カルシウムやタンパク質、ビタミンAやビタミンB2などの栄養素が豊富に含まれているチーズ。人間にとって体に良い食べ物は、猫にとっても好ましい食べ物なのでしょうか?気軽に猫に与えてしまう前に、注意した方が良いことをチェックしておきましょう。
チーズを食べてもいいの?メリット・デメリットは?
牛乳を飲むと下痢をしてしまう猫がいるのをご存知ですか?牛乳に含まれている乳糖という成分は、ラクターゼという酵素によって分解され、消化吸収されるものなのです。猫の体内にはこの酵素が少ないために、牛乳を飲んでも消化吸収しきれずに下痢を引き起こしてしまう場合があるのです。
チーズは、牛乳と同じく牛の生乳から作られるものです。しかし、牛乳に比べると含まれる乳糖の量は非常に少ないので、猫が口にして下痢を起こしやすい食品とはいえません。そういう意味からいえば、猫にチーズをあげても大丈夫ということになりますね。
ただし、人間も人によって体質が異なるように、猫も体質によってごく微量の乳糖でも消化不良を起こす場合もあるので、積極的に食べさせたい食品とはいえません。カルシウムやタンパク質、ビタミンA、ビタミンB2などの栄養素は、猫にとっても有用なものですが、注意しなければならないのは含まれる塩分量です。人間が食べて美味しいチーズは、猫にとってはかなり塩分が多く、腎臓に負担をかけることになってしまいます。しかも、チーズは脂肪分も多く含まれるカロリーの高い食品なので、十分な食事を与えている上にあげてしまうと、太り過ぎの原因にもなりかねません。人間もつまみ食いを頻繁にしていると太ってしまうことがあるように、猫も食べすぎには注意したいものですね。
チーズの選び方、与えるときの注意点は?
猫の中には乳製品でアレルギーを発症することも。牛乳と同じように、チーズを食べて下痢や嘔吐、湿疹やかゆみなどの症状が現れたら、アレルギーが原因かもしれません。牛乳は大丈夫でも、チーズはダメという猫もいるので、症状が出た場合はその前に猫が何を口にしたかを思い出し、与えるのをやめて獣医師に相談しましょう。
ちなみに、チーズにはさまざまな種類があります。日本でおなじみのプロセスチーズのほかに、カマンベールやゴルゴンゾーラなどカビを繁殖させるタイプ、外側を塩水やお酒で洗いながら熟成させるウォッシュタイプなど。熟成させないフレッシュタイプのカッテージチーズであれば、塩分、脂肪分ともに含まれる量が少ないので、アレルギーがないならあげても大きな問題はないでしょう。
猫用チーズやチーズパウダーについて
猫の体に合わせて作られた猫用ミルクがあるように、チーズにも猫用チーズというものが市販されています。人間が食べるチーズに比べ、塩分や脂肪分を少なくしてあるものが多いので、どうしてもチーズをあげたい場合はそちらの方が安心でしょう。
猫用チーズとしては、猫が食べやすいように5ミリ角程度の大きさになっているものや、フリーズドライタイプのものや、食事のトッピングとして使いやすいパウダータイプなどがあります。
ただし、猫用チーズだからすべての猫に安心というわけではありません。猫の体質や体調によっては合わない場合もありますので、与えるときは少量ずつ、猫の様子を見ながらあげるようにしましょう。
チーズは、おやつやお酒のおつまみとしても食べることも多い食品です。チーズの匂いに誘われて猫がやってきたからといって、気軽にあげてしまわないようにしたいものですね。飼い主さんが目を離したすきに、周りの銀紙なども一緒に間違って食べる可能性もあるので、猫の手に届くところにチーズを置かない注意も必要です。猫と遊ぶときのコミュニケーションの一環として、また食欲増進のため、猫用のチーズを少量与えるなら問題ないでしょう。
※この記事は猫にチーズを積極的に食べさせることを推奨しているものではありません。人間の体に良いからといって猫にとっても良い食べ物とは限りません。逆に悪影響を与えたり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。猫の基本的な食事は、栄養バランスが良く摂れる総合栄養食としてのキャットフードがおすすめです。
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