猫ちゃんは自分の痛みや体調の悪さを隠す動物です。野生時代に弱っているところを見せると敵に襲われる危険があったなごりともいわれます。具合が悪くてもそう見せないために、異常が見られた時点では、病気がかなり進行しているという可能性もあります。病気を悪化させないためには、できるだけ小さな異常を見逃さないこと。それには、まず健康なときの猫ちゃんの体のデータがあると、さまざまな判断がつきやすいのです。あらかじめ測定しておきたいデータをまとめました。

自宅で測れる猫の基本データ

猫の体調変化に気づくためには、普段健康なときの猫の状態を知っておくことがとても大切。基準があることで、様子がおかしいときに測れば、異常かどうかを判断する目安になりますよね。飼い主さんがきちんと猫の体の基本データを把握しておきましょう。

体重

もし自宅に赤ちゃん用のベビースケールを持っていれば、より細かい測定が可能です。大人の体重計でもかまいませんが、猫はおとなしく体重計に乗ってくれませんし、動いてしまってうまく体重が量れないので、以下の方法をためしてください。

□ 飼い主さんの体重を量ります。

□ 猫を抱っこして再び体重を量ります。

□ そこから自分の体重を引いて計算します。

あるいは、ペットキャリーに入れて体重を測定し、そこからペットキャリーの重さを引くというやり方もあります。

体重は定期的(できれば毎月)に量っておき、もしダイエットをしていないのに、

体重が全体の5%以上減った場合は、要注意

です。

 

体温

耳で測定できるペット専用体温計が市販されているので、こちらがあると便利です。一般的な体温計を使い、肛門に入れて直腸温を測定することもできますが、先が硬いタイプの体温計は肛門を傷つけてしまう恐れがあるので、おすすめできません。

猫の自宅での正常な体温は37.5~39度

といわれています。また、普段のお手入れのときなどに飼い主さんの手や指で、猫の体の温かさを覚えておくと、熱が出たかな?というときに判断する目安にもなりますね。

 

呼吸数

猫が落ち着いているときに、胸が上下する回数を数えます。分かりづらい場合は、軽くおなかに手を当てて、胸が上下する回数を数えてみましょう。呼吸数を考えるには、1分間あたりの回数が重要になります。ただ1分間じっとさせておくのも、なかなか難しいので、慣れないうちならば、15秒間に呼吸を数えて、4倍した数と覚えておいてもよいと思います。

遊んで興奮しているときや、運動の後を避けて、落ち着いた状態のときに呼吸を数えましょう。

健康な猫の呼吸数は、平均で1分間に24~42回

ぐらいです。

 

心拍

胸の下に手を当て、その鼓動を測定します。脇の下から手を入れて、両手で包み込むようにすると測りやすいでしょう。心拍数も1分間の数字が基本となりますので、15秒間測定した数を4倍した数値を覚えておきます。人間同様、猫も緊張すると心拍数が上がります。落ち着いたときを狙いましょう。

安静時の心拍数は、1分あたり120~160回ぐらいが目安

です。

聴診器を使う場合は、かかりつけの獣医師に相談の上購入しましょう。

 

測定の順番

上にあげた猫の基本データを正しく測定するには、それぞれの測定の順番がポイントです。

「呼吸数」⇒「心拍」⇒「体温」⇒「体重」の順がおすすめ! 

体温測定や体重を量るときには、猫の体に強く触れることになるので、中には緊張する猫も。そうすると呼吸数や心拍を正しく測定できなくなってしまうのです。

こうした基本データを覚えておくと、動物病院を受診するときにも役立ちます。定期的にデータをとり、変化がないかチェックしておきましょう。明らかに普段の測定値から大きくはずれるようなことがあれば、動物病院を受診してみるとよいでしょう。

 

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★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典「うちの子おうちの医療事典」をご利用ください。

☞例えば、下記のような猫ちゃんの「症状」から、考えられる病気やケガを知ることができます。

 

● 排泄:下痢をしている血便が出ている便の様子がおかしい便が出ない尿が出ない尿の色がおかしい

尿の回数や量が多いトイレを失敗する

● 消化器: 吐いている血を吐く

● 食事:元気がない食欲がない食べすぎる水を沢山飲む疲れやすい太る痩せる偏食する

● 口:よだれが多い口を気にしている口の中にできものがある食べづらそうにする歯石がついている歯肉が赤い歯肉が白い口が臭い口の中から出血している

● 呼吸:・くしゃみをする咳をする呼吸が苦しそう口を開けて呼吸をする

 

☞「猫の行動」からも、考えられる病気やケガをも調べられます。

□ 足をあげる

□ 歩かない

□ ふらつく

□ 性格が変わる

□ グルーミングが減った

□ グルーミングが増えた

 

☞他にも、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

【治療】

■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状】

■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】

■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】

春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】

■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】

■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】

■ 命にかかわるリスクが高い

【費用】

■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】

■ 予防できる ■ワクチンがある

 

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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