猫ちゃんは鼻呼吸をする生き物です。 犬のように「ハァハァ」と口をあけて息をすることは基本的にはありません。いつもは穏やかに鼻で呼吸をしている猫ちゃんが口を開け、しかも「ハッハッ」と浅くて荒い呼吸になっていたら、それは呼吸困難の前兆であることが多いのです。
口をあけて息をしていたら要注意!
口呼吸は呼吸困難の前兆
子猫であれば、運動した直後に口をあけて浅い呼吸をすることはあります。また、動物病院に行く前など、極度に緊張しているようなときは、子猫でも大人猫でも呼吸が荒くなることはあるでしょう。しかし、緊張するような要因がなにもないときや、大人猫がちょっと運動したくらいでハァハァと荒い口呼吸をしているときは呼吸困難の前兆であるケースが多いので、すぐに動物病院に連れて行く必要があります。
口呼吸を始めたら、夜間であっても即病院へ
呼吸困難を引き起こすような病気は重たい病気が多いので、夜間であっても休診日であっても、すぐに獣医さんに診てもらう必要があります。救急病院を利用するなどして、早急に対処してあげてください。
なぜ呼吸困難になるのでしょう?
呼吸をすることの一番の目的は、からだに必要な酸素を取り込み、不要になった二酸化炭素を排出することです。口や鼻から入った酸素は、気管・気管支を通って肺に届き、血液にのって体の隅々まで運ばれます。しかし、なにかしらの理由でからだが必要としている酸素が十分に行き届かなかった場合、必死に酸素を取り込もうとして猫は浅くて荒い呼吸をするようになるのです。
呼吸困難を引き起こす原因
大きく分けると二つの原因があります。一つめは肺や気管支など、酸素を取り込むための器官に障害が起こっている場合。もうひとつは、取りこんだ酸素を全身に送りこむための心臓や血液がうまく機能していない場合です。
肺や気管支など、呼吸器系の障害
猫の呼吸の仕組みは人間と同じです。横隔膜が下がって肺が膨らむことで、気管や気管支から酸素が流れ込みます。猫が呼吸困難に陥っている場合は、この肺・気管支・横隔膜まわりに異常が発生していることが考えられます。
肺の病気
猫風邪をこじらせたり、寄生虫やアレルギーなどが原因でかかる肺炎や、肺に水がたまってしまう肺水腫、肺がんなどの肺の病気が、呼吸困難をひきおこしている場合が考えられます。
気管支の病気
酸素の通り道である気管および気管支に、炎症が起きている状態です。他の病気で咳が続いたり、アレルギーが原因で発症します。
横隔膜ヘルニア
外傷や先天的な理由で横隔膜が破れ、胃や腸が呼吸器官を圧迫することで呼吸困難に陥ります。治療をするためには、手術が必要となります。
肺の周りの病気
肺の周りには胸腔と呼ばれる空洞があります。胸腔があるから肺は大きく膨らむことができ、酸素を取り込むことができるのです。しかし、この胸腔に水や血、リンパ液や膿がたまっていると、肺は十分膨らむことができず、呼吸困難を引き起こします。
心臓や血液などの障害
心臓の病気
心臓はドクンドクンと伸縮することで、ポンプのように体中に血液を送っています。しかし、なにかしらの要因で心臓が十分な機能を果たすことができなくなると、血液が十分に行き届かなくなり、結果として呼吸困難を引き起こす場合があります。
血液の病気
血液の中にある赤血球が酸素を運ぶ役割をしているのですが、赤血球が減ってしまう貧血にかかると、やはりからだが必要とする量の酸素を供給することができなくなります。
その他の障害
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることでおこる、甲状腺機能亢進症なども浅い呼吸を引き起こします。
病院に行く前に気をつけること
病院に行くときは、胸や喉を圧迫しないように猫のからだをバスタオルなどで包み、やさしくすくい上げるようにして抱き抱えます。十分な広さのある、プラスチック製で安定した形状のキャリーを使うといいでしょう。病院に連れていかれるという興奮で、猫の呼吸が余計荒くなることも考えられるので、まずは電話で猫の様子や状況を伝え、獣医さんの指示に従うといいでしょう。
★ワンポイントアドバイス
息の仕方がなんとなくおかしいと思ったとき、常日頃から呼吸数を数えておくと、そのときの呼吸数が異常かどうか、知ることができます。呼吸数を数えるには、猫の胸が上下する回数を確認します。目で見るだけではわかりにくい場合、猫の胸やお腹に手を当てて上下に動く回数を数えると数えやすいと思います。
健康な猫の場合、呼吸数は1分間に24〜42回程度なので、これを大きく上回るようであれば呼吸困難に陥っている可能性が高いと言えるでしょう。
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