流涙症とは、その名の通り涙があふれて止まらなくなる病気です。常に涙が流れているため目の下の被毛はいつも濡れた状態になり、目頭から鼻筋にかけて茶褐色に変色することもあります。涙が原因で被毛が変色することから「涙やけ」と呼ばれることもあります。命にかかわる病気ではありませんが、まぶたが炎症を起こしたり、感染が原因で皮膚病を発症したりすることもあります。悪化させると長引いてしまいますので、早急な治療が必要です。

こんな症状に気をつけて

いつも涙を流している、目の下の毛が涙で濡れている、目をこすっているなどの症状が見られたら要注意。流涙症の疑いがあります。白い毛並みの猫は目視で確認できますが、黒など毛並みの色が濃い猫は涙を流していても気づきにくいことがありますので、目を頻繁にこするようになったなどの異変を感じたら、ティッシュやガーゼで目のまわりをぬぐってみてください。流涙症であれば赤茶色の涙がついてきます。

原因

流涙症の原因はいくつかありますが、まず角膜炎や結膜炎をはじめとした目の病気が考えられます。ほかに目に異物が入ったり、排気ガスや煙などの刺激物が角膜や結膜に刺激を与えたりすることで涙の分泌量が増える場合もあります。また何らかの原因によって、目と鼻をつないでいる器官である鼻涙管が詰まったり狭くなったりすることも考えられます。そのため目頭から過剰な涙があふれてしまうのです。鼻涙管の詰まりは先天性の場合もあります。また先天的に目瞼(まぶた)の形成異常がある場合でも流涙症が起こることがあります。

治療

角膜炎や結膜炎といった目の病気が原因の場合は、病気自体の治療を行い、異物が原因であれば異物を除去します。鼻涙管が詰まっているのであれば、その部分に極細の管を挿入して洗浄したり、拡張させたりする処置を行うことで涙の流れを正常に戻しますが、再発することもあります。

また、涙と一緒に目やにが出る場合も多く、それが原因で目頭から鼻筋が汚れてしまい皮膚が赤く腫れてしまうことがあります。目やにが多いようなら点目薬などを処方してもらいます。

予防

流涙症は鼻の短い猫が発症しやすいといわれていますので、ペルシャヒマラヤンスコティッシュフォールドなどは特に注意が必要です。いつもより涙の量が多いと感じたら、すぐに獣医師の診察を受けましょう。目の周囲が湿っていると雑菌が繁殖し、炎症を起こす場合があります。涙が出たらこまめに拭き取り、まぶたを常に清潔にしてあげるようにしましょう。

 

★猫の『目』『眼』に関する「にゃんペディア」獣医師監修記事を合わせてご覧ください。

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★★「猫種別病気ガイド」で、猫種によるかかりやすい病気を調べてみましょう。

ペルシャ(チンチラ、チンチラペルシャ)のかかりやすい病気・ケガ

ヒマラヤンのかかりやすい病気・ケガ

 

 

★★★「うちの子」の長生きのために、気になるキーワードや、症状や病名で調べることができる、獣医師監修のペットのためのオンライン医療辞典『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

うちの子おうちの医療事典

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

かかりやすい病気

再発しやすい

多頭飼育で注意

子猫に多い

手術費用が高額

生涯かかる治療費が高額

高齢猫に多い

人にうつる

初期は無症状が多い

命にかかわるリスクが高い

生涯つきあっていく可能性あり

緊急治療が必要

ワクチンがある

予防できる

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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