猫ちゃんが美味しそうに食事をしている姿を見るのは、飼い主さんにとって幸せな時間ですよね。猫ちゃんを喜ばせたくて、自分のおかずを少しおすそ分けしてあげる方もいるかもしれません。
しかし、私たち人間が食べている物の中には、猫ちゃんにとっては有害なものがいくつもあります。それらを食べてしまったことで下痢や嘔吐をしたり、重症になれば中毒に陥ることだってあるのです。ここでは猫ちゃんに与えてはいけない、危険な食べ物について解説します。

猫に与えると危険な食べ物

玉ねぎ、ニラ、ネギ、ニンニク

ネギ類を過剰に摂取した場合、アリルプロピルジスルフィドという物質が、赤血球を壊してしまうことによって、貧血・食欲不振・呼吸困難・血尿・嘔吐などの症状を引き起こします。

症状が出る摂取量

体重1kgあたり5g

【例】
6kgの猫ちゃんの場合:

玉ねぎ1個を150gとすると、1/5(30g)食べると症状が出ます。

調理しても毒性は消えない

玉ねぎの毒性は、調理(加熱)しても無くなることはありません。また乾燥・粉末(オニオンパウダー)などに加工しても、毒性はなくならないのです。本来、猫は玉ねぎやネギなどの匂いを嫌うため、通常は口にすることはないのですが、具材として使われている場合は注意が必要です。
ハンバーグやシチュー、すき焼き、肉じゃがなど、ネギ類が具材として使われているものは、猫が自ら口にする可能性があるので、注意しましょう。

赤血球を破壊する食べ物は色々あります

ネギ類と同様に「アリルプロピルジスルフィド」を含む食材は沢山あります。カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ、カブ、からし(マスタード)、クレソン、ワサビなどは注意したほうがいいでしょう。カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ、カブに含まれるアリルプロピルジスルフィドは、玉ねぎほど多くはないので、一欠片与えた程度では問題ありませんが、手作りフードなどで定期的に取り入れるのは避けましょう。

アボガド

またアボカドの果肉に含まれる「ペルシン」という成分を人間以外の動物が食べると、嘔吐や下痢、呼吸困難などの症状を引き起こすと言われています。具体的な量はまだ解明されていないので、とにかく猫が食べないようにすることが大切です。

チョコレート

チョコレートの中に含まれるテオブロミンやカフェイン等の摂取により生じる中毒です。摂取後1~2時間で落ち着きが無くなり、興奮状態になります。尿失禁をすることもあります。摂取後2~4時間で嘔吐や下痢、呼吸の乱れが起こり、発熱する場合もあります。重度の場合は、全身性の痙攣発作が生じて、死に至ることもあります。

症状が出る摂取量

チョコレートに含まれるテオブロミンの量は、チョコレートによって異なります。
以下はあくまで参考値としてください。

□ダークチョコレート/体重1kgあたり5g

□ミルクチョコレート/体重1kgあたり10g

□ホワイトチョコレート/体重1kgあたり500g

【例】
6kgの猫ちゃんの場合:

□ダークチョコレート/体重1kgあたり5g

□ミルクチョコレート/体重1kgあたり10g

□ホワイトチョコレート/体重1kgあたり500g

 

猫には甘みを感じる味覚がないので、猫から好んでチョコレートを食べることはあまりないと言われてはいますが、くれぐれも猫の手が届くところにチョコレートを放置したりしないようにしましょう。

アワビ

アワビの肝に含まれる「ピロフェオホルバイド」という成分が「光線過敏症」を引き起こす場合があります。普通の猫では何でもないような太陽の光で、皮膚炎を起こしてしまうのです。特に猫の耳は毛や色素が薄いため日光に反応しやすく、腫れやかゆみなどの症状を引き起こします。悪化すると、耳の外側が壊死して取れてしまうこともあるのです。

食べ過ぎると危険な食べ物

一度、少量を口にしただけでは問題ない食材でも、長期間大量に摂取し続けることによって、病気を引き起こすような食べ物もあります。定期的な食事として与えるのは避けましょう。

生のイカ

特に生のイカの内蔵は要注意です。内蔵には「チアミナーゼ」という酵素が含まれており、猫にとって必要なビタミンB1を壊してしまいます。チアミナーゼは熱に弱いので、しっかりと加熱したイカであれば問題ありませんが、イカは消化が悪い食材です。どちらにせよ与えすぎないように注意しましょう。

サバやイワシなどの青魚、マグロ

サバやイワシなどの青魚やマグロを大量に長期間食べてしまうと、脂肪が黄色くなってしまう「黄色脂肪症」という病気になってしまいます。これは皮下脂肪や内臓脂肪に炎症が起こり、発熱や強い痛みを引き起こす病気です。

大量のレバー

栄養たっぷりのレバーは猫の体のためにも食べさせてあげたいものですが、摂り過ぎは却って害を及ぼします。レバーを長期にわたり大量に摂り続けると、レバーに豊富に含まれるビタミンAが原因の「ビタミンA過剰症」を引き起こしてしまいます。骨の変形といった症状が出ることもありますので、あげすぎには気をつけてください。

