人間にはない猫ちゃんのしっぽ。猫ちゃんのチャームポイントであると同時に、気持ちを読み取るための大事なツール。パタパタ揺らしたり、大きく振ったり、一瞬にして太くしたり…、その動きはすべて猫ちゃんの気持ちと連動しているのです。どんなにポーカーフェイスを装っても、しっぽはウソはつけないということ。しっぽから猫ちゃんの気持ちを読み取ってみましょう。
バランスをとる
カーテンレールや椅子の背など、猫は幅の狭いところも器用に歩きます。一説によれば、幅3cmくらいまでならすいすい歩けるとか。それもこれもすべてしっぽのおかげ。猫はしっぽを使ってバランスをとっているのです。サーカスなどで綱渡りをする際にもつ長い棒のように、猫は幅の狭い場所を歩く時、バランスが崩れるとしっぽを上下左右に動かして軌道修正をします。高いところに昇ったりジャンプしたりする時もしっぽでバランスをとっています。しっぽは猫の素早い行動を支える大切な道具なのです。
感情を表現する
しっぽには猫の感情がとてもよく表れるといわれています。ピンと立てたりだらりと垂れ下げたり、パタパタと揺らしたり太くしたり…と、まさに変幻自在。それらひとつひとつの動きにはすべて猫の感情が反映されているのです。つまり、しっぽから気持ちを読み取ることができれば、猫とコミュニケーションをとれるということ。果たして猫はどんなことを考えているのでしょうか。
甘える&おねだり
しっぽをピンとまっすぐ立てるのは、相手に対する親愛の情の表れ。甘えたりおねだりしたりしたい時、猫はしっぽをピーンとまっすぐに立てます。生まれたばかりの子猫は排泄後、母猫におしりを舐めてきれいにしてもらっていました。その習慣から、子猫が母猫に近づく時はこのポーズをとるようになり、大人になっても甘えたい時やおねだりしたい時、猫は母猫を思い出ししっぽを立てるようです。猫は苦手な相手とは目を合わせません。もし、目の前の猫がしっぽをピンと立てて自分をじーっと見つめていたら、それは好意を持っているというサイン かもしれません。外出先から帰ったところを、玄関先に迎えに出た猫がしっぽを立ててまとわりついてくる…、飼い主さんにとっては幸せな瞬間ですね。
機嫌が悪い
猫がしっぽを左右に振り出したら要注意。ちょっとご機嫌斜めな合図です。それに気づかずちょっかいを出したり、背中を撫でようものなら、しっぽの振りがどんどん大きく速くなっていきます。これは「やめないと怒るよ!」のサイン。イライラが募れば、噛みつくなど攻撃に出る恐れもあります。しっぽを大きく速く振るようなことがあれば、そっとしておいてあげましょう。犬がしっぽをぶんぶん振るのは嬉しい時ですが、猫はその反対なのですね。
返事をする
うたたね中やのんびりくつろいでいる猫に名前を呼ぶなどして声をかけると、しっぽをパタパタと振る、あるいは床にパンパンと軽くぶつけることがありますよね。実はこれ、「聞こえているよ」の合図なのです。名前を呼ばれていることはわかっているけど、声を出して鳴くのはちょっと面倒…、そんな時、猫はしっぽを振って返事をするのです。この仕草をする時、猫は親猫のモードであるといわれます。親猫はじゃれつく子猫たちに対し、しっぽをパタパタと動かしながら相手をします。しっぽをおもちゃに見立てて遊ばせてあげるのです。飼い主さんに対しても「はいはい、わかっていますよ」という親猫の気分で接しているのでしょうね。
威嚇する
猫のしっぽがまるでたぬきのように太くなってしまうことがあります。それは猫同士のケンカなど相手を威嚇する時。猫は相手を威嚇する際、自分を大きく見せるため全身の毛を一瞬で逆立てます。そのため、しっぽが倍以上太くなったように見えるのです。初めて見た人には不思議に映るこの変化は、猫同士でケンカする時以外にも、突然大きな物音がしたり、予想もしていなかった相手に出会ったりして驚いた際にも起こります。恐怖と威嚇が混じった際の現象で、しっぽを太くすると同時に相手に対し体を斜めに向け腰を高くします。これもまた自分を大きく見せるための猫の本能。そのポーズのまま前後にぴょんぴょん跳び上がることもあります。
降参する
相手を威嚇する際、猫は自分を大きく見せるため毛を逆立てますが、恐怖が強すぎると逆に小さく見せようとします。しっぽを股の間に巻き込み、うずくまってしまいます。自分を小さく弱く見せることで、攻撃の意思がないことを相手に伝えるというわけです。「降参する」という意味を表す「しっぽを巻く」という言葉の語源は、猫をはじめとした動物のこうした仕草にあるともいわれています。しっぽを巻いていなくとも、体のそばにぐっと引き寄せていれば、同様に恐怖を感じているということ。いたずらに刺激せず、そっと見守ってあげましょう。
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なわばりをチェックする
猫はとてもなわばり意識の強い動物。自分の匂いをこすりつけることでなわばりや所有権を主張しますが、しっぽもその役割を担っています。しっぽの付け根には皮脂腺が多く存在し、そこから匂いが発せられます。猫が飼い主さんの足下や家具などにしっぽをすりすりするのは、自分の匂いをこすりつけているのです。こうすることで飼い主さんもお気に入りの家具も自分のものになるというわけです。猫がしっぽをすりすりしてきたら、仲間と認めてくれたということなのかもしれません。
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