風邪をこじらせると肺炎になるのは、猫も同じです。肺炎は、せきやくしゃみ、鼻水など、風邪とよく似た症状が現れるのですが、風邪だと思って様子を見ているうちに重篤化してしまう場合もあります。重篤化すると呼吸困難や高熱に襲われ、最悪の場合死に至る可能性もあるので、早めに病院に連れて行ってあげましょう。ここでは肺炎の治療法と、治療期間について解説します。
肺炎の原因
肺炎の原因には様々なものがあります。猫風邪をこじらせて肺炎になってしまう場合もあれば、アレルギーが原因になっていたり、工事現場で吸い込んだ煙が原因で発症する場合もあります。子猫や老猫は、ミルクや水、食べ物などが食道ではなく、誤って気管に入ってしまって肺炎に発展することもあります。
肺炎の症状
猫が肺炎になると、痰(たん)がからんだような湿った咳が出て発熱があります。このとき、肺が炎症を起こし、肺の中に膿がたまる場合があります。咳がひどくなりすぎて肺が破れた時に、この肺にたまった膿が胸の中に流れ出て、膿胸を引き起こす場合があります。ここまで症状が悪化すると呼吸困難に陥ってしまい、最悪の場合死に至る可能性もあります。
獣医師はこんなところを見ている。
猫が咳をしていたり、呼吸が苦しそうな場合、聴診器を使って肺の音を聞きます。このとき、プチプチという音が聞こえてきた場合には肺炎を疑います。レントゲンを撮って肺が白く写ったり、血液検査で白血球数が増加しているようだと、肺炎だと診断をつけます。
肺炎の治療法
咳は菌を体の外に追い出すための生理現象なので、咳を止めることだけを目的とした治療はしません。ただ、あまりにも咳が激しい状態であれば、蒸気吸入器を使って気体状の薬を肺に送り込んだり、気管支拡張薬を使って、呼吸が苦しい状況を和らげたりすることはあります。そして肺炎の原因となっている病原体を殺すため、抗生物質を投与するという治療が一般的だと思われます。
ただし、もしも抗生物質が全く効かず、一向に改善の兆しが見えない場合には、麻酔をかけた状態で行う『気管支肺胞洗浄』という処置をすることがまれにあります。これは、呼吸が苦しい状態の猫に全身麻酔をかけ、さらに肺の中に洗浄液を送り込み、その洗浄液を回収して病原体を確定するというものです。どの薬を飲んでもよくならないようであれば、選択肢のひとつに加えておいてもいいかもしれません。どこの病院でもできる治療ではないので、もし気管支肺胞洗浄について詳しく知りたい場合は、まずかかりつけの病院に相談してみるといいでしょう。
猫の肺炎は治るの?
肺は再生能力があまり無い臓器です。重度の場合や煙などで肺の組織が大きく壊れてしまった場合には命を落とす事もあると思います。また子猫や老猫、エイズにかかっている猫たちは、免疫が落ちているために命を落とすリスクが高くなります。
原因が細菌感染で、軽症で、抗生物質に反応した場合には、ほぼ完治が期待できるでしょう。
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例えば、下記のような切り口で、
【治療】
■ 再発しやすい ■ 長期の治療が必要 ■治療期間が短い ■ 緊急治療が必要 ■ 入院が必要になることが多い ■手術での治療が多い ■専門の病院へ紹介されることがある ■生涯つきあっていく可能性あり
【症状】
■ 初期は無症状が多い ■ 病気の進行が早い ■後遺症が残ることがある
【対象】
■ 子猫に多い ■ 高齢猫に多い ■男の子に多い ■女の子に多い