ぽっちゃり猫さんが可愛らしいのは事実ですが、肥満と関連の深い病気も多いため、健康にとってはあまり好ましいとは言えません。猫に限らずダイエットは難しいものですが、愛猫の健康のためにもぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

どこからが「肥満」なの?

 

愛猫が太っているかどうかを客観的に判断することは大変重要です。獣医師がよく使用する指標は「ボディコンディションスコア(BCS)」と呼ばれるもので、やせ~肥満までを5段階で評価します。ただし、獣医師でないとなかなか判定が難しいものなので、一般には次の3点を指標とするとよいでしょう。

 

肋骨に触れることができるか

猫の体の側面を触ってみて、肋骨の存在が分からないようであれば肥満です。

 

ウエストが膨らんでいないか

四つ足で立っている猫の体を真上から見て、腰の位置(後ろ足の少し前)のあたりがくびれておらず、丸く膨らんでいれば肥満です。

 

お腹がたるんでいないか

四つ足で立っている猫の体を真横から見て、お腹のたるみが後ろ足に向かって落ちている、または地面につきそうであれば肥満です。ただし、単にお腹の皮膚が余って後ろ足に向かって垂れている猫もいます。その場合は、肥満ではなく正常な状態です。

 

肥満になるとどんな病気にかかりやすくなるの?

 

肥満によって、さまざまな病気が引き起されることが近年分かってきました。肥満と関連が深い主な病気には、次のようなものがあります。

 

糖尿病

肥満猫の糖尿病リスクは科学的研究によって証明されています。肥満になると、血糖を下げるインスリンというホルモンの働きが悪くなって、血糖値が上がりやすくなると考えられています。詳しくは「愛猫の糖尿病と上手に付き合っていくために【獣医師解説】」もご覧ください。

 

便秘・下痢

肥満の猫は、便秘下痢になりやすいと科学的に検証されています。肥満によって腸の働きが鈍くなることが原因と考えられます。

 

膀胱炎などの尿路疾患

肥満になると運動不足になり、さらにトイレに行く回数も減るため、膀胱炎などの尿路疾患にかかりやすくなるとされています。詳しくは「猫の膀胱炎 症状・原因・治療法・予防法について【獣医師解説】」もご一読ください。

 

関節炎

体が重いために関節に負担がかかり、関節炎が悪化しやすいと考えられます。猫は関節炎を起こしていても痛みを我慢して飼い主は気づきにくいため、関節炎にさせないよう体重管理をする必要があります。詳しくは「猫の関節炎【獣医師解説】」もご覧ください。

 

脂肪肝(猫の肝リピドーシス)

肝臓は脂質を代謝する役割がありますが、空腹状態が続いてエネルギーが不足すると肝臓は脂質を取り込もうとします。本来なら、できた脂肪は他の細胞へ搬出されるのですが、そのバランスがくずれて急激に脂肪が肝臓に溜まってしまい脂肪肝となります。原因はよく分かっていませんが、肥満猫がなりやすいと一説には言われており、リスクが高く注意が必要です。詳しくは「猫の脂肪肝【獣医師解説】」もご覧ください。

 

心臓病などの循環器系の病気

人間のように科学的には証明されていませんが、太ると心臓への負担が大きくなり、心臓病になりやすいと考えられます(骨格的に大柄の猫が心臓病になりやすいことは、科学的に検証されています)。

 

皮膚病

太ると被毛のお手入れが行き届かなくなってしまい、フケが多くなったり、脱毛やネコニキビの原因になったりすることがあります。皮膚病については「猫が体を掻いてばかりいる…。これって皮膚病?【獣医師解説】」もご一読ください。

 

ダイエットをするときの目標体重と減量ペース

 

ダイエットをする際は、特に以下の項目に気をつけて目標を立てるようにしましょう。

 

1.目標体重を設定する

猫の適正体重は1歳の頃の体重または、現在のBCSから逆算して求めることができ、それが目標体重となります。

 

2.絶食はダメ!週に現体重の1%ずつ減らせるように

急激なダイエットは、脂肪肝のリスクを高めるため絶対に禁物です。週に現体重の1%の減量を目標にしましょう。

 

  • 適正な食事量を認識する

ペットフードに書かれている給与量は、古い研究の基礎代謝をもとに計算をもとにしているため、現代の室内飼育の猫にとっては多めになっています。完全室内飼いの肥満猫は運動量がかなり少ないため、書かれている給与量通りに与えてしまうと痩せない場合があるのです。

ダイエット時の食事量は、

理想体重(㎏)×35=適正カロリー(1日摂取量)

となります。

例えば理想体重が4.5㎏の猫であれば、

4.5×35=157kcal

となり、1日の食事、おやつを含めた総摂取量が157 kcalとなります。

 

失敗しないダイエットのコツとは?

 

ダイエットフードに切り替える

市販品でも十分ですので、脂質が低い肥満猫用フードを与えるようにしましょう。肥満度が高い場合は獣医師に相談し、療法食を処方してもらう必要もあります。

 

食べ放題形式はやめる

フードをお皿に出しっぱなしにして猫が自由に食べる習慣は、太る原因になります。面倒かもしれませんが、1食ごとに計量して与え、1日の量を飼い主さんがしっかり把握することが大切です。

 

食事回数を増やす

1日の摂取量を2回で与えるよりも、3回、4回と回数を増やして少量ずつ与える方が、猫が空腹を感じづらいとされています。

 

運動させすぎない

ダイエットに適当な運動を取り入れることは大切ですが、体重が重いままなのに急に運動させてしまうと、関節を痛め、心臓病のリスクも高まります。

 

家族一丸となって取り組む

同居家族がいる場合は全員で取り組むようにしましょう。なかなか痩せないと思ったら、お父さんがおやつをあげていた、ということもあるようです。

 

人間のダイエットもそうですが、ダイエットには強い決意と固い意志が飼い主さんに求められます。ダイエットは半年以上、場合によっては1年、2年がかりの長期戦です。またダイエットに成功したとしても、すぐに食事制限をやめてしまうとリバウンドの可能性も。気長にコツコツ行うようにしましょう。

 

「肥満」に関連するにゃんペディア獣医師監修記事

こちらもあわせてご一読ください。

□ 肥満による病気:「肥満だと寿命が縮む?猫の肥満が引き起こす病気

□ 適正体重:「愛猫は肥満?痩せすぎ?適正体重の見極め方

□ 肥満要因:「猫ちゃんを太らせてしまうポイントとは

□ ダイエット:「今日から実践!愛猫の健康を守る、肥満対策と失敗しないダイエット法

□ 関節炎:「猫の関節炎

□ 骨折「データで解説! 猫の骨折~自然治癒に任せるとどうなるの?

 

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Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

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