猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することにより起こる病気です。白血病と名前が付いていますが、白血病よりも貧血腫瘍を引き起こすことの多い病気です。感染猫の唾液など分泌物を介して感染します。

こんな症状が出たら気をつけて

猫白血病ウイルスに持続感染してしまうと免疫不全、貧血リンパ腫などを引き起こします。残念なことに持続感染猫の70~90%が1年半〜3年の間に亡くなってしまいます。

持続感染がわかっている猫が食欲が落ちた、呼吸があらい、発熱している、ぐったりしているなどの症状を呈した場合は、一刻も早く動物病院を受診しましょう。また、症状はなくても6ヶ月〜1年ごとに定期検診を受けることが理想的です。

原因

猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することで起こります。ウイルスは感染している猫の唾液、涙、血液などに含まれていて、それらが口や鼻の穴から入ることで感染します。体内に侵入したウイルスは血液中のリンパ球などによって全身に運ばれ、脾臓や消化管のリンパ組織内で増殖。やがて小腸のリンパ組織や骨髄内に感染が広がっていきます。感染猫とケンカした時にできたケガを舐めたり、グルーミングの際猫同士で舐め合ったり、食器を共有することでも感染する恐れがあります。また、母親から胎児へ感染する母子感染が起こることもあります。潜伏期間は数週間から数年間におよびます。

また、健康な成猫であれば感染しても免疫機構によりウイルスが血液中から排除され、発症しないこともあります。

治療方法

一度発症してしまうと根治するための治療法がないのが現実です。猫白血病ウイルス感染症に伴い現れるさまざまな症状に合わせ、抗がん剤の投与や、インターフェロン治療で免疫力を高めるなどの対処療法を行うことになります。苦痛を和らげながら病気の進行を遅らせるわけです。貧血がひどい場合は輸血を行うこともあります。

 

予防

猫白血病ウイルス感染症ワクチンを接種すればかなりの確率で防げる病気です。ただし、ワクチンの副作用を起こしてしまう猫もいますので、まずは獣医師に相談するようにしてください。そして気をつけなければいけないのは感染猫と接触させないこと。予防のためにも室内飼いがおすすめです。多頭飼いをしていて感染猫が出た場合はほかの猫と部屋を分けたり、食器の消毒を徹底するなどして感染を広げないように注意しましょう。

*ワクチンに関する「にゃんペディア」獣医師監修記事はこちらをご覧ください。

 

また、母子感染を防ぐため、ウイルス検査をして陽性が出たら子猫を産ませないために避妊手術を行うことが必要です。それに加えて、ストレスをかけて発症を促さないためにも、感染を広げないためにも、FeLV陽性猫を外に出さないことが大切です。

 

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東京猫医療センター 院長

服部 幸

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