愛猫の体が脂っぽく臭う、乾燥してフケが出るなどの症状が見られるときには、「脂漏症」の疑いがあります。

脂漏症」は、様々な原因で皮膚の異常増殖が起こり、フケの多い乾燥した皮膚になったり、あるいは脂っぽくべとついた皮膚になってしまう病気です。

こんな症状が出たら気をつけて

脂漏症」は、皮脂が過剰に分泌されることで体全体が脂っぽくべたつく油性脂漏症と、逆に皮脂が減少する乾性脂漏症に大別されます。

油性脂漏症は、皮膚の上に角質のかたまりやフケと脂の混じったようなものができ、体臭がきつくなります。

乾性脂漏症は、皮膚上に白っぽいかさぶたができ、皮膚の乾燥やフケが多く見られることが特徴となります。

原因

猫の皮膚にはもともと、さまざまな細菌が常在菌として存在しています。しかし皮膚の抵抗力が弱くなると、これらの常在菌が急激に増えやすくなります。同時に皮膚の防御反応も活発になり、異常な乾燥や皮脂のベタつきが生じ、体臭が強くなったり、発疹や脱毛などにつながります。

一般的には内臓疾患や、甲状腺や性ホルモンなどの内分泌系の異常、アレルギー、寄生虫の寄生やマラセチアなどの感染が原因となるケースなど、原因疾患のある二次性の脂漏症であることがほとんどです。ただし、猫での脂漏症はまれであり、原発性の脂漏症はさらにまれです。

治療方法

前述の通り、「脂漏症」の原因は多岐にわたります。そのため、「脂漏症」の治療も症状に合わせて行う必要があります。

別の病気が原因となっている場合は、まずその病気の治療をする必要があります。内分泌系の異常にはそれに対する治療薬を使用、寄生虫に対してはその駆除を行います。

他の細菌感染症、例えば皮膚上で菌が異常繁殖し、化膿して膿を排出してしまう状態となる「膿皮症」などを併発するケースもあり、この「膿皮症」にかかっている場合は、併せて抗生物質などでの治療が必要となります。

また症状の緩和と皮膚の正常化には、痒みを抑えるための一時的療法と、「脂漏症」に合わせた抗脂漏シャンプーを用い、薬浴を行うことも有効です。

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予防方法

脂漏症」の予防方法としては、普段からシャンプーブラッシングを適度に行い、室内の湿度を適度に保ち、体を清潔に保つことが重要です。また生活環境を清潔にし、栄養バランスにも心を配りましょう。

ただし、過剰なシャンプーブラッシング、シャンプーのすすぎ残し、体質に合わない洗浄剤はかえって皮膚を傷つけてしまう危険もあります。つねに猫のコンディションに注意し、適切な使用を心がけましょう。

脂漏症」に限らず皮膚病は、早期の発見が早期の治癒につながります。日頃から愛猫との親密かつ適度なスキンシップを行い、臭いや体毛の状態など、小さな変化も見逃さないようにしたいものです。

 

*お世話に関するにゃんペディア獣医師監修記事

 

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皮膚病

 
東京猫医療センター 院長

服部 幸

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