多発性嚢胞腎は人間でも発症例が見られ、難病指定されています。一度発症すると治らない先天性の腎臓病で、猫ちゃんの場合、1000匹中1匹の割合で発症するといわれています。発症してしまえば徐々に腎機能が低下、最終的には腎不全に似た症状を引き起こします。
こんな症状が出たら気をつけて
腎臓の組織が徐々に破壊され、機能が低下していく病気として慢性腎臓病がありますが、多発性嚢胞腎もそれとよく似た症状が見られます。食欲不振、多飲多尿、体重減少などが主な症状で、嘔吐することもあります。多発性嚢胞腎による腎機能の低下は3歳前後から見られ、7歳から10歳の間に腎不全を引き起こします。ただし、進行が緩やかなため、気がつかないことも多いといわれます。多飲多尿などの症状が見られたら、多発性嚢胞腎以外にも腎臓に何らかの異常が起きていることが考えられますので、すぐに獣医師の診断を受けてください。
原因
多発性嚢胞腎は嚢胞液と呼ばれる液体が詰まっている袋(嚢胞)が左右両方の腎臓に発生、徐々に大きくなり、腎機能を低下させていく病気です。嚢胞は正常な腎臓組織を押しつぶす形で徐々に肥大化し、やがて腎不全を引き起こしてしまうのです。その原因のほとんどが遺伝性のもので、親猫のどちらかが多発性嚢胞腎である場合は、50〜100%の確率で子猫もこの病気を発症してしまうと言われています。嚢胞は肝臓など腎臓以外の臓器にみられることもあります。
治療方法
初期段階の多発性嚢胞腎は、腎臓の大きさも形も正常なので、触診だけで見つけることは難しいといわれています。そのため、検査には超音波やCTスキャンなどが用いられることになり、生後10カ月を過ぎた子猫でも受けることができます。しかし、残念ながら多発性嚢胞腎を完治させるための有効な治療法は見つかっていません。もし多発性嚢胞腎と診断されたら、健康な腎臓機能をできる限り維持し、症状を和らげるための対処治療が行われることになります。ただし、早い段階で発見することができれば、経過観察を行いながら、より効果的な対処療法を行うことができます。延命効果も期待できますので、飲水量やおしっこの量が増えたなどの異変を感じたら、すぐに動物病院で検査してもらってください。生後10カ月齢前後で発症する場合もありますが、5歳から10歳で発症することもあります。
診療費はいくらぐらい?
診療項目 | 単価 | 数量 | 金額 |
---|---|---|---|
診察料 | ¥1,000 | 1 | ¥1,000 |
超音波検査 | ¥3,500 | 1 | ¥3,500 |
皮下点滴 | ¥3,000 | 1 | ¥3,000 |
処方食 | ¥3,800 | 1 | ¥3,800 |
合計 | ¥11,300 |
※この診療明細書はアイペット損保の支払いデータから作成した診療費の参考例となります。したがって、診療費用・内容の平均・水準を示すものではありません。
予防
多発性嚢胞腎の原因のほとんどが遺伝であることを考えると、多発性嚢胞腎の遺伝子をもった猫を繁殖させないことが一番の予防といえるでしょう。この遺伝子を持つ猫と健康な猫との間に産まれた子猫は50%以上の確率で多発性嚢胞腎を発症してしまいます。もし、子猫に多発性嚢胞腎が見つかったら、同じ親猫から産まれた兄弟姉妹も発症する確率が高いといえるでしょう。多発性嚢胞腎が比較的多く見られる猫種としては、ペルシャやヒマラヤンなどの長毛種をはじめ、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなどが挙げられます。最近ではミックス(雑種)にも存在することがわかってきました。
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