猫ちゃんは環境の変化にとても敏感な動物です。ご飯やトイレの場所が変わったり、知らない匂いのする場所に行くだけでもストレスをためてしまう猫ちゃんは多く、引っ越しは猫ちゃんにとっても大きなイベントになります。
ここでは、猫ちゃんへの負担を少しでも減らせるような方法を紹介します。

引っ越し前の準備

猫ちゃんグッズはまとめておく!

猫は、自分の匂いのついたものに安心感を覚えます。新居に引っ越した際に安心できるよう、お気に入りのおもちゃや毛布などはまとめて準備しておき、引っ越し先ですぐに取り出せるようにしておきましょう。特に、猫が使った後のトイレの砂は、新居で用意する新しいトイレにまぜるため、少し取っておきましょう。
また、新居でも、できるだけ今まで使っていたカーテンやカーペットなどの家具を使ってあげましょう。

事前の体調管理はしっかりと!

慣れない移動や新しい環境などで、引っ越しによる猫の精神的負担は大きく、体調を崩してしまう場合もあります。事前にかかりつけの動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。また、新居近くの動物病院の場所は事前に調べておきましょう。

引っ越し当日

 

引っ越し当日は、バタバタと人の出入りも激しく、どうしても猫に手が回らなくなってしまいます。普段と違う様子で驚いた猫が、慌てて家を飛び出してしまい、そのまま迷子になってしまう・・・というケースも考えられるため、猫を一時的に隔離して作業するのがおすすめです。

バスルームやトイレに隔離する

当日はあまり使うことがないお風呂場やトイレに、猫の匂いがついた毛布や寝場所、トイレを設置しておき、猫が飛び出していかないよう一時的に隔離しておきます。お風呂場を使う場合、浴槽の水は必ず抜いておきましょう。
また、脱走を防ぐために、常に戸締りのチェックをしましょう。

ペットホテルに預ける

引っ越し作業の間、ペットホテルに預けておくという方法もあります。その場合、施設の環境や設備、動物病院と提携しているかどうかなどの下調べはしっかりと行いましょう。

新しい家についたら

移動による緊張や恐怖、見慣れない部屋で、引っ越し直後の猫は心身ともに疲れ果てストレスを感じます。まずは猫の匂いのついたおもちゃやベッド、毛布などを部屋の隅に置き、安心させることが大切です。

今までの環境を再現してあげる

急激な環境の変化でパニックになりやすいため、なるべく今まで住んでいた部屋の環境を再現してあげましょう。家具の配置も猫は覚えているため、前の部屋に近い環境づくりを行うことで、自分のテリトリーを理解させることができます。

トイレの位置は早めに教える

猫は、自分の排泄物の匂いでトイレを判断します。新しい砂ではなく、それまでに使っていた自分の匂いのついた砂を混ぜてあげるとよいでしょう。また、トイレを置く場所も、以前住んでいた部屋での配置に近い場所に置いてあげると、早く覚えることができます。

ゆっくりと慣れさせていく

緊張して普段よりも神経質になっているため、最初のうちはケージの中から出てこなかったり、物陰に隠れたりする場合もあります。無理に引っ張りだしたりせず、猫のペースにまかせましょう。大きな物音をたてないように気をつけ、やさしく撫でたり、声をかけてあげることにより、だいぶ落ち着きます。
新しい環境に慣れるまでは、食欲が落ちたり下痢になったりなど、体調を崩してしまう猫も多くいます。引っ越し直後は特に注意深く観察しましょう。異常がみられた場合は、すみやかに病院へ連れて行ってください。

マイクロチップのデータ変更も忘れずに!

マイクロチップを装着している猫ちゃんの場合、引っ越しなどで飼い主さんの連絡先が変わったら、すみやかに届け出をする必要があります。マイクロチップには、15ケタの個体識別番号が登録されており、番号を読み取ることで飼い主さんの情報を確認します。読み取った番号は、日本国内では日本獣医師会のAIPO(日本獣医師会のマイクロチップ事務局)という団体が殆どの登録情報を管理しています。

AIPOに登録しているデータの情報を変更する方法は、以下の2つがあげられます。

郵送またはファックスを利用する

マイクロチップ申込時の、申込書にある「飼い主控」もしくは「登録完了通知ハガキ」のどちらかをコピーし、変更する事項を二重線で訂正し、余白に必要事項を記入します。
郵送またはファックスで、AIPOに送付します。
万が一、これらの用紙を紛失した場合は、本人確認が必要になるため、日本獣医師会のマイクロチップ専用窓口に電話で連絡をします。

AIPO事務局 公益社団法人 日本獣医師会
〒107-0062 東京都港区南青山1-1-1西館23F
TEL:03-3475-1695 (マイクロチップ専用窓口)

 

日本獣医師会の公式ウェブページから変更手続きを行う

日本獣医師会の公式ウェブページにアクセスし、マイクロチップの登録画面から専用のオンライン入力フォームに必要事項を入力します。

公益社団法人 日本獣医師会
http://nichiju.lin.gr.jp/’

また、日本ではAIPOの他にFAMという登録管理団体もあります。AIPOとFAMの登録データは連携していないため、自分の飼っている猫が、どの団体に登録をしているかは事前に確認しておきましょう。

 

環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」システムについて

2022年(令和4年)6月1日からブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫には、マイクロチップ装着が義務化され、購入した時点でマイクロチップが装着されています。この場合、飼い主になったときに、環境大臣が指定した指定登録機関(=日本獣医師会)の「犬と猫のマイクチップ情報登録」制度ウェブサイトで、登録手続きが必要です。引っ越しされた際も、その都度、変更登録が必要になります。

  • ウェブサイト: https://reg.mc.env.go.jp/
  • コールセンター:03-6384-5320(受付時間:8時00分~20時00分 ※土日祝日可)

※2022年6月23日時点

なお、義務化前に御自身で獣医師さんに依頼してマイクロチップを装着している場合には、「AIPO」や他の民間事業者のデータベースに登録されており、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」システムには自動移行されてはいません。今後もそのまま「AIPO」や民間団体にデータが保存され、迷子等の際には「AIPO」や他団体に照会することで身元を確認することができます。これに加えて、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」システムへの登録も希望される場合は、「犬と猫のマイクチップ情報登録」制度ウェブサイト(https://reg.mc.env.go.jp/)で有料(300円/回)で行うことができます。詳しくは、環境省のホームページ と リーフレット 動物の愛護及び管理に関する法律に基づく『犬と猫のマイクロチップ情報登録』サイト をご覧ください。

 

 

*猫との『関係性』に関する「にゃんペディア」獣医師監修記事はこちらをご覧ください。

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東京猫医療センター 院長

服部 幸

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