クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることが原因でさまざまな症状が引き起こされる病気で「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれます。主な症状としては多飲多尿や食欲増進、さらに腹部の膨らみや、血管が見えるほど皮膚が薄くなることなどが挙げられます。まれに血管が破れて出血することもあります。老猫に多く見られ、命の危険性は低いといわれていますが、甲状腺機能低下症糖尿病を併発することが多いため、早めの対処が必要です。

 

*「にゃんペディア」獣医師監修の関連記事はこちらをご覧ください。

愛猫の糖尿病と上手に付き合っていくために

 

 

こんな症状が出たら気をつけて

まず水をたくさん飲むようになり、それに伴い排尿量が増えます。さらに食欲が増すため、お腹が垂れ下がるよう肥満し、いわゆる「太鼓腹」のような状態になります。ほかに、血管が透けて見えるほど皮膚が薄くなる、毛づやが悪くなる、毛が抜けるなどの症状が現れます。脱毛は左右対称に起こることが多く、主に腹部や耳の先端の毛が抜けていきます。

 

クッシング症候群の原因

注射 犬猫

副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される原因として考えられるのが、脳下垂体や副腎そのものに腫瘍ができることです。

また、何らかの疾患を抱え、その治療のため長期にわたりステロイド剤(副腎皮質ホルモン薬)を投与し続けたことや、一度に大量投与したことで起こります。

ただし、猫の場合は、犬に比べてステロイドに耐性があるため、投薬が原因での発症率はかなり低いといわれています。

 

 

クッシング症候群の治療

まず血液検査によって副腎皮質ホルモン値を調べます。その結果、クッシング症候群と診断された場合は、副腎皮質の働きを弱める薬剤を投与されますが、腫瘍が原因の場合は外科手術により切除することになります。腫瘍が脳下垂体にあり、切除が困難な場合は放射線治療が行われます。

ステロイド剤の過剰投与が原因であれば、投与量を減らすための処置を行います。ステロイド剤の投与が必要な疾患を抱えている場合もありますので、その治療も同時に行わなければなりません。

 

 

クッシング症候群の予防

クッシング症候群に有効な予防法は残念ながら特にありません。ただ、アレルギーなどによる皮膚疾患でステロイド剤を長く服用していると発症の危険性が高くなるといわれています。症状が進むと抜け毛がひどくなり、皮膚が薄くなるなど見た目に変化が現れます。皮膚に痒みはありませんが、皮膚の色素沈着が起こり、皮膚の色が変わってしまいます。このように進行させてしまわないよう、日頃から猫の様子をじっくり観察し、水をたくさん飲む、おしっこの量が増えた、食欲が増しお腹が垂れ下がってきたなど、日常生活の中で少しでも気になるところがあれば、獣医師に相談するなど迅速に対処してください。

 

 

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東京猫医療センター 院長

服部 幸

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