食事中に愛猫がそばに来たりすると、ついおすそ分けをしてあげたくなる飼い主さんも多いのでは。猫は、人間が食べているものに興味を持ったり、ニオイが強いものに興味を持ったりすることがあります。だからといって、人間の食べ物を簡単に与えるのは危険です。愛猫の健康を守るために、知っておきたい食生活の基本をご紹介しましょう。

そもそも猫の食生活とは?


猫は肉食動物

私たち人間は、肉も魚も野菜も穀物も食べる雑食動物。早くから人間に家畜化された犬は、半肉食動物。人間と一緒に暮らすことによって、雑食化が進み、半肉食動物となりました。それに対して、猫はいまだにほとんど植物を必要としない真性肉食動物です。

猫に必要な栄養素は?

猫が健康に生きていくために必要な5大栄養素は、「タンパク質」「脂肪」「炭水化物」「ビタミン」「ミネラル」。なかでも一番多く必要とするのは動物性タンパク質です。猫はそもそもネズミや魚などの肉を内臓から骨までまるごと食べることで、必要な栄養を補えるような体のつくりになっています。猫が必要とするタンパク質は、体重1kgあたり犬の1.5倍、人間の5〜6倍にも。さらに、体内で生成できない必須アミノ酸のタウリン(※)、必須脂肪酸のアラキドン酸、ビタミンA、ナイアシンも食べ物から摂取する必要があります。

※タウリンは必須アミノ酸ではありませんが、便宜的にアミノ酸に分類してコメントされることが多いものです。

 

猫の食事スタイル

もともと猫は一日に何度もネズミなどをとらえて食べていました。ペットとして人間からご飯をもらうようになった今も、朝・夕2回の食事を何度にも分けて少しずつ食べる習性を持っています。基本的に1日に2回〜3回の食事で済ませる犬とは採食スタイルが違うのです。

食べても良い食材とは?その理由とは?

猫は肉食動物のため、肉類は何を食べてもOK。生肉は寄生虫がいるかもしれないので、加熱済みの肉の方が安心です。も白身や赤身を少量食べさせるくらいなら良いでしょう。

 

また、人間と同じようにバナナなどの果物や野菜を食べさせた方が良いのでは?と考える飼い主さんもいるかもしれませんが、猫には必要ありません。果物や野菜を消化するには長い腸管が必要ですが、肉食動物である猫の腸管は短く、たくさんの果物や野菜を消化するのに向いていません。食卓から一口与えたからといって、すぐに健康を害するわけではありませんが、1日の食事量に加えて食べさせればカロリーオーバーになったり、栄養バランスが崩れたりする心配もあるので、食べさせなくて済むならその方が良いでしょう。

食べてはダメな食材とは?その理由とは?

可愛い愛猫の健康を守るために、猫にとって危険な食べ物は知っておいてください。

 

たとえば、玉ねぎ、ニラ、ネギ、ニンニクなどは、赤血球を破壊してしまう「アリルプロピルジスルフィド」という物質が含まれています。食べることで貧血や食欲不振、呼吸困難、血尿、嘔吐などの症状を引き起こす危険性も。
また、チョコレートコーヒーに含まれる「テオブロミン」や「カフェイン」は下痢や嘔吐、呼吸の乱れ、発熱といった中毒症状を引き起こし、重篤な場合は死に至ることもあるので、特に注意が必要です。

 

このほか、生のイカやサバ、イワシなどの青、レバーなどは、長期間にわたって食べ続けることで健康を害することがあります。猫と楽しく暮らす上でのコミュニケーションの一貫として、たまに一口おすそ分けするのは良いのですが、食卓から食べ物を与えることを習慣化するのは避けましょう。

 

また猫も人間と同じように、食べ物によってアレルギー症状をきたすことがあります。一般的に猫が食べても大丈夫と言われているものでも、体に合わない猫もいるため注意が必要です。食べた後に体調の変化があったら、獣医師に診てもらうことをおすすめします。

 

 

※猫の健康的な食べ物は、栄養がバランス良く摂れるように配合された総合栄養食としてのキャットフードです。猫と人間では体の作りが違うので、人間の体に良いからといって猫にも良いとは限リません。逆に悪影響となったり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもありえるので、総合栄養食のキャットフードを主食として与えるようにしましょう。

 

 

◆『食べ物』に関する「にゃんペディア」獣医師監修記事も要チェック!

■ 絶対NG:「絶対に猫に与えてはいけない食べ物

■ 食生活:「猫が長生きしてくれる、健康的な食生活とは

■ フード:「キャットフードにはどんな種類があるの? ラベルには何が書いてあるの?

■ 手作り食:「猫に必要な栄養素って?手作り食で注意すること

■ 気まぐれ:☞「なぜ餌を食べないの?猫の食に関する気まぐれ

 

 

  ★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、猫種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる『うちの子おうちの医療事典』をご利用ください。

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東京猫医療センター 院長

服部 幸

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