猫の気分がコロコロ変わるワケ
猫って、気分がコロコロ変わりますよね。デレデレに甘えていたと思ったらプイッとどこかに行ってしまったり、「なでて」というときと「触るニャ」というときがあったり……。人間でいえば「気分屋」なのですが、そういう意味では猫は全員「気分屋」。それは、猫のもともとの生活が原因です。
野生の猫は、単独生活です。ひとりで狩りをして生きています。ですから、「周りの目を気にする」ことはありません。周りの目を気にするのは、集団で生活する動物だけ。人間は集団で生活し、周りの評価によって生活が変わったりしますから、人の目を気にすることが必要です。しかし、猫はひとりで生きていますから、周りの目を気にしたって仕方ありません。ですから、自分の気持ちの赴くままに行動します。それによって人が振り回されたって、これっぽっちも悪いとは思いません。
また、何か失敗したときに長く落ち込むということも猫にはありえません。
だって、もし狩りに失敗したあと長く落ち込んでいたら……飢え死にです(笑)。失敗しても「あ、失敗しちゃった。次、次」という精神でないと、生きていけません。ですから猫は、人よりも早く気分が変わるのです。
それには、猫の感覚の鋭さも関係しています。動体視力、聴力、嗅覚等、人より優れた五感を持つ猫は、人が感じられないかすかな物音やニオイを感じ取れるため、それによって気分がすばやく変化してしまうのです。例えば、獲物がたてるような音を耳にしたとたん、「野生モード」のスイッチが入って急にハッスルしてしまったりします。
猫の「気分のモード」はたくさんある
そう、猫が夜中にむやみに走り回ったりするのは、「野生モード」のスイッチオン状態。ふだんは飼い主に守られた「ペットモード」ですが、ふとしたきっかけで「野生モード」に転換します。これは、もともと「野生」で生きていた猫が、人に飼われる「ペット」になったため、このようにモードが増えたのです。
また、猫にある「気分のモード」はこれだけではありません。飼い猫はいつまでも子猫気分を残しています。野生の猫は子猫気分を捨て、自立したおとなにならないと生きていけませんが、飼い猫はいつまでも飼い主に甘えて暮らしていけます。そのため「子猫モード」が残るのです。「ごはんちょうだ~い」と甘えてくるのはまさに「子猫モード」。飼い主さんを母猫に見立てて甘えているのです。
また、面白いことに「親猫モード」もあります。例えば捕まえてきた獲物を飼い主に渡すようなときは、親猫が子猫に獲物を与えるような気分といわれています。飼い主が子猫で、自分はその親猫のつもりなのです。自分よりはるかに大きい人間を子猫と思うなんて不思議ですが、動物にはままあることのよう。「犬がトラの赤ちゃんを育てた」なんて話もありますね。成長して大きくなったトラが自分より小さい犬に甘えている姿などを見ると、動物の心は不思議だなあと思います。
ちなみに親猫モードは、メス猫に多く見られます。野生では子育てをするのはメスだけだからです。しかしオス猫も飼育下だと、野生では発達しない「父性本能」が発達し、子育てのような行動をする猫もいます。自分の子どもではない子猫の面倒を見るオス猫の姿も観察されています。
まとめると、猫の「気分のモード」は、下記のように表せます。
飼い猫の場合、この4つのモードが基本なのですが、これ以外にもいろいろとあるのがややこしいところ。
例えば、好きな異性に対しては「恋愛モード」になったりします。特に発情期、オス猫がメス猫に対してLOVELOVE状態になることが多いよう。たとえ去勢していても、脳はオスのままなので、「女の子大好き!」なのです。
ほかに、「オレ様が一番」の「ボス猫モード」も。同じエリアに複数の猫がいると、ボスとその他大勢に分かれるので、多頭飼いの場合はそのなかの1頭が「ボス猫モード」になることが考えられます。自分がボスと思っている猫はウンチをあえて隠さず、自分のニオイを拡散させるといいます。もしウンチを隠さない猫ちゃんがいたら、その猫は「オレ(アタシ)はボス」と思っているのかもしれません。
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