野良出身の猫に多いようですが、ときとしてパンを好んで食べる猫がいます。もともと肉食動物の猫に、炭水化物が主栄養素である食パンを食べさせて良いのでしょうか?塩分は大丈夫?今回は、食パンを猫に与えても良いのか、与えるとすればどのような点に気をつけなければならないか、について詳しく解説します。
猫に食パンを与えても良い?悪い?
猫は本来、雑食をしない真正の肉食動物であるため、そもそも炭水化物を人間ほど必要としません。健康な猫であれば、少しくらい食パンを食べても問題はありませんが、積極的に与えるようなものでもありません。おやつ時のコミュニケーションとして指先程度与えるもの、と認識しましょう。
また、市販の食パンにはくるみやレーズンなど猫にとっては良くない食材が入ったものが多くあります。くるみなどのナッツ類、レーズンは有害作用を引き起こす可能性がありますので、プレーンで何も入っていない食パンを選びましょう。当然ながら、ジャムやクリーム、バターなどがついたものも与えるべきではありません。
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食パンを食べ過ぎたら?アレルギーの心配は?
猫に対して、食パンのどのような成分が問題となるのでしょう。
【例:市販のプレーンの食パン1枚(約60g)】
・タンパク質 5~6g
・脂質 2~2.5g
・炭水化物 約30g
・食塩相当量 約1g
・飽和脂肪酸 0.6~1g
この中で注意すべき成分は、塩分と炭水化物の量です。
猫の食事と塩分量
食パン1枚(6枚切り)にはおおよそ1gの食塩が含まれますが、これは猫が1日の食事で摂る塩分量(ナトリウムで0.5~0.7g、食塩相当量で1.3~1.8g)の半分以上にもなるため、注意が必要です。ただ、食パンをまるまる1枚食べてしまう猫はまずいないと思います。ほんの指先程度のパンであれば、塩分はあまり気にする必要はないでしょう。
猫の本来の食べ物と炭水化物の量
猫は真正の肉食動物のため、必要な栄養は主としてタンパク質と脂質です。一般的なドライのキャットフードには200kcalあたり15~20gしか炭水化物が含まれていませんが、仮に猫がパンを半分食べてしまったら、それだけで15gもの炭水化物を摂取してしまいます。あきらかに炭水化物過多になり、栄養バランスが崩れてしまうのです。また通常の食事に加えて与えれば、単純にカロリーオーバーになってしまいます。
食物アレルギーにも注意が必要
炭水化物の元となっている、食パンの主原料である小麦は人間の食物アレルギーの主な原因です。猫の場合も、それほど症例は多くないのですが小麦が原因でアレルギーを起こすことがあります。あまり怖がりすぎる必要はありませんが、顔の周辺に腫れや赤味が出ていないか、嘔吐や下痢がないか気をつけるようにしましょう。
猫用に売っている食パン、手作りパンはあげても大丈夫?
猫用に減塩されたパンを与えることは、人用の食パンを与えるよりもずっと良いでしょう。塩を全く入れずに手作りするという方法も。そのようなパンであれば、より安心して食べさせられます。
しかし猫は肉食動物なのに、どうしてパンが好きな子がいるのでしょうか。その大きな要因の1つは、子猫のころの食生活です。猫の食事の嗜好性は、だいたい生後6週間から8週間で決まるとされています。その期間に、人間からパンを与えられて育った猫は、大人になってもパン好きになるようです。人間でもちょっと変わった好みの人がいるのと同じと言えます。
肉食動物である猫に対して、パンを主食のように与えてはいけません。何も入っていないプレーンのパンを、ごく少量ときどき食べさせる程度としてください。ただし、アレルギーのある猫には絶対に与えないようにしましょう。
※この記事は猫に食パンを積極的に食べさせることを推奨しているものではありません。人間の体に良いからといって猫にとっても良い食べ物とは限りません。逆に悪影響を与えたり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。猫の基本的な食事は、栄養バランスが良く摂れる総合栄養食としてのキャットフードがおすすめです。
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