注意が必要な食べ物

牛乳

捨てられた子猫を保護して牛乳をあげるというのは、わりとよくある光景かもしれません。しかし、母乳と牛乳ではその成分が全く違います。たとえば、猫の母乳は牛乳にくらべてタンパク含有量や脂肪の含有量が多いので、子猫に牛乳だけを与えていては、栄養不足になるのです。また牛乳の中に含まれる乳糖は、猫の母乳のそれよりも多く、猫が牛乳を飲むと消化しきれず下痢をすることもあります。
猫にミルクを与える場合は、必ず猫用のミルクを選びましょう。

飼い主さんのおすそわけ

食事中、猫にかわいい顔でおねだりされると、ついついあげてしまう飼い主さんも多いはず。食べてはいけない食材をあげなければ大丈夫、なんて思っている方もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。猫はそもそも肉食の生き物。人間とは必要な栄養素が異なるのです。人間の食べ物を安易にたくさん与えてしまうと、栄養バランスが崩れる可能性があります。

犬が摂取すると危険な食べ物

人間にとって安全な食べ物のうち、犬が摂取すると危険な食べ物はいくつかあります。その中で、猫ちゃんへの影響がどの程度あるのかが未知数な食べ物は、実はたくさんあるのです。犬が食べて危険なものは、猫にも与えない方が無難でしょう。

□ナッツ

□ぶどう/レーズン

□キシリトール

□アルコール

もしも猫が食べてはいけないものを食べてしまったら?

中毒を引き起こした場合、家庭でできる治療はありません。必ず動物病院で診察を受けてください。その際、獣医さんへ伝える内容は全部で3つです。

①「何を食べたか」

猫にとって毒性のある食品を食べているかどうかの判断ができます。

②「どのくらい食べたか」

猫の体重と食べた量によって、症状がどのレベルなのかが分かります。また、毒性のない食べ物でも過剰摂取することで中毒を引き起こす場合があります。

③「いつ食べたか」

食べてからどのくらい経過しているかによって、症状のレベルが分かります。もし時間が分からなければ、いつまで元気だったか、あるいは元気がないことに気付いたのはいつ頃かを獣医さんに伝えましょう。

これらの情報を出来るだけ細かく、正確に伝えるようにしてください。

動物病院での治療方法

猫が毒物となるような食べ物を食べた場合に、飼い主さんが一番気をつけなければならないのは、絶対に自分の判断で対処しようとしてはいけないということです。動物病院で行う治療法は主に4つありますが、獣医さんは様々な状況から判断して、その子にとって最適な処置を行います。愛猫が苦しそうにしていたら、速やかに動物病院に連絡をしましょう。
深夜などでかかりつけの獣医さんと連絡が取れない場合でも、夜間病院があります。夜間病院が遠方にあるなどして、すぐに診察を受けさせてあげられない場合は、まず電話をするといいでしょう。緊急対応が必要な場合であっても、最適な指示をしてくれるはずです。

毒物がまだ胃の中に残っている場合

吐かせる(催吐処置)

危険な食べ物を食べてしまってから時間があまり経っていないときは、胃の中に毒物が残っている可能性があるため、吐かせることがあります。人間のように指を喉の奥に入れて無理やり吐かせるのではなく、薬を使って嘔吐を促します。
「吐かせる処置」と聞くと、自宅で簡単にできそうに聞こえるかもしれませんが、自宅で吐かせようとする行為は非常に危険ですので、絶対にやめてください。症状がひどくて意識がもうろうとしている場合などは、吐いたものが詰まってしまう可能性もあり、そのようなときに催吐処置は行いません。必ず獣医さんの指示に従いましょう。

胃洗浄

催吐処置を施したものの嘔吐してくれなかった場合や、意識がもうろうとしていたり、逆に暴れすぎたりして催吐処置を行えない場合、また催吐処置で使用する薬、持病などで使えない場合に、全身麻酔をかけて胃洗浄を行います。胃洗浄も催吐処置と同様に、胃に毒物が残っていなければ意味がない処置になるので、中毒を引き起こすようなものを食べてから数分〜数時間しか経過していない場合に行います。
また、胃では消化されず、腸に詰まってしまう可能性があるアボガドの種などは、内視鏡を使って取り除く場合もあります。

便と一緒に出させる

危険な食べ物を摂取してからある程度時間が経過してしまっている場合は、毒物が胃から腸へ送られ、からだ中に回ってしまっています。その場合は胃洗浄をしても意味がないので、便と一緒に毒素を排出させるという処置をとることがあります。
また、摂取した毒物の量が少ない場合などは、催吐処置のための薬や麻酔などで体に負担をかけずに自然排泄を促すケースもあります。下剤または毒物を吸着する働きがある動物用の活性炭を飲ませることで、体外に毒素を排出させます。

毒物が既に消化されてしまった場合

点滴によって体内の毒物濃度を薄める

危険な食べ物を摂取してから時間が経過してしまうと、毒素が血液に流れ出て、体中をめぐります。このような場合は点滴をしてすることで血流をよくする処置を取ります。解毒機能を持っている肝臓や腎臓に血液中の毒素を送り届けるサポートをすることで、体が持っている解毒作用を最大限に活かすことができます。

中毒症状を引き起こした場合は、とにかく早めの対処が大切です。食べてはいけない食べ物を接種していることがわかったら、飼い主さんは早急にかかりつけの動物病院へ連れていってあげましょう。発覚したのが夜間であったとしても、救急病院に連れていってあげてください。

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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