猫と仲良く暮らすためにも、猫の気持ちをきちんと理解してあげたいですよね。ゴロゴロと喉を鳴らしたり、ケケケケッ!と鳴くとき、猫たちは一体どんな気持ちでいるのでしょうか?

ここでは猫のコミュニケーションと、鳴き声からわかる猫の気持ちについて、鳴き声別に解説しています。

ちょっと変わった猫のコミュニケーション

単独行動をする猫ならでは

猫と犬の違いを語る上で、避けることができないのがそれぞれの社会性の違いです。犬の祖先は集団生活をする狼ですが、猫の祖先であるヤマネコは単独生活をしていました。ヤマネコは親離れした後、発情期に交尾をする時以外は、他の猫と接触することがないと考えられています。

犬は集団で移動や狩りをしていたので、声によるコミュニケーションが発達しましたが、猫はコミュニケーションが必要なかったので、基本的にほとんど鳴きません。

他の猫と出会わないためのコミュニケーション

単独行動をする猫が取るコミュニケーションは、私たち人間のコミュニケーションと大きく異なっています。私たち人間が、仲間とうまくやっていくためにコミュニケーションを取るのに対し、猫は他の猫とできるだけ会わないようにコミュニケーションをとります。すなわち、マーキングをすることで他の猫に「ここは私のいるナワバリなので、入ってこないでくださいね。」と主張するのです。

尿や肉球から出るフェロモンの匂いでメッセージを残すのですがその匂いから、性別・栄養状態・何時間前に訪れたか、などの情報を読み取っていると考えられます。ちなみに匂いは繁殖シーズンでも変化するため、ヤマネコのオスとメスは嗅覚標識を通じて社交生活を行なっていたのでしょう。

母猫と子猫間のコミュニケーション

普段は他の猫との接触を避ける猫ですが、頻繁に猫同士でコミュニケーションを取ることがあります。それが母猫と子猫間でのコミュニケーションです。母猫が子猫を呼んだり、子猫が母猫を求めて鳴くのです。

ちなみに生後間もない子猫は、眼が見えないだけではなく耳も聞こえていません。耳の穴が開くのが生後9日、聴覚が安定するのが4~6週齢になります。そのため、それ以前の親子は喉をゴロゴロ鳴らすことでコミュケーションをとっています。

野生の猫と人と暮らす猫の違い

 

猫の祖先であるリビアネコなどのような野生種と、人と暮らしている猫では鳴き声が異なります。野生の猫は声でコミュニケーションをほとんど取らないと考えられています。できるだけ直接対峙しないようにお互い気を使いあうのが野生猫ですが、遭遇してしまった時は威嚇するために、唸り声を上げたり「シャーッ」という声を出します。

一方、人間と暮らしている猫の声を分析すると、猫の親子間や兄弟・姉妹で使われる言葉に似ています。従来では独り立ちする年齢になっても人と一緒に暮らしているため、飼い主さんを家族のように思っているのでしょう。子猫は何かを要求するために声を発しているため、甘えるように高い声で鳴くことが多いです。

鳴き声から読みとく猫の気持ち

 

ここでは猫の鳴き声の種類から、そのとき猫がなにを感じているのか解説します。

カッカッカッカ

鳥やネズミなど獲物を眺めている猫が「カッカッカッカッカ」と鳴いているのを聞いたことはありますか?これはクラッキング(正確にはチャタリング)と言います。なぜこのような鳴き声をあげるのかは明らかになっていませんが、仮説として以下のような理由が考えられます。

 

□ ワクワクしている

□ 獲物が獲れずイライラしている

□ アドレナリンが出ると自然と出てしまう

□ 獲物に噛み付く動きが自然に出てしまう

 

最近の考察では、クラッキングは獲物の声を真似しているという説もあります。アマゾンの猿の研究時に、マーゲイという猫科動物が、獲物であるサルの声を真似た声で鳴いているところが記録されました。猫は身体能力だけでなく、頭も使って狩をしているのかもしれませんね。ちなみに、クラッキングを全くしない猫もいます。

マァーウ?

猫はフラストレーションが溜まると、どちらかというと黙るタイプのようです。尻尾を左右に振ったり、顔を背けて小さく丸くなるなど、ボディランゲージで表します。まれに車の移動中などで不安があるときに「マァーウ?」と最後にクエスションマークがつくような発音で連続で鳴くことがあります。

ゴロゴロと喉を鳴らす

「ゴロゴロ」と喉を鳴らすときは、基本的にリラックスしていることを意味しています。生まれた直後に耳が聞こえない子猫が、母猫とコミュニケーションをとるために喉を鳴らして「自分は元気だよ」と伝えます。

その名残か猫は機嫌が良い時や飼い主に甘える時にゴロゴロと喉を鳴らします。私たちの笑顔のような意味を持つコミュニケーション手段ではないかという意見もあります。

一方で、骨折をした時や動物病院で緊張した時に喉を鳴らすこともあります。これは過度のストレスから自分を守るために意図的に鳴らしているのではないかと考えられます。全く反対の意味になるので、その時の顔つきや耳の形で判断しましょう。全く喉を鳴らさない猫もいます。

ミャーォウ

高い声で大きく「ミャーォウ」と鳴くのは何かを要求している声です。ミャの所にアクセントがつく場合は強い要求を示します。一方で、囁くように鳴いている場合は、その要求が叶わないことをわかっていて鳴いていると考えられています。

ムァ

注意を引きたいとき「ムァ」と短く鳴くことがあります。これはネコ同士の挨拶でも使われることがあります。

怒りを表す時の鳴き声

一般的に野生の猫が声でコミュニケーションを取るときは、怒っているときです。交尾相手の猫を求めて同性の猫で争うときやテリトリーを守る争いでは、相手よりも自分を強く見せるために、体を大きくみせ、大きな声をあげます。

猫が相手を威嚇するときによく使われるのが、蛇のような「シャーッ」という声です。これはかつて猫の祖先が住んでいた、砂漠に生息する蛇の真似をしていると考えられます。

もう一つの怒りを表す声が「グルゥーゥゥウ」という唸り声です。これは警告を意味します。猫がこの鳴き声をしているときは、飼い主さんでも不用意に近づくと引っ掻かれますので注意しましょう。

その他

上記の声以外で、猫の特徴的な鳴き声は発情期のメス猫の声です。「アーーオー」とどこか締まりのない長い鳴き方が特徴です。猫は発情出血などがみられないので、発情期が来たか迷うことがあります。生後6ヶ月前後で、このような声が聞こえて来たら発情が来ていると考えて良いでしょう。

 

 

1匹で暮らしていた猫は、鳴き声のパターンはあまり多くありません。人と暮らすようになり、コミュニケーションを取るために鳴くことが増えましたが、それも個体差があるようです。

私が昔一緒に暮らしていた猫はずっと「ムームー」鳴いていましたが、そのような鳴き声は獣医学書をいくら探しても見当たりませんでした。もしかしたらその猫はすぐに母猫と離れた子だったので、猫語を教わらなかったのかもしれません。ここで紹介した以外にも独特な声でなく猫もいますので、愛猫の声が何を意味しているか考えるのも面白いですね。

 

参考文献

Feline Behavior. Second Edition   Bonnie V. Beaver SAUNDERS

猿の真似をするマーゲイ:チャタリング:http://news.nationalgeographic.com/news/2010/07/100712-cats-mimics-monkeys-prey-science/

 

 

 

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Tokyo Cat Specialists 院長

山本 宗伸

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