猫の好物と聞いて連想するのは魚かもしれませんが、そもそも猫は肉食動物です。では、どんな種類の肉を食べても問題ないのでしょうか。与える際に、注意すべきことはあるのでしょうか。肉類の中でも代表的な牛肉、豚肉、鶏肉についてご紹介します。
猫に牛肉をあげてもいいの?牛肉の選び方と与える際の注意点は?
猫は牛肉を食べても大丈夫です。牛肉は豚肉や鶏肉に比べて有害な菌が少ないので、生であげてもいいでしょう。ただし、生肉をあげる場合は、鮮度が高く安全な肉を選ぶことが大事です。有害な菌が少ない牛肉だからといっても、その日の体調によっては中毒を起こす可能性があることは理解しておきましょう。
なお猫に牛肉をあげる際は、味付けは不要です。とくに焼肉のタレのようなものには、猫の健康を害する恐れのあるニンニクやネギが含まれている可能性があるので、あげてはいけません。愛猫の健康を守るために、味付けはせずに茹でるか焼くなどの加熱をしてあげましょう。
豚肉には寄生虫がいる可能性あり。猫に与えるときは火を通して
猫に豚肉をあげるのは、基本的にはOKです。ただし、牛肉と違い豚肉にはトキソプラズマという寄生虫がいる可能性があるので、必ずよく加熱して与えることが大事です。人間も焼肉をする際に「豚肉はよく火を通してから」と言いますよね。それは、猫も同じことなのです。醤油やタレなどで味付けはせず、茹でるか焼く、蒸すなどで中まで十分に火を通してからあげましょう。
猫に鶏肉をあげるときは、新鮮でも必ず加熱して
鶏肉は猫が食べても大丈夫です。牛肉、豚肉に比べて脂身が少なく、とくにささみの部分はヘルシーです。ただし、鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラ菌など有害な病原体が潜んでいることがあり、十分に加熱しないで食べると食中毒を引き起こします。どんなに新鮮な鶏肉であっても、生であげるのは避け、必ず十分に火を通してあげましょう。
鶏肉といえば、鳥の唐揚げが食卓にのぼるご家庭も多いかもしれませんね。人間が食べて美味しいと感じるよう下味が付けられた鳥の唐揚げは、食事の際にお裾分けするのはやめましょう。
なお、高齢の猫に多い病気の一つに甲状腺機能亢進症があります。この病気を発症している猫は慢性腎臓病を併発しているケースが多いのですが、高タンパク質の食事は腎臓病を悪化させる可能性があります。鶏のささみはカロリーが低くタンパク質が多いので、猫の健康を維持するために与えたい飼い主さんも多いと思いますが、病気の種類によっては逆に体に負担をかけることになります。かかりつけの獣医師と相談のうえで判断しましょう。
*「にゃんペディア」獣医師監修の関連記事はこちらをご覧ください。
甲状腺機能亢進症☞「猫のバセドウ病(甲状腺機能亢進症)」
慢性腎臓病☞「猫の腎不全の症状、治療法、原因を解説」
猫にレバーはあげてもいいの?牛、豚、鶏、どのレバーでも大丈夫?
牛肉、豚肉、鶏肉いずれのレバーも、少量であれば猫が食べても大丈夫ですが、生のレバーには寄生虫や細菌がいる場合が多いので、必ず火をよく通してからあげてください。
レバーにはビタミンAが多く含まれていますが、食べすぎると「ビタミンA過剰症」となり、肝臓や腎臓の機能低下や骨疾患などを引き起こすことがあります。ただし症状が出るほどの中毒状態は、大量に摂取しないと起こらないため、あまり神経質にならなくていいでしょう。
肉の選び方、調理方法、味付けなど、猫に肉をあげるときは基本的な注意点を守ることが大事です。愛猫が知らないうちに食卓の肉料理を口にしていた、ということがないよう気をつけたいですね。
※この記事は猫に牛肉、豚肉、鶏肉を食べさせることを推奨しているものではありません。人間の体に良いからといって猫にも良いとは限りません。逆に悪影響を与えたり、必要な栄養の吸収を阻害したりすることもあります。猫の食事は、栄養バランスが良く摂れる総合栄養食としてのキャットフードがおすすめです。
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