膀胱に炎症が起こる病気で、細菌の感染や尿結石などにより膀胱が傷ついたことが原因で起こります。トイレ環境に何らかの問題があり、猫がおしっこを我慢することも原因のひとつといわれています。
こんな症状が出たら気をつけて
頻繁にトイレに行くのに、なかなかおしっこが出ない、一回のおしっこの量が少ない、いきんだり辛そうにしている、尿の臭いがいつもと違ってきたなどの症状が見られたら膀胱炎を疑いましょう。膀胱炎はその名の通り、膀胱が炎症を起こす病気のことで、初期症状としては、まず頻尿が起こります。やがて膀胱や尿管から出血するため血尿が出るようになり、細菌の繁殖により尿が白濁することもあります。お腹を触ると痛がり、トイレ以外の場所でおしっこをすることもあります。
原因
猫の膀胱炎の多くが、はっきりとした原因が特定できない特発性膀胱炎で、特に若齢の猫の発症率が高いとされており、原因の1つとしてストレスが考えられています。猫にとってのストレスとは、入院、ペットホテル、引っ越しなど、環境の変化によるものや、騒音がほとんどとされています。
こうしたストレス反応により交感神経が過剰に働き、膀胱を刺激して、おしっこを出にくくさせてしまうのです。 *猫が感じるストレスについて、詳しくは『猫ちゃんのストレスサイン、見逃さないで!』の記事もご覧下さい。
また、猫はきれい好きな動物であるため、トイレ環境の変化にも敏感です。トイレの数が少ない、いつも汚れている、うるさい場所にトイレが置いてある…、これでは猫は気持ちよくトイレを済ますことができません。トイレを使いたくないためおしっこを我慢するようになり、膀胱炎を引き起こしてしまうこともあります。
おしっこを我慢すると、それだけ膀胱内に入り込んだ細菌も体内にとどめておくことになり、炎症が起こりやすくなってしまいます。また尿道から膀胱内に細菌が侵入したり、膀胱の中にできた結晶や結石が膀胱を傷つけ、そこから炎症を起こすこともあります。
膀胱炎は1~10歳の猫に多いと言われており、原因として半分以上が特発性膀胱炎だと言われています。それに対し、細菌感染による膀胱炎は非常に少ないと認識されています。しかし、老齢で、甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎不全等の病気を起こしている猫では細菌性の膀胱炎の発症頻度がとても高くなるとの報告があるため、注意が必要です。
治療法
膀胱炎は直接的には命に関わる病気ではありませんが、排尿痛があるため早めに適切な治療を行う必要があります。感染が原因の場合は抗生物質を投与します。
膀胱結石は結石の種類によっては適切な療法食で溶かすことが可能ですが、場合によっては外科的治療が必要なこともあります。膀胱炎は再発しやすい病気ですので、きちんと完治させることが大切です。
予防法
膀胱炎を再発させないため、さらに予防するために何より大切なのが、猫のストレスを軽減させることです。
猫は環境の変化に敏感な動物であるため、自分のテリトリーをむやみに乱されたり、知らない場所に行ったり、知らない人と接触することをストレスと感じることが多いとされています。他の場所に移動させる際、引っ越しで環境が一気に変わる際や、飼い主以外の人と会わせる際など、細心の注意を払い、できるだけ今まで過ごしていた環境に近づけてあげることが大切です。
また、トイレは容器は猫の大きさに合っているか、設置場所はうるさくないかなど、猫が落ち着いてトイレを済ませられる環境かどうか見直すことが必要です。もちろんトイレ砂をこまめに交換し、きれいに掃除するなど、トイレ自体も常に清潔に保つようにしましょう。
予防のため猫に水を多く飲ませる工夫も必要です。猫は新鮮な水を好みますので、水はこまめに取り替えてあげましょう。猫がいつでも水を飲めるよう、部屋のあちこちに水を置くのもひとつの方法です。冬場は寒さ対策も重要です。寒いところにトイレがあると猫はあまり行きたがらず、おしっこを我慢してしまいます。冬場はトイレをなるべく温かい場所に置くようにします。トイレについて、『猫ちゃんが喜ぶ!快適なトイレの作り方』の記事も参考にして、猫ちゃんが快適におしっこできる環境を整えてあげてください。
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