猫も人間と同様に目ヤニが出ます。体が新陳代謝をしている以上、目ヤニが出ることは自然なことですが、大量の目ヤニが出ている場合は、何かしらのトラブルが起きていると考えたほうがいいでしょう。ここでは猫の目ヤニが大量に出る時に考えられる病気について、解説していきます。
そもそも目ヤニってなに?
目ヤニは専門用語では眼脂と呼ばれます。目の細胞も新陳代謝によって毎日新しく生まれ変わっています。角膜や結膜から剥がれ落ちた細胞やホコリなどが目ヤニとなり、涙が洗い流してくれているのです。
大量の目ヤニは病気のサイン
目ヤニが出るのは体の正常な反応ですが、量があまりにも多い場合や、目ヤニの質によっては病気の疑いがあります。放置してしまうと、最悪失明の可能性もあるので、あまり様子を見ずに早めに病院へ連れていきましょう。目ヤニが増える病気は大きく分けて2つの原因があります。1つは涙の量が増えていること。もう1つは、病原体を追い出そうとして白血球が増え、その死骸が溢れ出ていることです。
涙の量が増えている状態
涙は上瞼の裏にある涙腺というところから分泌されて、目頭近くの上と下にある涙点という穴から排出され、涙小管・涙嚢・鼻涙管を通り、鼻へ流れ込みます。つまり涙は眼で作られ、鼻に抜けるようになっています。この穴や管に閉塞があると涙が正常に排出されずにあふれ出てしまいます。ペルシャやエキゾチックショートヘアーなどの短頭種は、元々鼻涙管が狭いため、涙が溢れやすい品種です。猫の涙は光に当たると赤茶色に変色するという性質を持っているため、涙の量が増えると目頭に赤茶色の目ヤニが溜まってしまうことがあります。
*猫種別のかかりやすい病気がわかる『猫種別病気ガイド』もご覧ください。
「猫種別病気ガイド~ペルシャ(チンチラ、チンチラペルシャ)」
白血球が増えている状態
まぶたと眼球をつないでいる「結膜」は、目の中でも炎症を起こしやすい部分です。
結膜が炎症を起こしている状態を「結膜炎」と言います。猫が結膜炎を起こす原因は様々ですが、結膜で炎症が起きると白血球が増えます。そして白血球の死骸が目ヤニとして涙に流されているのです。大量の目ヤニが出ている場合は、結膜炎を起こしている可能性があります。放置しないで、早めにかかりつけの動物病院へ連れていきましょう。
細菌性結膜炎
猫同士の遊びやケンカで、爪が目に入ってしまう等の原因で、結膜に細菌が感染し、結膜炎を起こします。細菌性の結膜炎は片目だけ発症する場合もあれば、両目とも発症する場合があります。結膜が充血して腫れてしまったり、白〜黄色のどろっとした目ヤニが出ることが多いです。細菌性の結膜炎は、基本的にその他の症状が出ることはありません。抗生物質の目薬や内服薬を使って治療をします。多頭飼いをしているおうちでは気をつけてください。
猫風邪による結膜炎
猫風邪を引き起こす、ヘルペスウイルスやクラミジアが原因で結膜炎を起こすことがあります。猫風邪は健康な成猫がかかっても症状が出ないことがほとんどですが、他の病気で体力・免疫力が落ちていたり、免疫力の低い子猫や高齢猫がかかると重症化し、命に関わる状態に陥る場合もあるので注意が必要です。結膜が腫れたり、大量の目ヤニが出て、目が開かなくなることもあります。その状態を放置すると感染が広がって失明する恐れもあるので、必ず動物病院へ連れていきましょう。目薬や内服薬による治療が一般的です。
アレルギー性結膜炎
春になると花粉症で涙やくしゃみに苦しむ人も多いと思います。花粉症と同じように、猫にもアレルギー性の結膜炎があります。アレルギー性結膜炎の場合、基本的には両目に症状が出ます。透明でサラサラした涙が多く出たり、目頭に赤茶色の目ヤニが溜まるという特徴があります。くしゃみや咳が出ることもあります。抗アレルギー薬やステロイド剤を使用して、症状を和らげます。
*猫の結膜炎について、詳しくはこちらをご覧ください。
角膜の異常
結膜以外に、角膜も外部に接している部分です。角膜は非常に敏感な組織で、外部から刺激を受けると涙がたくさん出ます。例えばケンカやまつ毛などで角膜が傷つくと涙の量が増えます。角膜への刺激が続くと角膜が変性してしまうことがあり、場合によっては失明につながる可能性もあるので、早めに原因を取り除く必要があります。外傷であれば投薬などで自然に治る場合もありますが、まぶたの形状に異常があったり、被毛が目に入ってしまうような場合は、手術が必要になることもあります。
目ヤニの色は透明だったり赤茶色だったり、黄色、白色など様々です。いつもの状態と比べて色が変わってないか、量がいつもより多くないかを見てあげてください。もし気にあることがあればすぐに動物病院に相談するといいでしょう。
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