骨と骨の結合部分のことを関節といいます。この関節を滑らかに動かすために必要なのが軟骨ですが、

何らかの原因で軟骨が減少、変形し炎症がおこることがあります。これを関節炎といいます。

慢性的な痛みを伴い、悪化させれば変形性関節症といった関節の機能障害を引き起こしてしまいます。命に関わることはありませんが、気がつかないままに重症化させることが多い病気です。猫が痛みを抱えたまま生活を送ることのないよう、普段から猫の様子をきちんと観察し、少しの変化も見逃さないようにしましょう。

 

こんな症状が出たら気をつけて

高いところに上がらない、あまり走らなくなった、立ったり座ったりすることをためらっているように見える、足をひきずったり1本の足を持ち上げたりしながら歩いているなどの動きを見せていたら要注意です。痛みがある箇所をあまり動かさないように行動している可能性があります。体を触ってみて、猫が嫌がる素振りを見せるようなら、どこかに痛みが生じていることが考えられます。すぐに動物病院を受診しましょう。

 

関節炎の原因

関節炎の原因として考えられるものに、軟骨の減少があります。加齢により、クッションの役目を果たす軟骨が減ったことで、関節に痛みが出やすくなってしまいます。
関節炎の猫は、多くの場合関節軟骨の石灰化がみられます。

軟骨が石灰化した猫のレントゲン写真 【東京猫医療センター】

軟骨が石灰化した猫のレントゲン写真 【東京猫医療センター】

また、関節炎の猫が肥満であると、関節に負担がかかってしまい、症状を重篤化させるおそれがありますので、猫の適正体重は守っていきたいものです。

おデブ猫

人間の場合、冬場になると関節の痛みが増す、という人もいますが、その原因のひとつに血行不良が挙げられます。寒くなると体温を逃さないよう血管が収縮するため、周辺の筋肉が血液不足で硬くなり、関節に余分な負荷がかかってしまうのです。同様に猫の場合も寒さで筋肉が硬化することがあります。

冬場は猫が暖かく過ごせるように工夫してあげましょう。

 

関節炎の治療

鎮痛剤を投与し、痛みや炎症を抑えることでこれまで通りの歩き方、運動量に戻ることが多いです。予防や、痛みを和らげるために関節軟骨の役割を補う成分であるコンドロイチンやグルコサミン、ヒアルロン酸といった猫用サプリメントの投与を行うこともあります。

 

関節炎の予防

まず大切なのは肥満を防ぐこと

です。獣医師と相談の上、ダイエットフードを取り入れるなどして食事管理を行っていきましょう。さらに運動不足にならないように気をつけることが必要です。遊びを取り入れつつ運動させるなど、日常の中で工夫していきましょう。ただし、フローリングの床の上で大きくジャンプするなど、激しい動きをするとかえって関節に負担がかかってしまいます。運動させる際は、じゅうたんの上など衝撃を吸収してくれる床材の上で行うようにしてください。

cat

また高いところから飛び降りた際の衝撃をやわらげるため、猫が飛び降りる場所にはクッションや毛布など柔らかい素材のものを敷いておくと安心です。猫は筋肉がとても発達しており、股関節がなくても違和感無く歩行ができます。また、4本足で体重を支えているため、人間に比べると1本の足あたりの負荷が軽くなっています。このような特性があるため、飼い主にとっては症状に気づきにくいともいえます。観察を怠らず、いつもと違うそぶりを見せたらすぐ獣医さんに相談してください。

 

〇「肥満」に関連する獣医師監修記事

□ 肥満による病気:「肥満だと寿命が縮む?猫の肥満が引き起こす病気

□ 適正体重:「愛猫は肥満?痩せすぎ?適正体重の見極め方

□ 肥満要因:「猫ちゃんを太らせてしまうポイントとは

□ ダイエット:「今日から実践!愛猫の健康を守る、肥満対策と失敗しないダイエット法

 

★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

 

 例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療】

■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状】

■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】

■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】

春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】

■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】

■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】

■ 命にかかわるリスクが高い

【費用】

■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】

■ 予防できる ■ワクチンがある

 
東京猫医療センター 院長

服部 幸

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