ダニの一種であるマダニに噛まれることで発症する病気を「マダニ症」といいます。激しい痒みや痛みを生じ、さらにマダニを介しさまざまな感染症を引き起こします。なお耳につくいわゆる「耳ダニ」とマダニは違う種類のため、効く薬剤も異なり、予防法が異なります。

こんな症状には気をつけて

マダニは顔のまわりや耳、お腹など、皮膚の柔らかいところに寄生します。その部分に小さな赤い炎症ができていたら、それはマダニの仕業かもしれません。マダニは寄生し吸血する際、猫の体内に唾液を注入しますが、それが原因でアレルギー性皮膚炎を引き起こすこともあります。寄生が多数に及ぶと貧血症状を起こす場合もあります。神経毒性物質を唾液中に含むマダニ種に吸血されるとダニ麻痺を生じることもあります。

さらに怖いのはマダニがさまざまな病原体を媒介することです。特に最近では、重症熱性血小板減少症(SFTS)や日本紅斑熱など人間に重篤な症状を引き起こすマダニ媒介性感染症が多発しています。

原因

竹やぶや森など、緑の多いところにマダニは生息しているものと思っている人も多いようですが、実は近所の公園や庭先など、ちょっとした草むらに隠れている可能性もあります。そのため、近所を散歩している猫にマダニが寄生する恐れは十分にあるのです。特に春から秋にかけてはマダニの活動期といわれ、寄生される危険性が高くなります。

治療方法

マダニは寄生し吸血することによって大きさが100倍以上になります。そのため耳やお腹にぶら下がっているマダニを肉目で確認することができます。手でつまみ取れるような気がしてしまいますが、マダニは一度噛み付くと、鋭い口先を皮膚に食い込ませ、さらに接着剤の働きをする物質を分泌し口をしっかり固着しているので簡単には離れません。そのため、猫の体にマダニを発見した場合にはムリに引きはがそうとせずに動物病院に連れて行きましょう。万が一マダニをつぶしてしまうと、マダニ体内の病原体を宿主体内に押し出してしまう恐れがあります。また、たとえ取り除けたとしても、口先の部分が体内に残ってしまい、そこから化膿することもあります。動物病院で殺虫効果のある薬や抗生物質を処方してもらうなど、適切な処置を施してもらいましょう。

予防法

マダニは屋外の草むらに潜んでいますので、できれば室内飼いをおすすめします。猫を屋外に出している場合は、散歩から戻ってきたところでマダニがついていないか必ずチェックしましょう。容易に発見し易い場所(顔や背中)だけでなく、耳の中や股間、脇の下、指の間などにも寄生することがあり、体中くまなくチェックする必要があります。もし小さな傷(吸血された痕)ができていたり、茶色い豆つぶ状のもの(マダニ)がついているのを見つけたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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