尿路結石症とは腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに結石ができる病気です。結石が膀胱の粘膜を傷つけて膀胱炎となることもあります。また、結石が尿道や尿管につまることで排尿が出来なくなり、尿毒症を引き起こす恐れがあります。
こんな症状には気をつけて
トイレに行く回数が増えた、頻繁にトイレに行くのにおしっこが少ししか出ない、落ち着きがなくなる、おしっこの時に痛そうに鳴く、おしっこに血が混じっている、陰部や腹部をしつこく舐めているなどの膀胱炎の症状が出たら、膀胱結石を患っているかもしれません。中にはトイレの壁等についたおしっこが蒸発し、残った結晶がきらきらと反射して見えることもあります。結石の大きさは砂粒ほどの小さなものから数センチのものまでさまざまです。
尿道につまってしまうと、尿が出せなくなってしまいます。頻繁にトイレに行くのにおしっこが少ししかもしくはまったく出ない、落ち着きがなくなる、おしっこの時に痛そうに鳴く、おしっこに血が混じっているなどの症状がでます。これらの症状は膀胱炎にも似ているため注意が必要です。おしっこが出ない状況が24時間以上続くと尿毒症となり、命の危険にかかわります。重症化させないためにも、猫がおしっこをしていないなど、排尿の異変に気づいたら、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
原因
猫の尿路結石症には、尿がアルカリ性に傾くことでできる「ストラバイト結石」と、酸性に傾くとできる「シュウ酸カルシウム結石」があります。これらは食事の偏りが原因で起きるといわれています。猫がもともとあまり水を飲まずに濃度の濃いおしっこをすることも原因のひとつに挙げられます。
また、メスと違って尿道が細くカーブをしているオス猫は尿道に結石が詰まりやすいので注意が必要です。なお運動量が低下し、トイレに行く頻度が減ると言われている肥満気味の猫も尿路結石になりやすいといわれています。
治療方法
猫でよくみられるのは「ストラバイト」と「シュウ酸カルシウム」の結石です。これらは尿検査やレントゲン検査、超音波検査で診断出来ることもあります。ストラバイトは療法食で溶かす事が可能ですが、結石の大きさや個数によっては外科的手術が選択されることもあります。なお、シュウ酸カルシウムは療法食で溶かす事ができないため、外科的手術が第一選択となります。両方とも結晶のみの状態ならば食事療法や尿のpHを調整するサプリメントなどの治療となります。結晶の時点で対策をとることが大事です。
結石が尿道に詰まっている場合は、尿道口からカテーテルを入れて尿道を洗浄し、詰まっているものを流し出します。状況によっては外科的対応や入院して静脈点滴等の治療が必要となることがあります。
治療・診療費はいくらぐらい?
<診療明細>
診療項目(内容) | 単価(円) | 数量 | 金額(円) |
---|---|---|---|
診察料 | ¥1,000 | 1 | ¥1,000 |
レントゲン検査(腹部) | ¥8,000 | 1 | ¥8,000 |
超音波検査(膀胱) | ¥5,000 | 1 | ¥5,000 |
尿検査 | ¥1,500 | 1 | ¥1,500 |
処置料 | ¥3,000 | 1 | ¥3,000 |
皮下注射 | ¥4,600 | 1 | ¥4,600 |
内服薬 | ¥480 | 10 | ¥4,800 |
処方食(結石溶解用) | ¥2,900 | 1 | ¥2,900 |
合計 | ¥30,800 |
※この診療明細書はアイペット損保の支払いデータから作成した診療費の参考例となります。したがって、診療費用・内容の平均・水準を示すものではありません。
予防
一度、結晶や結石を確認された場合は食事環境の見直しが必要です。一時的に療法食や外科手術によって完治しても、食事を根本的に見直さなければ再発を繰り返すことが多いです。
療法食や一般に販売されているフードにも尿路結石対策がとられたものを多くありますのでこちらを食べさせてください。今は療法食も市販されていますが療法食には予防に適したもの、治療中に食べるもの、そして完治後に問題ない尿を維持するためのフードがありますので自己判断で食べさせるのは危険です。動物病院に必ず相談してください。
そして濃い尿をさらに濃くしないために、普段から水をたくさん飲めるような環境と、おしっこを我慢せずにすむ清潔なトイレを用意することが大事です。
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