こるのか。保護現場からのSOS

 

 

「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

 
☞「うちの子おうちの医療事典」で「咬傷」に関連する病気を調べてみる
 
☞例えば、下記のような切り口でも、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

かかりやすい病気

再発しやすい

多頭飼育で注意

子猫に多い

手術費用が高額

生涯かかる治療費が高額

高齢猫に多い

人にうつる

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯つきあっていく可能性あり

緊急治療が必要

ワクチンがある

予防できる

日本動物科学研究所

富田 園子

詳細はこちら

関連記事

related article