犬にチョコレートを食べさせてはいけないという話を聞いたことはありませんか?じつは、チョコレートは犬だけでなく猫にとっても食べさせてはいけない食べ物です。なぜチョコレートはダメなのか、その理由と万が一食べてしまったときの対処法をご紹介します。

チョコレートを食べたらダメな理由とは?

チョコレートの原料であるカカオには、カフェインやテオブロミンいう成分が含まれています。カフェインはご存知のようにコーヒーや緑茶、紅茶などにも含まれていて、人間にとっては覚醒作用や呼吸機能や運動能力を高める作用が期待できるものとされています。しかし、犬や猫にとってカフェインは、中毒を起こし、過度の興奮や動悸、不整脈、ふらつき、ひきつけなどの症状を引き起こす可能性がある危険な物質です。

 

一方テオブロミンは、あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、カフェインに似た作用をもつもので、人間にとっては気分を高め集中力を増したり、リラックスできたりする効果があるといわれていますが、カフェイン同様、犬や猫には中毒を引き起こす危険なものです。人間でも小さな子どもがチョコレートをたくさん食べると、テオブロミンを過剰に摂取することになり、興奮状態になってしまうといいます。犬や猫の場合は、テオブロミンを分解して体外に排出する能力が低いため、長く体内にとどまってしまうことになり、中毒を起こしやすいのです。

食べるとどんな症状が出るの?死に至ることはあるの?

猫がチョコレートを食べた場合、1~2時間後に落ち着きがなくなって、興奮状態になります。そして、食べてから2~4時間すると、嘔吐や下痢といった症状が現れます。神経や心臓に過度な負担をかけるので、呼吸が乱れたり、発熱したりする場合も。重度の場合には、全身にけいれんが起きて、死に至ることもあるのです。

 

カフェインとテオブロミンによって引き起こされる症状例
◇過度の興奮
◇失禁
◇動悸、呼吸の促進、不整脈
◇嘔吐、下痢
◇ふらつき
◇ひきつけ
◇全身性けいれん

 

猫は甘味を感じる感覚がないので、自分から好んでチョコレートを食べることはあまりないと考えられますが、猫の手の届くところにあれば何気なく口にしてしまうことも。うっかりチョコレートを置いておかないよう注意しましょう。

 

なお、カフェインまたはテオブロミンによる中毒を発症する量は、体重1㎏あたり15〜20mg。チョコレートに含まれるテオブロミンの量は、チョコレートの種類によって異なります。以下にチョコレートの種類別に、症状が出る摂取量の目安を挙げますが、あくまで参考値としてください。

 

□ダークチョコレート/体重1㎏あたり5g
□ミルクチョコレート/体重1㎏あたり10g
□ホワイトチョコレート/体重1㎏あたり500g

こんな食べ物にも要注意!

チョコレートそのものは与えなくても、チョコレートの主成分であるカカオを含んでいる食べ物であれば、猫にとっての危険度はチョコレートと同じです。たとえばココアがそれにあたります。カフェインやテオブロミンを含む食品は、猫には絶対に食べさせないでください。

 

注意が必要な食べ物
◇チョコレートパン
◇チョコレートケーキ、チョコレートカステラ
◇ココア(ドリンクだけでなく、ケーキなどの上にかかっているパウダーも要注意)
◇チョコレートがなかに入っているクッキーなどの菓子類
◇チョコレート味のキャンディ

応急処置や治療法は?

万が一、猫がチョコレートを食べてしまったら、症状がみられなくてもすぐに動物病院で診察を受けてください。チョコレートに含まれるテオブロミンは、カフェインに比べてゆっくりと長く作用するので、食べてから1~2時間たっても特に症状が見られないからといって安心するのは危険です。

 

また、「猫がチョコレートを食べたら、まず飼い主が吐かせましょう」と書いてある記事も見受けられますが、素人が吐かせようとする行為は非常に危険ですので、絶対にやってはいけません。

 

病院では人間のように指を喉の奥に入れて無理やり吐かせるのではなく、薬を使って嘔吐させます。処置をしても嘔吐しなかった場合や、意識がもうろうとしていたり、処置に使う薬が持病などによって使えなかったりする場合などは、全身麻酔をかけて胃洗浄を行うこともあります。ほかにも便と一緒に体外に排出させたり、点滴によって解毒を促したりといった治療もあり、獣医師が猫の具合を診て、的確な判断と技術のもとに行いますので、必ず獣医師の診察を受けてください。

 

診察時に必要な情報の一例
◇何を口にしたか
◇どのくらいの分量を口にしたか
◇いつ口にしたか(どのくらいの時間がたっているか。いつまで元気だったか)

 

クリスマスやバレンタインデーなど、チョコレートケーキやチョコレートが身近にある季節は、特に猫が誤食しないように注意が必要です。特別な日だからといって、猫へのおすそわけは絶対にしないでください。

 

 

◆こちらの記事も要チェック!

⇒『絶対に猫に与えてはいけない食べ物【獣医師監修】

⇒『【獣医師監修】人間の食べ物って、猫は食べても大丈夫?良いものとは?ダメなものとは? 』

 

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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