猫の被毛の色にはいろいろな種類があり、それによって鼻の色もいろいろあることは多くの飼い主さんが知っていることかと思います。ですがその鼻の色が、猫の状態や体調によって変化することはあまり知られていません。ここでは、猫の鼻の色の変化について解説します。

そもそも猫の鼻の色って、どんな色があるの?

猫の鼻の色と被毛の色には、深い相関関係があります。被毛の色素が濃い猫は、鼻の色も濃くなる傾向があるのです。

 

鼻の色の種類と代表的な被毛の色

黒色の鼻

や白黒、もしくはシャムなどポインテッド柄の被毛

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グレーの鼻

ロシアンブルーが代表的。グレーの被毛

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茶色~オレンジ色の鼻

茶トラキジトラサバトラ、レッドなどの被毛

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ピンク色の鼻

茶トラのほか、鼻の周りが真っ白い被毛の猫

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まだら模様の鼻

白黒、三毛サバトラなどの被毛

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病気ではないのに、鼻の色が変化する理由とは?

猫は、健康なときでも鼻の色が変わります。ただし、色素の薄いピンク色やオレンジ色の鼻は変化が良く分かりますが、黒っぽい色の鼻は変化が分かりづらいかもしれません。

血行が良くなることで赤味が増す

運動したり、興奮したり、または体温が上昇したりすると、血行が良くなって鼻の色が濃いピンク色になります。このとき、外耳や肉球も赤味を帯びています。

成長や老化にともなって色が変わる

子猫のときはピンク色だったのに、成長するにしたがって色が濃くなることも。あまり多くはありませんが、老化によっても色素沈着が起こり色が変化することがあります。

病気が原因で鼻の色が変化する場合、どんな症状が考えられるの?

病気によっても、鼻の表面の色が変化(潰瘍や炎症の症状も含む)することがあります。原因となる主な病気には次のようなものがあります。

貧血

<症状>
貧血がひどいと、血液中の赤血球数やヘモグロビン濃度が低下するため、鼻の色、唇や歯茎の色が白っぽくなります。貧血の原因は外傷による出血のほか、呼吸器や心疾患、寄生虫、中毒などが考えられ、症状がひどいと酸素供給が不足して低酸素状態になってしまい、呼吸が荒くなり失神してしまうことも。そのようなときはすぐに病院へ連れていきましょう。

 

<治療>
原因となる病気や怪我の治療を行いますが、症状がひどいときは輸血が必要になることもあります。

 

※詳しくは「猫の貧血はどうやって治療する?症状やメカニズムを獣医師が徹底解説!」をご覧ください。

扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

<症状>
皮膚の表皮にできる癌で、初めはちょっとした脱毛と皮膚炎の症状だけだったものが、盛り上がって暗赤色や黒っぽいかさぶたのようになったり、赤い潰瘍状になったりします。青目の白猫に多いとされ、耳、鼻の表面、鼻腔や口腔などに好発するとされます。

 

<治療>
基本的に患部を含めて広い範囲で組織を切除しますが、鼻の表面など広範囲で切除しづらい部位の場合は、化学療法や放射線療法を併用することもあります。

好酸球性肉芽腫症候群(こうさんきゅうせいにくがしゅしょうこうぐん)

<症状>
この症候群は、体のいろいろな部位に、脱毛や赤い潰瘍が生じる病気で、原因は良く分かっていませんがアレルギーや過敏症などが可能性としてあげられます。

 

<治療>
アレルギー症状を抑えるために、ステロイドの投与を行います。

 

 

猫の『鼻』に関する「にゃんペディア」獣医師監修記事を合わせてご覧ください。

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☞『うちの子おうちの医療事典』で本記事に関連する病気を調べる

貧血

中毒

 

Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

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