Veterinary doctor giving injection for kitten

猫は「場所につく生き物」と言われている通り、慣れている場所以外に連れていくとストレスを感じてしまうことが多く、引越しや動物病院が苦手だとされています。しかし、体調に変化が見られたときには、きちんと病院に連れていかないと、取り返しのつかないことになることだってありますよね。

そこでここでは、猫ちゃんの動物病院に対する苦手意識を少しでもなくしてあげるために、飼い主さんができることを解説します。

動物病院てこんなところ

動物病院は病気を治すためだけの場所ではありません。飼い方やトレーニング、食事内容やお手入れの方法(爪切り、歯磨き、ブラッシング)など、猫に関する全ての情報を提供してもらえるところです。具合が悪い時にだけ連れて行くのではなく、気になることがあれば、たとえ猫ちゃんが元気であっても臆せず病院を訪ねてみるといいでしょう。

たとえば体重をはかりにいったり、爪を切ってもらったり、健康診断をしてもらったりするだけでもいいんです。知りたいことや悩みがあれば獣医師や動物看護師に何でも聞いてみましょう。日々の暮らしの中で役立つ知識や、ヒントを教えてくれるはずです。

病院への苦手意識を克服するために

元気なときも病院に連れて行って

具合が悪いときだけ病院に行くと、どうしても必要な検査や処置をすることとなります。注射や治療の中で痛い思いをしたり、怖い思いをしたりするでしょう。そうすると猫ちゃんの中で「動物病院に行く=痛いことや怖いことが起きる」となってしまって、余計に病院に対する苦手意識が強くなってしまいます。

猫ちゃんが元気な時に病院に連れて行ってあげると、診察室で獣医師や看護士におもちゃで遊んでもらったり、食事制限がない猫であればおやつをもらったりして、良い印象を持ってもらうことも可能なのです。猫ちゃんの病院に対する苦手意識をなくすためにも、ぜひ気軽に動物病院を尋ねてください。

移動中にできること

通院時には、自宅で使用しているバスタオルやブランケットを持参してみてください。膝掛けや毛布、猫ちゃんの寝床に敷いているフリースなど、素材はどんなものでも良いでしょう。(※万が一汚れた場合に洗えるものだと安心です。)病院まで移動する時には、そのタオルでキャリー全体を覆い、目隠しをするようにします。視覚から得られる情報により、通院の段階で猫に恐怖や不安を与えないようにするためです。

電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合は、できるだけラッシュの時間帯を避けましょう。ただ、車や徒歩での移動のほうが、猫ちゃんは安心できると思います。また、徒歩で動物病院へ向かう場合は、キャリーを手に持って運ぶよりも、カートを利用するといいでしょう。揺れが少なく安定感もあるのでオススメです。

診察までの待ち時間でできること

待ち時間のあいだも、猫ちゃんをキャリーから出さないようにしてください。これは、猫ちゃんが恐怖心を抱くであろう対象を最小限にできるだけでなく、感染症を予防することにも繋がります。動物病院の待合室は、病気の猫ちゃんがいる場所でもありますので、安易にキャリーから出してしまうと病気がうつってしまう可能性もあるからです。

特に吠える犬などがいる場合には、待合室ではタオルの覆いは外さずに、そのままキャリーを膝に抱えるか、椅子の上に置いて待つようにするといいでしょう。人の足の動きが目に入ったり、足音が響いて猫ちゃんが怖がらないよう、キャリーを床の上には置かないようにします。

診察室の中でできること

診察室では、持参した自宅で使用しているタオルを診察台に敷いてあげましょう。慣れた匂いの中で診察してもらうと猫ちゃんは安心できます。検査や注射を受ける際にも、持参したそのタオルを使って固定してもらうと猫ちゃんに安心感を与えることができます。

怖がっていない子猫であれば、獣医師や動物看護士におもちゃをつかって遊んでもらったり、美味しいおやつをあげてもらったりすると、「病院=楽しいところ」「病院=美味しいものがもらえるところ」「病院=好きな場所」という印象付けがしやすくなります。

キャリーに入ってもらうには

「そもそもうちのコはキャリーに入ってくれない」というケースもよくあります。

もし愛猫ちゃんがまだ子猫であれば、最初が肝心。できるだけ早くクレートトレーニング(キャリーバッグに慣らす訓練)を開始しましょう。

クレートトレーニングの方法

まずキャリーを用意し、普段猫ちゃんが生活している空間に置きます。その中で1日1回、美味しい食事か大好きなおやつをあげてください。そうすると「キャリーは美味しいものがもらえる場所」といういいイメージを与えることができ、猫ちゃんが自ら進んでキャリーに入りたくなるような状況を作ることができます。

もうすでに、現在使用しているキャリーを嫌がっている猫ちゃんの場合は、今のキャリーに悪い印象がついてしまっています。もうひとつ別のキャリーを用意して、その中で美味しいものを1日1回猫にあげる方法でトレーニングを開始してみましょう。

キャリーにスムーズに入ってくれると通院以外でも、災害時の避難の際に役立つので、日ごろからキャリーに入る習慣を癖付けておくといいでしょう。

 

かかりつけの獣医さんと信頼関係を築いておく

Cat visiting vet for regular check up獣医さんや看護師さんとコミュニケーションを取っておくのも大切なことです。普段からしっかりコミュニケーションを取って信頼感を築いておくと、いざという時にすぐ相談することができます。

猫は人間のように「××が痛い」と話してくれるわけではありません。そのため、診察のときに重要になるのが飼い主さんの話す情報です。どんな些細な情報でも診断の助けになるのですが、このときに獣医さんとしっかり関係性ができていないと、正確な状況を伝えられないこともあるかもしれません。なんでも気兼ねなく話ができる関係性を作っておくことが、猫ちゃんの健康を守る上でも大切なのです。

 

体調を崩している猫ちゃんにストレスをかけるようなことは極力控えたいですよね。そのためには猫ちゃんが元気なうちに、色々と工夫をしておくことが大切です。今からできることもたくさんあるので、ぜひ試してみてくださいね。

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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