現在、キャットフードの流通量は30万トン(*)を超える勢いで増加しています。種類も増え、飼い主さんが何を選べば良いのか迷ってしまうのも無理はありません。ここでは、市販のキャットフードの種類とラベルの見方、選ぶときのポイントについて解説します。

*データ出典:一般社団法人ペットフード協会「ペットフード流通量調査結果1993年~2019年」

 

 

猫に必要な栄養素とキャットフードの種類

 

真正の肉食動物である猫は、雑食性の犬よりもずっと多くのタンパク質と脂質が必要です。さらに猫は、必要な栄養素であるタウリン、ビタミンAを合成する能力が低い、あるいはないため、市販のキャットフードでは食材から摂取できるよう配慮されています。

 

キャットフードは、水分量によって大きく以下の4種類に分けられます。

 

  • ドライタイプ

水分量が10%程度以下で、加熱発泡処理された固形状のフード。いわゆる「カリカリ」のことです。歯ごたえがあり、他と比べて炭水化物の含有量が高く、賞味期限が長いことが特徴です。開封後は酸化防止のため、密閉容器に入れるなどして、温度・湿度変化の少ない場所で保管することが大切です。

 

  • ソフトドライタイプ

水分量が25~35%程度で加熱発砲処理された、やや柔らかめの固形状フード。

 

  • セミモイストタイプ

水分量が25~35%程度で発砲処理はされておらず、加熱の温度や押し出し機での圧力が低く作られている半生の固形状フードです。

 

  • ウェットタイプ

水分量が75%程度のフードで、殺菌処理された後に缶詰やレトルトパウチ、アルミトレーに充填されます。肉や魚の身を砕いたもの、またはそれらを肉汁に入れてスープ状にしたものなどがあります。

 

キャットフードはドライタイプとウェットタイプが主流です。ドライタイプは水分量が少ないため、よく水を飲むような工夫が必要です。一方、ウェットタイプは水分量が多く、高タンパクな本来の猫の食事に近いとされていますが、コストが割高です。ドライ、ウェットのどちらを選ぶかは猫の嗜好、飼育環境や管理面、コスト面を考えて判断して良いでしょう。

 

 

目的によって分けられるキャットフードの種類

 

キャットフードは主食用、おやつ用など目的別に生産されており、主に4つの種類があります。

 

  • 総合栄養食

このフードと水さえ与えられれば、猫の必要とする栄養素が摂取でき、成長や健康を維持できるように作られています。つまり主食として与えるためのフードです。「総合栄養食」と表示するには、分析試験や給与試験を行い適正であると証明しなければなりません。

 

  • 間食

おやつやご褒美として与えることが目的で作られたフード。1日当たりのエネルギー所要量の20%以内に抑えるとされていますが、大きな猫だと20%でもかなりの量になるので、10%以内を目安にしておくと良いでしょう。

 

  • 療法食

病気の治療をサポートする目的のために、病気の内容に合わせて栄養成分の量や比率が調整されています。獣医師の指導のもとに与えます。

 

  • その他の目的食

栄養の調整、カロリー補給、食欲増進などのフードで、副食・おかずタイプと栄養補助食とがあります。副食・おかずタイプは食欲増進目的に作られ、「一般食」「副食」「ふりかけ」と表示されます。栄養補助食は、カロリー補給や特定の栄養素を補完する目的のフードで、サプリメントも含まれます。「栄養補完食」「カロリー補給食」「動物栄養補助食」などと表示されます。

 

 

フードパッケージの表示には何が書いてあるの?

 

市販フードのパッケージの表示には2種類あり、1つは、「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によるもの、もう1つはペットフード安全法(愛がん動物飼料の安全性の確保に関する法律)によるものです。

 

ペットフードの表示に関する公正競争規約による表示

1)用途

対象動物、用途目的(総合栄養食か一般食か、など)や何歳用かなどが分かります。総合栄養食か一般食かはよく見ないと間違えやすいため、気をつけて確認するようにしましょう。

 

2)内容量

飼料がどのくらいの量入っているかを「g」「㎏」で表します。

 

3)給餌方法

1日の給与量や給与回数などが書かれます。

 

4)成分

少なくとも、粗タンパク質と粗脂肪、粗繊維と粗灰分、水分の重量比の5つの成分の量または比率が書かれています。日本のペットフードが採用している、全米飼料検査官協会「AAFCO」の基準では、例えばタンパク質の最低ラインは成猫で26%、子猫で30%といった指標があり、全ての総合栄養食はこうした基準をクリアしています。

 

ペットフード安全法による表示

1)名称

商品の名称を表示します。

 

2)賞味期限

人間用の食べ物と同様に賞味期限を表示しています。この賞味期限はあくまで未開封の状態のときの期限です。

 

3)原材料名

使用されている原材料名が使用量の多い順に書かれています。単に穀類とあるだけのものから、穀類の中の何を使っているかを詳しく書いてある場合も。このほか保存料や着色料といった添加物もここに書かれます。

 

4)原産国名

原産国とは、加工工程を完了した国が書かれています。原材料が採れた国ではなく、生産した国ということです。

 

5)事業者名及び住所

表示内容に責任をもつ事業者が事業者種別とともに書かれます。

 

基本的に猫の食事は市販の総合栄養食であるキャットフードを与えていれば問題ありませんが、愛猫のライフステージや、毛玉を吐きやすい、便秘をしやすいといった、体質や問題点に合わせて選ぶことが大切です。もし猫の健康と食事について不安がある場合は、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。

Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

詳細はこちら

関連記事

related article