全猫の毛柄の大元でもあるキジトラ柄。今も外猫や野良猫などに多い毛色で、懐きにくいと言われます。長い歴史の中で人とも生活をしてきたはずなのに、どうしてなのでしょう?
キジトラ猫の性格
猫の毛色の元祖とされる、キジトラ柄。イエネコの祖先といわれるリビアヤマネコをはじめ、イリオモテヤマネコやヨーロッパヤマネコなど、他の野生の猫も同様の毛柄です。
つまり、野生の猫が暮らす自然の環境で、保護色となる模様ということですね。
キジトラから派生し、サバトラ、茶トラ、黒、白、サビ、黒白、三毛…とさまざまな毛色が出現しました。
*「猫の歴史」
- イエネコ☞「猫はどこから来たの?イエネコの歴史とルーツ」
- 世界史☞「神か悪魔か。人間に翻弄された猫の歴史とは? <世界編>」
- 日本史☞「猫と日本人。いつから猫は日本にいたの? <日本編>」
- 進化☞「猫が猫になったとき。猫の進化の歴史とは?」
- 分類☞「猫を科学的に「分類」するとどんな位置づけなの?
どんな仲間がいるの? 」
野生猫と同じ毛色遺伝子を持つだけあり、警戒心が強めで慎重、抱っこやスキンシップをあまり好まず、打ち解けるのに時間が必要な子が多いようです。
ただ、一度心を許した相手にはとことん甘える傾向で、家族の中でも人によって態度に違いが出ることも。自分にだけ甘えられたりしたら、メロメロになってしまいそうですね。
好奇心旺盛で体力があり、素早い動きや走るのが得意な、野性味あふれる性質を持っています。狩猟本能が満たされるような遊びをしてあげると夢中になり、距離がグッと縮まるはずです。
性別では、オスの方がやんちゃで甘えん坊、メスは用心深く人見知りな傾向です。
キジトラ×白だとどうなる?
キジトラ白の場合、キジの部分が多いと警戒心が強く、慎重で賢い子が多くなるようです。白が多めになると、用心深さが少し薄まり、多少、人にも友好的で明るい性格な傾向です。
キジトラ柄のいる猫種は?その性格は?
純血種では、毛色よりもその品種の性格の傾向になります。キジトラ柄は純血種では「ブラウン・タビー」「ブラウン・マッカレルタビー」といった名称になります。
代表的な猫種をご紹介します。
スコティッシュフォールド
スコティッシュフォールドは、白、黒、三毛、タビーなどさまざまな毛色のパターンが認められています。性格は好奇心旺盛で、人について回ったり、遊んだりすることが大好きです。独特の病気を発症する可能性があるので、一緒に暮らす際には正しい知識を身につけておきましょう。
※詳しくは「【獣医師監修】スコティッシュフォールドの垂れ耳は遺伝性疾患なの?かかりやすい病気や性格、特徴について徹底解説」をご覧ください。
ノルウェージャンフォレストキャット
ノルウェージャンフォレストキャットは、ブラウン・タビー&ホワイト、オレンジタビー&ホワイトなどのバイカラーが一般的ですが、ブルー1色などの毛色も多く存在します。北欧の寒さに負けない、美しい長毛と筋肉質で大型なスタイルです。その容姿のとおり、性格も落ち着きがあり穏やかで、包容力を感じさせます。運動能力に優れ、好奇心旺盛なため、遊んだり高いところへ登ったりするのが大好きです。
※詳しくは「【獣医師が解説】ノルウェージャンフォレストキャットの体重や毛色をご紹介します!」をご覧ください。
キジトラ猫との暮らしで気をつけるべきこと
音や動作に配慮を
用心深い=臆病な面を持つキジトラ猫。大きな声や音、急な動きはキジトラ猫をびっくりさせてしまう恐れがあります。静かな声で話す、ゆっくり動くなど、キジトラ猫が安心できるよう心がけてあげましょう。
安心できる隠れ家を用意して。無理強いはNG!
周りを見渡せる、ひとりで静かに過ごせるといった、安心できるスペースを作ってあげましょう。また、無理な抱っこやベタベタと触ると、警戒を強めてしまいます。
キジトラ猫のペースで仲良くなっていきましょう。
まずは遊びでコミュニケーション!
狩猟本能が色濃く残っているのか、おもちゃなどを捕まえる、ジャンプ、かけっこといった動きが大得意。一緒に遊ぶ時間を作りましょう。ただ、他の猫よりも「戦闘能力が高い」ともいわれるため、人の手や足は使わず、おもちゃなどを用意しましょう。
気をつけたい病気
特筆すべきキジトラ猫特有の病気はありませんが、尿路結石や膀胱炎など泌尿器系の疾患や、腎不全など、一般的な猫のかかりやすい病気には気をつけましょう。
ストレスや食べすぎ、運動不足などに注意し、健康的な生活を心がけてあげてください。
★『うちの子おうちの医療事典』で、記事に関連する病気の解説をご覧ください。
尿石症
膀胱炎
腎不全
キジトラ猫の性格、いかがでしたか?
人に懐きにくいというキジトラ猫は「猫」という生き物本来の気高さ、強さといった魅力を感じられる子が多そうですね。独特の魅力を一度体験すると、キジトラ好きになる人も多いようです。
性格は育つ環境や年齢なども大きく関係するため、すべてが当てはまりはしないかもしれません。でも、傾向や背景を知ることで、愛猫への理解や愛情が深まるのではないでしょうか。
参考資料
・ねこ色、ねこ模様。
・猫の毛色&模様 まるわかり100!
・猫のなるほど不思議学
・真夜中に猫は科学する
・The Relationship Between Coat Color and Aggressive Behaviors in the Domestic Cat
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