アトピー性皮膚炎とはアレルギーの原因となるアレルゲンを吸引したり、アレルゲンが皮膚に付着したりすることで引き起こされる皮膚炎のことです。激しい痒みを伴い、かきむしった結果、赤くなったり、脱毛したりかさぶたになったりします。猫の場合は比較的年齢が若い時期に発症することが多いといわれています。

こんな症状に気をつけて

顔、耳の後ろ、首の皮膚の部分を掻いたり、しきりになめたりしているようなら、アトピー性皮膚炎を発症しているかもしれません。あまり掻きすぎると、その部分を傷つけてしまいますし、脱毛を引き起こす恐れもあります。掻くことで皮膚炎がますます悪化し、やがて慢性化すると皮膚が厚くなり、黒ずんでしまうこともあります。

 

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー素因を持つ猫がアレルゲン物質を吸引したり、これらが皮膚に付着したりすることが原因でアトピー性皮膚炎は発症します。アレルゲン物質には花粉やハウスダスト、ダニの死骸や糞、カビの胞子などが上げられ、季節性の場合は花粉が原因物質であることが考えられます。ただし、アレルゲン物質がハウスダストやカビの胞子など家庭内に存在するものであれば、季節とは関係なく症状が続きます。どんな時に発症するかを見極めることもアレルゲン物質を特定するのに役立ちますので、普段の様子を注意深く観察することが大切です。

 

アトピー性皮膚炎の治療

猫 シャワー

まずは原因となるアレルゲンを特定し、生活環境の中からその物質を取り除かなければなりません。原因物質を特定するため、動物病院で血液検査を行います。動物病院によっては全身麻酔をかけた状態で猫の胸の外側の毛を剃り、皮膚にさまざまなアレルゲンを注入する検査を行っているところもあります。皮膚が反応したものがアレルゲン物質ということになります。ただし、全身麻酔を使う検査を行っていない動物病院もありますので、事前に問い合せをするようにしましょう。

もし花粉が原因であれば、花粉が飛散する時期は窓を開けない、飼い主さんは外出先から帰ったら衣服についた花粉を払ってから家に入るなど、アレルゲン物質を室内に持ち込まないように注意しましょう。ハウスダスト、ダニの死骸や糞、カビの胞子など、室内の存在するものが原因であれば、こまめに掃除を行い室内の清潔を保ちます。
同時に痒みなどの諸症状を緩和するため、抗炎症剤や抗アレルギー剤、ステロイド剤などの投与を行います。さらに皮膚の乾燥を防ぐため保湿剤を塗布することもあります。また、シャンプーには皮膚に付着したアレルゲンを除去できる効果が期待できますので、猫がシャンプーを嫌がらないようであれば、シャンプーやリンスを使用することもあります。

 

アトピー性皮膚炎の予防

アトピー性皮膚炎の予防のために何より大切なのはこまめに掃除を行い、 室内を常に清潔に保つことです。アトピー性皮膚炎の猫は、ノミアレルギー皮膚炎を併せて発症する危険性が高いといわれています。ノミアレルギー皮膚炎のようにノミやダニといった寄生虫が原因の皮膚病の場合、駆除剤を使用しこれらを徹底的に駆除しなければ、どんなに治療薬を使用しても完治はしません。もし猫に皮膚病の症状が現れたら、原因物質を特定するため、必ず獣医師の診断を受けるようにしてください。

猫の毛の掃除については「猫の抜け毛掃除、みんなはどうしているの?」という記事も参考にしてみてくださいね。

 

 

★「うちの子」の長生きのために、年齢や季節、猫種など、かかりやすい病気や、症状や病名で調べることができる「うちの子おうちの医療事典」ご利用ください。

☞「うちの子おうちの医療事典」で本記事に関連する病気を調べる

ノミの寄生

皮膚糸状菌症

アトピー性皮膚炎

皮膚病

 

☞下記のような「皮膚」の症状から考えられる病気を検索できます。

体が臭い

皮膚が赤い

皮膚が黒い

皮膚にできものがある

体をかゆがる・かいている

毛が抜けている

フケが出る

皮膚から出血している

ベタつく

 

☞例えば、下記のような切り口で、さまざまな病気やケガを知ることができます。  健康な毎日を過ごすため、知識を得ておきましょう。

 

【治療】

■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い  ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり 

【症状】

■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある

【対象】

■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い   ■女の子に多い  

【季節性】

春・秋にかかりやすい ■夏にかかりやすい

【発生頻度】

■ かかりやすい病気 ■めずらしい病気

【うつるか】

■ 犬にうつる ■ 人にうつる ■ 多頭飼育で注意 

【命への影響度】

■ 命にかかわるリスクが高い

【費用】

■ 生涯かかる治療費が高額 ■手術費用が高額

【予防】

■ 予防できる ■ワクチンがある

東京猫医療センター 院長

服部 幸

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