「猫の鳴き真似をしてみて」と言われたとき、みなさんは猫の鳴き声をどう表現するでしょうか?
多くの方は「にゃーにゃー」、あるいは「みゃーみゃー」「にゃんにゃん」「みゃーお」などとなるのではないかと思います。
日本語での猫の鳴き声「にゃーにゃー」は、”世界の常識”ではない?
日本語での猫の鳴き声「にゃー」は、英語では「mew(ミュー)」もしくは「meow(ミャオウ)」(英国式)となります。猫に限らず動物の鳴き声、いわゆる擬声語の表現が、各国の言語によって異なっていることはよく知られていますね。
私たちも英語を習いたての頃、たとえば犬は「わんわん」ではなく「bowwow(バウワウ)」だとか、雄鶏は「こけこっこー」が「cocka-a-doodle-doo(クッカドゥードゥルドゥー)」、豚が「ぶーぶー」の代わりに「oink(オインク)」、牛の「もーもー」は「moo(ムー)」となるなど、「わー、外人さんはこんな風に聞こえているんだ」と、新鮮な驚きを覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こんなに違う、各国語の猫の鳴き声
以下は、主な言語での猫の鳴き声の表現のうち、代表的なものの一覧となります。
英語(英語)「meow(ミャウ)」
英語(米語)「mew(ミュー)」
フランス語「miaou(ミャウ)」
ドイツ語「miau(ミアォ)」
スペイン語「miau(ミャウ)」
イタリア語「miao(ミャーオ)」
ロシア語「мяу(myau/ミャーウ)」
スロヴェニア語「mijav(ミヤゥ)」
中国語「喵(miao/ミャオ)」
韓国語「야옹(yaong/ヤオン)」
どの言語でもおおよそ、「m音」から始まっているなどの共通点が見られますね。また多くの言語で、日本語の「にゃーにゃー」のように、「mew mew」「喵 喵」などと繰り返しのかたちで使用されることが多いようです。これらは、繰り返し鳴いて訴えかける猫の特徴を、よく捉えた表現となっているように思います。
猫は「ねうねう」と鳴いていた
さて日本語の猫の鳴き声ですが、それではこれは初めから「にゃーにゃー」だったのでしょうか? もともと英語などに比べ、擬音語や擬態語の種類が豊富であるとされている日本語ですが、その成立にはさまざまな変遷があるようです。
たとえば犬ですが、現在は「わん」と表記されますが、平安時代には「ひよ」、室町時代に入って濁音がつき「びよ」「びょう」、江戸時代になってからは「わん」と鳴くようになりました。今でも、狂言では犬の鳴き声を「びょうびょう」と表現します。
同様に猫の「にゃーにゃー」は、平安時代は「ねうねう」と書いて「ねんねん」と読み、鎌倉時代は表記も発音も「ねうねう」となりました。現在の「にゃーにゃー」となったのは、こちらも江戸時代からとなります(『犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い』(山口仲美著/光文社新書)より)。
これらの変化については、日本人が江戸時代以降、犬や猫などを野生動物としてではなく、より人間に近しい存在として意識し始めたことが、鳴き声の聞き取りに影響を与えているのではないか、という推測があります。
*「猫と文学」
- 源氏物語☞「猫が引き起こした大事件―『源氏物語』と源氏絵」
- 鼠草子絵巻☞「鼠草子絵巻に登場する猫ちゃん」
- 猫の草子☞「古典『猫の草子』に登場する猫ちゃん」
- 忠義な猫☞「忠義な猫の物語」
- ヘミングウェイ☞「幸運を運んでくれる…?6本指の猫のおはなし
」
ちなみに「猫」の語源は、「ねうねう」と鳴く小さな動物を、親しみを込めた接尾語”こ”をつけ「ねうこ」と呼び、それが次第に訛って「ねこ」となったという説もあります(ほかに「寝る子」説など)。
*「猫の歴史」
- イエネコ☞「猫はどこから来たの?イエネコの歴史とルーツ」
- 世界史☞「神か悪魔か。人間に翻弄された猫の歴史とは? <世界編>」
- 日本史☞「猫と日本人。いつから猫は日本にいたの? <日本編>」
- 進化☞「猫が猫になったとき。猫の進化の歴史とは?」
- 分類☞「猫を科学的に「分類」するとどんな位置づけなの?
どんな仲間がいるの? 」
猫の「ごろごろ」、英語ではなんと….
さて最後に、猫が喉を「ごろごろ」鳴らす様子はとてもかわいいものですが、これは英語では「purrr(パー)」、フランス語では「ronron(ロンロン)」となります。
フランス語はともかく、英語には非常に違和感を感じるのですが、それはにゃんペディア編集部だけでしょうか?(笑)
世界にはどんな猫がいるの?と気になった方は、ぜひ「猫図鑑」も併せて見てみて下さいね!
*猫の気持ちに関する専門家監修「にゃんペディア」記事も、
- 猫の夢☞「猫も夢を見るの?」
- しっぽ☞「しっぽを振るときの猫の感情とは?」
- 鳴き声☞「鳴き声から読み取れる、猫のきもち」
- サイン☞「猫が甘えたいときのサインを見逃さない!」
- 寝姿☞「寝相・寝姿からわかる猫の気持ち」
- ゴロゴロ音☞「ゴロゴロという音に隠された猫のきもち」
- しぐさ☞「可愛い仕草からひも解く、猫ちゃんの気分とは」
- 天気☞「お天気で変わる猫ちゃんの気分」
- 見つめる☞「猫がじっと見つめてくるとき、
一体なにを考えているの? 」 - 怒り☞「猫ちゃんの怒りのサインを見逃さないで!」
- 寝場所☞「猫の寝る場所からわかる、猫のあなたへの好感度」
★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、猫種など、