猫も人と同じように、鼻の病気の症状として鼻水が出ることがあります。一時的であれば問題ないのですが、次の日も変わらず、ずっと鼻水が垂れている場合は要注意です。どのような病気で鼻水は出るのでしょうか。原因となる病気、予防方法について詳しく解説します。

どうして鼻水が出るの?

鼻の中は鼻粘膜という薄い粘膜層に覆われています。細菌やウイルスから粘膜を保護し、体内への侵入を防ぐため、粘膜層にある鼻線や胚細胞からの粘液と血管からの浸出液が、鼻粘膜に湿り気を与えます。これが鼻水です。健康な状態であれば、この混合液は少量で気づかないうちに飲み込んでしまいますが、病気になって炎症が起こると大量に分泌されて鼻の外へとあふれることに。慢性化すると始終鼻水が出ている状態になります。

病気の種類や進行度合いで違う、鼻水の色

単に鼻水といっても、病気の種類や進行度合いによって状態は変化します。獣医師に伝えるためにもどのような鼻水が出ているのか、よく観察する必要があります。

 透明で水っぽい鼻水

透明で粘り気がほとんどない水っぽい鼻水は、鼻炎 に見られます。

黄色い粘り気のある鼻水

黄色っぽい色がついてきて粘り気のある鼻水が出てきたら、副鼻腔炎など細菌感染が疑われます。時として、異臭がすることもあります。

血が混じっている鼻水

鼻水に血が混じっているときは、重度の鼻炎、副鼻腔炎のほか、腫瘍や外傷が考えられます。

いつ病院に連れて行けば良いの?

次のような場合は、経過観察せずになるべく早く動物病院に連れて行きましょう。

 

□  鼻水が数日止まらない
□  発熱や涙目、食欲不振、元気がないなど他の症状をともなう
□  血が混じる(鼻血が出る)

鼻水の出る主な病気とその症状とは?

鼻水が出る病気はさまざまあり、鼻腔内の炎症だけではなく、腫瘍や異物の可能性もあります。また鼻腔以外、例えば、口腔に問題がある場合も。ここでは、鼻水が出る主な病気について紹介します。

鼻炎

<症状>
鼻炎は鼻腔内に起こる炎症で、ウイルスや細菌、真菌の侵入や異物の侵入などが原因と考えられます。猫のアレルギー性鼻炎はそれほど多くありません。
鼻水が初めは透明でサラサラしていたのに、しばらく経つと黄色や緑色でネバネバしてきたときは、主に猫ウイルス性鼻気道炎 (ヘルペスウイルスの感染)、猫カリシウイルス感染症 、猫マイコプラズマ感染症、または猫伝染性呼吸器症候群などが原因と考えられます。感染症による鼻炎の場合、発熱やくしゃみ、涙目、いびき、食欲低下などの症状も見られます。

 

*詳しくは「【獣医師監修】鼻水がなかなか止まらない!猫の鼻炎の原因と治療法とは?」をご覧ください。

 

<治療と予防>
鼻炎の一般的な治療は、抗生物質や消炎剤を投与するなどの内科的な治療を行いますが、重症であればあるほど、その治療は長くかかるため、病気に気づいたら早めに病院に連れて行きましょう。
感染による鼻炎を予防するには、定期的な予防接種が重要ですが、ワクチンがないウイルスや細菌もあるため、日常からの健康に気をつけることも大切です。多頭飼いの場合、もし1頭が感染してしまったら感染が拡大しないように、ほかの猫から隔離し食器などは別にしましょう。

副鼻腔炎

<症状>
多くは鼻炎が慢性化して引き起こされる病気ですが、腫瘍によって鼻腔が貫通してしまった場合や、ウイルス性上部気道感染症の慢性期にも見られることがあります。主な症状は、黄色がかった粘液性の鼻水です。

 

<治療と予防>
副鼻腔炎の治療は鼻炎と同様に抗生物質と消炎剤の投与です。重症の場合は麻酔下で膿を洗い流す必要がありますが、一回かかると治りにくい病気です。

鼻の腫瘍

<症状>
鼻にできる腫瘍にはいくつかあり、悪性の場合が多いとされます。症例の多い順にリンパ腫、腺癌、肉腫、扁平上皮癌とされ、鼻水のほかに鼻血や鼻づまり、ひどくなると呼吸困難が起こります。また、腫瘍が大きくなると顔がひどく変形することもあります。

 

<治療と予防>
癌の種類によって、抗がん剤の投与、放射線治療、外科手術をするか決定します。猫の癌は予後が良くないとされてきましたが、リンパ腫などは最近では放射線によって年単位で治療できたという報告もあります。癌の予防は難しく、早期発見、早期治療が大切です。

歯槽膿漏

<症状>
高齢猫の多くがかかる歯槽膿漏。進行して重症化すると、歯を支えている顎の骨にまで細菌が到達し、炎症が鼻腔内にも広がって、黄色っぽい粘液性の鼻水が出たり、鼻づまりになったりすることがあります。

 

<治療と予防>
歯石を取ったり抗生剤で菌を抑えたりする治療を行いますが、鼻水が出るほど重症の場合は、抜歯をしなければならないこともあります。そのため、歯槽膿漏にさせないよう、ふだんから歯磨きをして原因となる歯垢を取り除くことが大切です。

Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

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